日曜日のクルーメイト #0059 Light up!!
三寒四温のシーソーゲームまっただ中というべき四月半ば、スティーヴン・キング言うところの「忠実なる読者諸氏」たる我らがクルーメイトは、いかがお過ごしでしょうか?
冲方は、寒暖差という名の平手打ちにきりきり舞いさせられる日々を、心の平和に寄与すると評判のミニチュア作りにいそしんだり、数多の配信動画や漫画をたらふく鯨飲することで、どうにか堪え忍んでおりました。
低速状態だった体のギアを戻し、乱れた自律神経の皺にアイロンをかけるがごとく、清新たる気分で晩春に臨まんとしております。
では今週も元気に参りましょう!
今週の宣伝
前週から同じく連載一覧と、掲載誌の発売日をお届け。
『マルドゥック・アノニマス』第42回
SFマガジン6月号 4月25日発売
クィンテット配下のグループ同士が抗争に突入。グループの分裂を促すシザースとマクスウェルが、ハンター陣営を揺るがさんとする。
『骨灰』第9回
野性時代5月号 4月25日発売
2015年、再開発まっただ中の渋谷。解放してしまった「人柱」の原義一を探し回る光弘は、地下の「穴」に支配されていく。
『マイ・リトル・ジェダイ』第5回
別冊文藝春秋 電子版43号・5月号 4月20日発売
息子のためにチームを結成した暢光は、ゲームの大会に出場するために必要なポイントを息子に与えるべく奮戦する。
『剣樹抄』第16回
オール讀物 6月号 5月20日発売
極楽組の鶴と錦を追って旅をする義仙と了助は、浅間山の噴火後、宇都宮の地に入り、江戸徳川幕府にとっての最大の「敵」に出くわす。
掲載され次第、扉絵などをご紹介したいと思います。
投票御礼! 『さよなら、ブラック』ヒロインの名は?
クルーメイトとともに作るお蔵ストック企画がまたしても前進し、主人公を導くヒロインの名が決定いたしました。
(ドラムロールの音)――ダン! というわけで、六割近い票を集めたのが「ビー」。主人公と合わせて、作中は通称で表記されることになります。
kei.さんからのコメントです!
シュピーゲル的には確かにそうなのです。ただ新機軸として、改めてそういうネーミングもあるかもしれませぬ。
結果的には、ビーがダントツだったのですが。
森人さんからのコメントです!
フェロモン! そういう発想が来るとは予期しておりませんでしたが、スペル的にはBeaなのかな。Bee!との言葉遊びなど、意外に使えるかも?
ラピツティアさんからのコメントです!
イニシャルでの意味づけは考えていませんでした。
このたびの結果からすると、BtoBとなり、経済学かという感じになりそうです。
あ、でもBからBというのは、親しみの表現にもなりそう。記号的な同一視は意味が深まりますからね。
Dに飛ぶには、Cがいる気が……。何か挟み(ピンチ)となるキャラがほしいところ。
normal3さんからのコメントです!
そうなのです。『ロンググッドバイ』みたいな名作タイトルがあるように、別れがピリオドとなって、余韻を増幅させるというのが、どうやら小説作品においては常套手段となっている模様。
他方で映像作品だと、『ニュー』『ビギンズ』『アライズ』『シン』など、新しく始まるぜ、といったタイトル作りが、一時期顕著といいますか、いまでもそうである気が。
小説でもそのうち一周回って、『ハロー』が復権したりするのでしょうか。
今日こそ明日から(とんかつ)さんからのコメントです!
来た!こういう言葉遊びは大好きです。ビーが足らないがゆえにビーを求めるブラック。
そして最後は飯テロへ突入してしまう、理不尽に見えて、大団円(かつ満腹)的な展開に笑ってしまいました。
ものすごく壮大な飯テロ。ある種、テルマエ・ロマエに挑む何かになりそう。そういうのも書いてみたいですね。
そして、「その他」でも大変面白いアイディアが。
木洞さんからのアイディアです!
オデュッセウスになぞらえるというのも大変刺激的。
和名と合わせるアイディアも、一考したいですね。時代を経て東西文化が融合した印象があり、冲方が個人的に大いに好むところ。
通称は「ペニー」や「ペム」。
主人公周辺、たとえば主人公を支援する財団などに所属する人物であっても面白いかもしれません。
ご提案、ありがとうございます!
かえ@はハチャメチャさんからのアイディアです!
