生方学

モノに溢れ、便利で楽になったけど、何かギスギスした現代。今や古典芸能になりつつある昭和の古き良き時代の仕事ぶりをご紹介し、もう一度人間らしくイキイキ楽しく暮らしてほしいと切に願っています。

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最近の記事

【ポンポコ製菓顛末記】                   #57 組織オンチ

 会社に入ると否が応でも組織に入れられる。どんな小人数でも3人よれば立派な組織だ。   ランボー      2000年初頭、グローバリズムの流れで、国内企業も海外進出、M&Aブームだった。”えーかっこしー”で見栄っ張りのポンポコ製菓の会長もこの新しい経営をやりたくてしょうがない。しかし拙い経営能力で形だけ実行しても失敗するだけだ。その顛末は#28,29,30でご紹介した。本社で檄を飛ばすだけのトップは文句を言っているだけなので良いが、実際現場で実行する部下はたまらない。特に

    • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #56 文化、美意識オンチ

       「今だけ」「カネ・モノだけ」「自分だけ」の経済価値一辺倒の世相、「他人に迷惑をかけない」「文句を言わない」「〇〇ねばならない」というもともとの日本人風土から抜け出し、生きずらさの解決に文化、美意識オンチの解消が役立つという。  その意味するところは何か?     「何がしたいか」ではなく「何がしたくないか」    先日元文化庁長官の記事が新聞に掲載された。    今のZ世代は社会・大人たちに「何がしたいか」ではなく「何がしたくないか」を理解してほしいと訴えているという。そ

      • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #55 カネに変えられない価値、カネに変えなければいけない価値

         今の日本は、「他人に迷惑をかけない」「文句を言わない」「〇〇ねばならない」というもともとの日本人風土に、「今だけ」「カネ・モノだけ」「自分だけ」の経済価値一辺倒の世相が拍車をかけて、便利にはなったが生きづらくしている。  抜け出す糸口は無いのか。   古代は「市場のある社会」、現在は「市場社会」  「今だけ」「カネ・モノだけ」「自分だけ」の世相は何も日本だけではない。それは所詮人間の性だから古今東西大した差は無い筈だ。とりわけ日本が取りざたされるのは、経済的成長が諸外国に

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #54 ミッドライフ・クライシス

           日頃、日本人ばかりと付き合っていると、日本人の風土、常識というものに違和感を感じない。こんなものかと。しかし、外から見ると意外とそうではないらしい。前回の続きで日本社会の閉塞感について考えたい。   「他人に都合よく(平気で)頼めるひと」と「そんなことは考えないひと」    「他人に都合よく(平気で)頼めるひと」は利己的で自己チュウ。解りやすく言えば、「今だけ」「カネ・モノだけ」「自分だけ」を良しとする拝金・拝物主義。それも「直ぐに!!」という風土、である。TV、メディア

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #57 組織オンチ

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #56 文化、美意識オンチ

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #55 カネに変えられない価値、カネに変えなければいけない価値

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #54 ミッドライフ・クライシス

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #53 あ、自分それやりますよ

           ひとは「他人に都合よく(平気で)頼めるひと」と「そんなことは考えないひと」に大別される。  ここに閉塞感満載の日本社会の根源と、その解決の糸口が見える。   社長、黙っていてください!!    前回キャノン経営の華やかりしころの役員朝会の紹介をした。朝の役員定例会でランダムに経営課題を審議し、対応については役員陣が積極的に「それでは私がやりましょう」と申し出たそうだ。役員が会社経営を自分事と捉える雰囲気は社内にも伝播し活性化する。社長としても頼もしい限りだと思う。キャノン

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #53 あ、自分それやりますよ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #52 ノブレスオブリージュ

           自己チュウの人間は、利他より利己、常に自分に火の粉がかからないように目配り気配りをしている、決して人のためには動かない。   俺はいい!!    2000年初頭、キャノンが好調だった頃、当時の御手洗社長の経営マネジメントが素晴らしいと評判となった。特に、毎週決まった曜日に役員陣が経済環境や課題についてフリーに討議し、即時に行動に移すという『キャノン朝会』が有名であった。  ポンポコ製菓の会長も「それはいい!!ウチもやろう!!」ということになり早速毎週火曜日の朝8時に全役員

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #52 ノブレスオブリージュ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #51 信じることには偽りが多く疑うことには真理が多い

           お山の大将のポンポコ製菓の会長、あくまでも自己チュウのM埼広報マネジャー。このような「全能感」のオトナが他社との取引きに絡んでくるとややこしい。困ったもんだと言っていられなくなる。   そろそろ、いいですか?   一般に広告や協賛という取引、契約においてはスポンサーと契約者の間で明確にルールが決まっている。消費者、顧客の目に触れるシーンはスポンサーとしては独占したいので、基本的に1業種1社というのがこの手の契約の原則、常識だ。人気のある広告、協賛を取るためにスポンサーは高

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #51 信じることには偽りが多く疑うことには真理が多い

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #50 度が過ぎた自分ファースト 自己チュウ

           どこにでもいる「全能感」のオトナ。お山の大将のリーダーも持った部下は悲劇だ。しかし、そういうオトナはリーダーや上司だけではない。部下も同様、お互い様のことが多い。  トップが自己チュウだと社員もまねるので質が悪い。   敵の敵でも本当の敵    すべての悩みは対人関係の悩みであると、精神科医アドラーは説いた。その悩みは多種多様だ。何でも比較してしまい、自らを過小評価して自信を失う場合もあれば、様々な価値観の違いから「何故解ってもらえないのだろう」と悩む場合もある。   い

