日曜日のクルーメイト #0047 New Hedder!!
ハレルヤ、クルーメイト!
だいぶ遅れてのお届けとなりましたが、今週の日曜日は、いかがお過ごしでしょうか?
冲方は当マガジンの新たなヘッダーを作成すべく、朝から孤軍奮闘しておりました。
誰かに頼めばいいものを、楽しくなってしまって何時間も書影を並べ直してはサイズを調整するということを繰り返し、今しがたやっと完成しました! やったー!
今週はまず、そんなヘッダーとの戦いからご紹介!
今週のヘッダー苦労話
書籍をパズルのように並べ直し続けること小一時間。
どうあがいても物理的に並べて綺麗に撮ることはカメラマンではない自分には無理であると悟り、書影を切り貼りしてヘッダーを作ることに。
さらに並べ直し続けること小二時間。
自分はデザイナーでもないことに気づきつつも、ひたすら試行錯誤。
やっと並べ終えてのちサイズを調整したり、ちまちまと修正を繰り返すこと小三時間。全ての書影とバナーが収まりました!
やったー!
さあ、サインを入れてアップロードです。
と思ったところで、痛恨のミスが発覚!
慌てて修正したものがこちら。間違い探しです。一冊入れ忘れておりました。どれだかお分かりでしょうか。担当氏に申し訳ないので書名は言えませんが、ネズミの隣の本です。
いやはや、気づいてよかった……。
さてはて。上段が連載進行中、下段右がコミカライズ、下段左が既刊という感じになっております。
まだお読みになっていないものがありましたら、ぜひお手に取って御覧頂けたら幸い!
また、最近になって「冲方丁」を知ったが、どんなものを書いているかわからない、何から読めばいいか迷う、という方に、ぜひお勧めしたいものがあることを思い出しました。
こちらです!
冲方丁まるごと試し読み合本1996ー2016
「あっ、なんと! 今年は冲方丁デビュー20周年ですよ!」と、2016年も半ば以上過ぎた頃になって、いきなり思い出した当時のKADOKAWAの担当氏が発案し、そして実現してしまった、驚愕の無料企画がこちら!
冲方サミット関係全社を横断し、1996年から2016年までの20年間に冲方が書いたり関わったりした全作品を、試し読みすることができます。
なんと総計1665ページという、狂気の試し読み無料合本版、どうぞお試しあれ!
今週のネタ話1 「ラノベ作家の年収8000万」?
つい先日の話題ですね。
冲方もたまたま知りまして、最初は「おお、最近のラノベ頑張ってるな」などと思ってしまいましたが、どうも根拠があるのかないのかよくわかりません。
ネタとして大喜利状態になっている模様からすると、あまり根拠がなさそうです。そもそもクワガタ養殖者のカロリー消費から睡眠時間まで算出するとは、どうやって統計を取ったんでしょう。
もうこの時点でネタです。真面目に受け取ると損かもしれません。
また常々、冲方は、年収などの「平均」という考え方がそもそも数字の罠であるのでは、と思っております。
極端な例ですが、Aさんの年収が1億五千五百万で、Bさんの年収が五百万だとすると、二人の年収の平均値は8000万です。
AさんとBさんの格差は、平均値にした時点で見えなくなってしまいます。
ただまあ余談ですが、冲方が知る限り、Aさんなみの年収の方々は、けっこういた気もしますね。今はどうかわかりませんが。
ただ、「数十年スパンで、だいたい同じような年収をキープできるか」というと、厳しいのが現実でしょう。
それよりも大事なのは、「過去の遺産をみんなで消費し尽くす」と、誰も食えなくなるということ。
ジャンルというのは「創発」的なもので、個々の作家がそれぞれ活躍することによって、ジャンル全体がスイミーの群みたいに育ち、やがてそのジャンルに属することで、金銭以外の、ステータスといった様々な利益が得られるようになるわけです。
その創発を支えるのは、過去に提供された様々なアイディアです。
「密室」というアイディアとか、「勇者」という造語的フレーズによって成し遂げられた、ある種のキャラクターイメージやストーリーの枠組みとかいったものですね。
ジャンルは、そうしたアイディアの集積によって、より多くの人々の参加を容易にすることによって成り立ちます。
ただし、参加者があまりに過去のアイディアを安易に消費し過ぎると、やがてはそのジャンル全体の価値が崩れ落ちていき、参加する人間全員が、だんだんと食えなくなります。
そうならないよう、常に個々の作家が、過去の遺産に依存していることを自覚しつつ、新たな創発のきっかけになるような何かを、こつこつ模索し続けることで、自分だけでなく、「みんなが食えるようになる」ことが大事なのではと思います。
個人的には年収云々よりも、こうした努力のほうに心を振り向けたいものです。
今週のネタ話2 『骨灰』 お守りの数え方は?