これまた良いイメージですね。始祖がゴールとなってまた新たな始祖となり、種族の循環が語られるのかも。
込められた意味の大きさを考えると、人名だけでなく、何かのプログラム・コードや施設の名であっても良いかもしれません。
ご提案に感謝!
新投票! 五万年を旅するブラックのゆいいつの「相棒」となるAIの名は?
コールドスリープや延命技術などによって、膨大な時を超えようとするブラック。
眠れる彼を生存させるには、人間の寿命をはるかに超えて機能するシステムが必要となるでしょう。
いわば主人公が荒野を旅するための「馬」の名であり、そのシステムの一部であるAI(未来ではまた違う呼ばれ方をすることになるでしょう)が、結果的に、時経ても彼を知り、彼の立場で判断してくれる存在となるのはどうであろう、と思っております。
そのAIがバージョンアップで別ものとなり、違うシステムに組み込まれ、もはやAIでもロボットでもない別ものとなり、元の存在は失われてしまったとしても、ブラックは変わらず相棒の名で呼び続ける。
また、元は愛犬の名であったりすると、命名の動機がわかりやすいだろうとも思っております。
そんなわけで、欧米で人気のある「犬名」のうち、主人公ブラックの相棒の名には、以下のうちどれがふさわしいでしょうか?
1)マックス
愛犬といえばこれ! という名前。『ベイ・マックス』でも相棒の名前として採用されておりました。大型犬でもふもふして、主人に忠実、子どもの相手をする優しいイメージです。
2)チャーリー
個人的には、一緒にいることで気が楽になる、どこへでも一緒に行ける、といった軽快さが伴うイメージ。
ペット用品やペットショップの名前としてもしばしば採用される名前。
3)バディ
超ストレートな「相棒」を意味する名前。犬に何を求めているかが、大変よくわかる名前です。個人的には、口笛を吹くと、ぱっと駆け寄ってくるイメージ。
4)その他
犬ではなく、もっと別の名が良いのでは、と思いついた方は、ぜひ投票ツイートへのリプライでご提案下さい!
ダンテを導くヴェルギリウスとか、ファウストを導くメフィストフェレスなど、重々しいイメージがあってもいいかも、などとも考えておりましたが、ちょっと仰々しいかも。というか地獄に連れて行かれてしまいそう。
ちなみに。
時を超えても形を維持するという意味で、1915年に沈没した「エンデュアランス号」になぞらえて「エンディ」なども良いか? と考えたり。
ただこれは名というより姓のほうのイメージですので、エンデュアランス財団など、組織や施設名のほうがふさわしいかもしれないと再考した次第。
のちほどツイートを投稿し、皆様のご投票をお待ちしたいと思います!
コメント・トーク
今回はずいぶん多くのコメントを頂きました。
お題は「オススメの漫画」、冲方に新たな視点を与えんとするクルーメイトに感謝を!
さっそく、我らが読者諸氏の優れたレーダーがとらえた作品を堪能して参りたいと思います。
T.プカ夫さんからのオススメ!
『ガールクラッシュ』、タイトルから、つい衝撃的な何かを予期して身構えたものの、あらすじの爽やかさに胸をなで下ろしつつ、ポチり。
のちほど薔薇肉船舶さんからのコメントにもあるのですが、この時代、「ちょっと見てみる」というハードルが、心理的にも経済的にも下がっていることを改めて実感。気づくとポチり消費がすごいことになります。怖。
さておき、K-POPブームをバックグラウンドにしているからか、なぜか『私ときどきレッサーパンダ』を連想しながら読んでおりました。
自己肯定感こそ求めるべきものである時期に、近くや遠くの他者の一方的な視線や存在と、いかに拮抗しながら「自分を獲得するか」、という若者の姿は、一生続く「生き方」の模索に通じる道の一つなのでしょう。
実のところ、社会に出てもそこは変わりませんしね。
恋愛と友情を絶妙に織り交ぜるテイストが大変素晴らしく、思わず一気に読んでしまいました。ありがとうございます!
『メダリスト』はアフタヌーンで読んでおりましたが(『天地明察』を漫画化して下さったおかげで、毎月読めるのですフハハハハ)、改めて読むと、スポーツ界にとって必須であり問題でもある師弟関係と親子関係(の獲得と束縛)にかなりクローズアップしていることに気づかされました。
とりわけ『ガールクラッシュ』では親子関係がスムーズにクリアされていますが、他方で『メダリスト』は最初のハードルとして、「親の壁」が描かれています。冲方的には、スポーツものを読むとき、たいてい「やっぱりそこはスルーするのね」と思っていたところを、ばっちり描いていてビックリしたのを覚えております。
個人の才能に重点を置きがちのスポーツものですが、実は環境が整わない限り、あるいは環境が歪んでしまう限り、どうしようもない、というシビアさをのっけから描いていることに衝撃を受けたものでした。
これまたあるだけポチってしまいましたよ。おう、ヤバいです。
ぴょんさんからのお勧め!