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #50 度が過ぎた自分ファースト 自己チュウ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #49 無知の知

              今の若者は自信が無いと言われる。特に諸外国に比べてその低さは顕著だ。自信を持つことは生き様を決める上で本当に大切なこと。 しかし大事なのは「謙虚」あっての「自信」。全能感丸出しの「お山の大将」ではいただけない。   お山の大将    前回お話しした「全能感」のオトナの最もいただけない点は世の中を知らないことだ。自信を持つことは結構なことだが、それは自他ともに認められる、客観視出来ているかという点だ。「自分で何でもできる」「世界は自分を中心に回っている」と思って、自分

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #49 無知の知

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #48 全能感

           先日リニア新幹線ルートでJR東海とさんざんもめた静岡県知事が任期途中であっさり辞任した。延期させたから役目を果たした、みたいな変なコメントを残した。  世の中、エッ?というような大人が多いものだ。     「お待たせ!」と「お先に!」      ポンポコ製菓の創業家後継者の会長もエッ!というような発言、行動が多かった。前回紹介した理想ばかり追いかけ、現実を見ないなどは序の口。奇妙奇天烈な発言、行動により、会社や部下が随分と振り回された。創業家のお坊ちゃんだからしょうがない

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #48 全能感

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #47 理想と現実

           今や各企業は持続的成長の為に人財育成が大事と謳っている。企業の資産で最も大切なのは人的資本で、社員の能力を如何に経営に活かせるか否かに関心が高まっている。残念ながら社員のやる気の無さについては日本は最低レベルだ。原因に社会の仕組みももちろんあるが、トップの意識の影響も大きい。     言ったとおりだろ!!    ポンポコ製菓は創業家企業で代々創業家がトップを務めてきた。創業者は田沼平次郎と木村一雄の二人で起業した。片方が職人、片方が経営という2人3脚で会社を大きくしたが、

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #47 理想と現実

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #46 がんばらない、がまんしない

            世の中、黒か白か、イチかゼロか、良いか悪いかで決められるほど単純ではない。真相を見極めるセンスが肝心だ。  センスを磨く「どれくらいか」の例を旬の話題の「賃金」でご紹介する。   業種別所得中央値    日本の賃金が低いと昨今盛んに言われている。この30年間全く上がらないため他国に比べ差が開く一方だと言うのだ。実態はどれくらい低いのか?   国税庁と厚労省の統計データから日本の業種別の年収中央値と労働人口のマップで分析した。年収を比較する場合、平均値ではなく中央値でみ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #46 がんばらない、がまんしない

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #45 マーケティングの肝はセンスだ

           数回にわたって経済、商売、そしてマーケティングのお話をしてきた。このシリーズの締めとしてマーケティングの要綱をお話ししたい。  マーケティングで最も大事なのは何か?それはセンスである。そう、ファッションや美術と同じ、センスが肝心である。     無人工場    ポンポコ製菓でNO1の商品は、合理化投資を何代にもわたって行ってきた。それこそ旧ソ連ではないが、第1次、第2次合理化計画とあくなき追及を進め、第5次まで進めて飛躍的に原価低減を実現した。その結果、最高の利益率、利益

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #45 マーケティングの肝はセンスだ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #44 お客様は神様か

           顧客のニーズ・欲望にマーケティングとテクノロジーの発展で世界中が応えた結果、売って、買って、捨てて、また買ってと、売り手も買い手もラットの如く走り続ける事態になってしまった。  しかしコロナでそんな世界はおかしいと、皆、気付いたはずだ。     割って差し上げます    #27でタラバガニのようなロボットがビスケットの1枚1枚の向きを直す新鋭工場の設備を紹介した。向きが上を向いていようが下を向いていようが顧客にとってどちらでも良いような気がするが、生産部門は悦に入っていた

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #44 お客様は神様か

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #43 価格とは消費者が得る便益の対価である

           TVやマスコミは安いニッポンを賛美する。値上商品をまるで悪玉のように祭り上げる。しかし適正でない価格、安売りは便益が低いということ。そして結局自らの首を絞めていることに皆さんは気付いているのだろうか?     製造原価100%    ポンポコ製菓にこんな商品があった。非常に手間がかかり、ユニークな商品をある時マーケターが企画した。    通常菓子はビスケット等焼き物を作るベーカリー技術と、チョコレート・キャンディーを作るコンフェクショナリー技術に大別される。両者は全く異な

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #43 価格とは消費者が得る便益の対価である

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #42 商売とは三方良し

           前回までオカネの話から始まり、市場経済、資本主義の功罪を述べてきた。  経済の原点、商売はそもそも売り手と買い手双方の価値観が合致して成り立つものと先日お亡くなりになった100円ショップDAISOの創業者・矢野博丈氏は述べている。その合意が崩れ、売るほう買うほう両者の欲の張り合い、弱肉強食の状態が現代だ。     美味しいかどうか決めるのは消費者ですよ    日本製品は昔から良いモノを安くお届けしているという自負?があった。「安いニッポン」を自慢し、安いことこそ正義、要求

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #42 商売とは三方良し