ジャンプでサックス!というか吹奏楽! えええ、と本気でビックリしました。マジですか。そして聴者のほうに変な能力があらかじめ付与されております。指揮車です。えええ、と二重にビックリです。
ジャンプ=能力ものという、妙な枷があった結果なのか、それとも描き手のチョイスなのかはわかりませんが、きっちり色んなものの整合性が取れていて、ちょっと待って何なのこれ? と正直驚きました。
話の構造としては、ものすごくジャンプとしか言いようがないのですが、やっていることが、あらゆるジャンルに適応できるくらい汎用性が高くて、こんな風に枠組みから逸脱しながら踏襲するというプロッティングができるのかと、なんというか、なんて言えばいいんでしょう、これ何? もうあれです、すごい(語彙)。マジすごい(語彙)。何これ。
どういう経緯でこんなもの作れたんですか? と、描いた人に直接聞くしかないやつです。
その前に読みます。ありがとうございます!
kei.さんからのオススメです!
実は、『メイドインアビス』はすっかり読んでおります。そして、プロダクションIGの黄瀬さんが、アニメでキャラデザをしておりますご縁で、いつかの忘年会の際、ばっちりアニメ版のボックスをせしめております。フハハハハ、ラッキー。ついでにサインももらいましたとも。フハハハハ。
そういえばその際だったか、「ボンボルドっぽいよね」と言われたことを思い出しました。黎明卿? どこが? 個人的にはミーティとかっぽいんじゃないの、と思ったのですが。なぜか「ボンボルドに似ている」というレッテル(?)がつきまとったことも。分身っぽいことできたら良いなあー、と思うこともありますが。
『とらつぐみ』は初見でしたが、一発で持ってかれました。
画力すっご! なんですか、どこの背景スタジオに依頼したんですかという画スゴ力です。
のっけから多国籍な世界観で、コマ割りも海外っぽい。放射能にまみれた日本が舞台。きてます。最高です。デストピア感が満載です。もはや日本がアビスです。異世界です。
鳥足少女、すごいな。シルク・ドゥ・ソレイユの造形じみた異形。
とらつぐみは、夜に鳴く鳥であるため、「鵺ぬえ」と呼ばれたとか。はなから異形狙いの設定です。
しかし主人公、サバイバル能力に長けていて頼もしい。無人島サバイブなドキュメンタリーものを見ているようです。
これはドキドキワクワクの物語を予感させます。全巻買ってしまうやつでございます。ありがとうございます!
森人さんのオススメです!
聴覚障害者に独特の「生きにくさ」を横軸にした、友情と憧れと恋愛と、大変盛り沢山の物語、じっくり味わいました。
コロナ禍でマスク習慣が推進されたときに、ちらっと思ったのが、「読唇を頼りにする聴覚障害者の方は困るのでは」ということでしたが、確かにそうした描写もあって、そうだよなあ、と思わされました。
手話がどれほど一般的かということも考えさせられつつ、二人の少女が共依存ではない関係性を築こうと悪戦苦闘するさまは、健常者も障害者と呼ばれる人々も、差なんてないんじゃないかという健やかな態度が素晴らしい。
他方、冲方はほぼ閉じ籠もって書いているため、一週間のうちヤマト運輸の人とコンビニの人と、何回かしか話さない、というのが普通なので、あるときパーティだの何だので人がいっぱいいるところにいくと、「あかん、声が多すぎて無理、本当に無理、超ごめんなさい」となるので、自分は健常者の枠組み内にはありますが、「声に疲れる」のは、めちゃくちゃ共感します。
〆切空けにデパートとか行くと、昔は本当に吐いてましたね。
また、聴覚障害者をテーマにした物語について思い出深いのは、『聲の形』で、大今良時さんがデビュー作で描かれていて、『マルドゥック・スクランブル』のコミカライズをお願いするときに、読ませて頂いたのを覚えております。
ぶっちゃけ、そのデビュー作を読んで、「もう大今さんの好きなようにバロットを描いてほしい」と思ったものです。
さておいて、この作品の主人公の面白いところは、障害を持った方との向き合い方において、「不純」であるか否かをおのれに問うところです。
面白い、とあえて不謹慎なことを書かせて頂いたのは、まだまだ一般化していないところを、あえて「面白く描く」すなわち一般化への道をつけることこそ、エンタメにおける社会への貢献であると信じるからです。
相手が不自由だから空いていた隙間に自分が入り込んだとき、それは不純なのか、と問うことは、とても大事なんだなと思わされました。
他方、昨今のテレビの人形劇でも、ようやく性について踏み込む風潮がありますが、いまだに障害者はゼロです。片脚のないキャラとか、目や耳が不自由なキャラはいませんね。
アニメでも、たとえばファフナーですら「なるべく車椅子はNG」だの「できれば杖を持たせるのはNG」だなどと、こちらからすると、正気で言ってるのか、パラリンピックやるんだぞこの国で、と瞬間沸騰しそうになることを言われるわけです。
車椅子に乗るバービー人形が発売される昨今、何をぬかしてるんだお前ら、と言いたくなりますが、「かわいそう」だから「見たくない」という巨大な壁を、少しずつでも突き崩すことができれば、と思わされます。
作中、平等と公平について絵で表現するところや、「誰だって何かでマイノリティになる可能性は在る」というくだりは、本当にそうなんだよと言いたくなります。
素敵な作品を教えて頂いてありがとうございます!
かのこさんからのオススメです!
実は以前からタイトルだけは知っていたのですが、今回初めて拝読しまして、宝塚的な、歌舞伎的な、そしてガラスの仮面的な、全部入れちゃった感がすごい。
世代の幅もすごい。戦後直から現代へ。2話でそこまで描きますか。
ただですね、本作ならではの「路線」がどこから生まれるのかなーと、実は三話目までは様子見で読んでおりました。上手いのですけれど、二話目までは、だいぶ既視感のある話だなあ、という印象がありましてね。
それがですね、面白いのが、舞台上での演劇が実際に始まったとたん、スポーツものだったのこれ? というくらい、緊張感やセリフの密度感が、ぐっと高まって、あ、これ、ガラスの仮面じゃないぞ、という別種の熱気がわき起こっていて、気づけば一気読みになってしまうところです。
すごいなー、と思いながら、何がすごいのかは時間をかけて読みさばかねばなりません。なんといっても盛り込み密度がすごい。先生視点と生徒視点からの舞台評価がリアルタイムで進むのは漫画ならではなのですが、すっきり純米吟醸的に、するするするーっと入ってくるんですよ。
こういう、ごちゃごちゃした構成にすると、1巻読むのに時間がかかるものなのですが、なぜか、良い意味で、するぅぅーーーーっと読めました。
この喉ごしの良さは、ちょっと時間をかけて読まないと、かえってわからない純米なのです。気になっていた作品を読む機会を与えて下さって、ありがとうございます!
薔薇肉船舶さんのオススメです!
あ、これ、その昔、1話だけ読んでその後を楽しみにしようと思いつつ、チェックし忘れていた作品! なんとここでオススメされるとは、やはり良作だったのか、といそいそと読みましたとも。
で。てっきり加筆修正しているのかと思ったら、割とそのまんまでした。
もう少しペン入れしても良いと思いますが、これが味なのでしょうか。
ネーム作家的な感じなのか、背景ゼロです。
奴隷の女の子の表情が豊かな分、もっと主人公の表情に力を入れれば、より感情移入度が増すと思うのですけれど。
なんか、勿体ないですね。「ちゃんと作る」っていうとおこがましいのかもしれないんですが、ひとつの作品としての成立要件を満たせば良い作品になるのに、「下書」のまま据え置かれている感があり、本当に勿体ない。
「完成」へ向かってほしいと思うこと自体、もしかすると時代錯誤なのかと思うところもありますが、いや、やっぱり勿体ない。
うーん。
やるんだったら、ちゃんと描いてほしい。おこがましいかもしれませんが、どうしてもそう思ってしまいますね。
薔薇肉船舶さんのコメントです!
ネット発が主流になりつつあるというか、もはや主流だと言っていいのではと思う昨今! 読者がコンテンツに触れる機会が雑誌ではなくなったのだと思わされますが、ではどこなんだと言うと、もはやバラバラで、その人の端末のAI判断によるというのが、逆にコンテンツの幅を狭めてないか? と危惧させられてしまうことも。冲方個人においては、危機どころではなく世界の終わりを迎えたのではと思うこともしばしば。
とはいえ、プラットフォームを土台にした検索をはかれば、今でも良い作品に出会えるのも確かなこと。
他方で、単行本を丸っと買えば600円くらいで済むのに、実はポチポチしているとサイト使用料をふくめて1200円くらい払うことになっているのが、今どきの怖いところ。
圧倒的に余計なお金を払ってコンテンツを見ているのに、大多数がそのことに気づかないって、怖くないですか? コンテンツが何にいったい利用されているんですか? 怖いですって。もうね、みなさん、「普通に」見て下さい。無意味に変なお金を払わないでほしいと心から思います。さもないと、おかしな利益収奪団体が席巻する、おかしな業界になりかねません。
これ、そのうち比較サイトなんかが生まれて地ならしされるんでしょうか。キンドルでポチポチしてるのが平和に思えます。サブスクと言いつつ課金するおかしなアプリを淘汰する気持ちで、ネットコンテンツを閲覧したいと思います。
normai3さんからのオススメです!
藤本タツキさんの作品は、がっつり速攻読んでおります!
ルックバックもそうですが、今回も、輪をかけて攻め攻めでしたね。技巧面でもストーリー面でも、二転三転が大変素晴らしい。
また、長尺による心情描写は「漫画は苦手とするところ」と思っておりましたが(似たような絵が続くシーンで心情だけが変遷する)、紙面ではなくネットならではの描写が効いていて、いやはや、小説「だけ」が得意としていたはずの描写に、ここまで漫画が迫ってきたことに、ドキドキな危機感を抱かされます。
こういうのは映画的だと思われる方もおられるでしょうが、映画は視聴時間というコストがどっさり視聴者に上乗せされる一方、小説は紙何枚かで済みます。ページをまくればいいし、ワンシーンを作るときのコストの桁が違うんですね。他方で漫画はワンシーンごとのコストを考えると、そもそもやらないと思われていたところもあります。
小説における言葉の密度の操作は、時間感覚の操作という点で、実のところいまだに映画を圧倒するわけですが、今回のこの読み切りの、とりわけ「真っ黒コマの連続」は、ひやっとさせられるほど、小説的な時間感覚の描写に、ぐっと迫っていると思います。
雑誌ですと、かなり特殊な例を除けば、やらないこと(やらせてもらえないこと)だとは思いますが、それをドシドシやられたこともあり、WEB漫画が、表現という点で怖い領域に到達したのだと感じました。
いや、すごかったです。これは、本当に怖い。この刺激と圧力を受けて、若手の作家がさらに跳躍することが予期され、あ、やっぱり怖い、と思ったり。
最高に刺激的でした。
今日こそ明日から(とんかつ)さんのオススメ!
『パンプキンシザース』! うおー、懐かしくないですか!? いや、途中から、時間がなくなってしまったりして読めていなかったことを思い出させて頂いたんですけれども、懐かしい!
初出を見たら、Amazonでは第1巻が2004年でした。18年前!? ひゃー、なんてことでしょう。
紛争というか戦後ものというか、漫画で「戦争ってこういう面倒くさい側面がめちゃくちゃあるよね」ということを、真っ向から描いた先駆者といえる作品では。
当時はタイトルからして、斬新でしたね。分厚いカボチャの皮を切るハサミというのは、すなわち「無理ゲー」的なニュアンスだったんじゃないかと今改めて思います。
いやー、これを機に全巻踏破したいと思います。ありがとうございます!
さて。
ここまでご紹介したもの以外に、まだコメントを頂いたツイートがあるのですが、どうやらnote埋め込み限界をきたしたらしく、いきなりツイートのコピペが弾かれるようになりました。えー、なんでー?
記事を白紙にして、コピペしたりといろいろやったのですが、どうやら現状が「ツイートの紹介数の限界」なのかしら(?)。記事が長すぎた(?)。
頑張れ、note。わざわざ全コンテンツを間引いて引っ越したのに。また引っ越すの嫌ですめんどくさい。
そんなわけで。
今回ご紹介できなかった分は、次週、ご紹介したいと思います!
コメントを下さったクルーメイトに、今後も素晴らしきエンタメとの出会いがありますよう!
あとがき 今週の飯テロ 深川飯
東京都現代美術館へ行くつど、あさりがたっぷり深川飯を求めて各店を順々に制覇中。
丼に加えて、汁ぶっかけ+ダブル卵投下を賞味。美味かったです! ものすごくお腹いっぱい!