『骨灰』の試し読みはこちら!
というわけで、今月も無事に脱稿したわけですが、現代日本を舞台にした祟り系ホラーというわけで、神社の用語がけっこう出てきます。
意外に一般的ではないので、作中でちょっと説明を加えているのですが、たとえば、お守りを買ったり、お祓いをしてもらったとき、神社に支払うお金のことを、なんと呼ぶか、ご存じですか?
「初穂料」です。
神様にその年の初物を献げて感謝したことから、そう呼ぶそうです。ただし弔事では、その言葉は用いず、代わりに「玉串料」と言うとのこと。こちらは神様に拝礼する際の玉串という捧げ物からきているのだとか。
そしてその初穂料で、お守りをいくつか買いたいとき、どのような数え方をするでしょうか?
答えは、「一体、二体、三体……」です。
神様の数え方である「一柱、二柱……」とは異なるのが意外ですね。
これはもともと御札の数え方だそうで、神様の力がやどる御神体であるということのようです。お守りは御札を入れて携帯するためのものですので、中の御札と同じように、「一体、二体……」と数えるとか。
ちなみに、御神輿の数え方は「一基、二基……」、特に神社などの神殿に降りてきてくれた神様のことは「一座、二座……」と数えるとのこと。
代名詞もそうですが、日本の助数詞の多さを実感する、ちょっとしたネタ話でした。
今週のネタ話3 『マルドゥック・アノニマス』第41回 アクション用マップ公開
さて、『マルドゥック・アノニマス』第41回は、怒濤のアクション回となります。
ハンター一派VS離反者たち+シザースの全面抗争!
これまで登場しなかった、ハンター配下の全エンハンサーが集ってアクションを繰り広げるため、人数も六十名超とかなりのものに。
こうした多人数アクションに欠かせないのが「空間の設定」。
誰がどこにいて、どう移動し、同じとき他の面々はどこにいて……と、延々と空間把握をし続けねばなりません。
そのため、プロットを組みつつ、せっせと作っていたのが、こちら!
新設定の、マルセル島。
長靴の形をしており、通りも、人間の足の部位にちなんだものにしております。
ヒール(かかと)・アヴェニューとか、アンクル(足首)・ストリートなど、表記だけで、「だいたい島のあの辺りだな」と、ぱっとわかるようにしたかったからなのです。
DCFはダンデリオン・コンテインメント・ファシリティという、路上生活者収容支援施設のこと。
ハンター側は、この施設とリデンプション教会を支配する〈Mの子たち〉の一掃を狙います。
マルドゥック市における位置はこちら。
東のリバーサイドの真下にある島ですね。
ちなみにマルドゥック市は、ニューヨークのマンハッタン島と香港辺りを参考に設定しております。
文庫『マルドゥック・アノニマス』第七巻では、地図を作成しよう、と担当氏と話し合っており、きちんとデザインされた地図をお届けできると思います。
アクション参加人数60人超えは、『テスタメント・シュピーゲル3』以来のこと。
腕によりをかけて、しっかりと書かせて頂きます!
どうぞお楽しみに!
今週のネタ話4 アヴェニューとストリートの違いは?
またしても、ここで小ネタです。
英語で道路といえば「ロード」ですが、なぜか都市では、「アヴェニュー」と「ストリート」と表記されます。
同じ道路なのに、どう違うか、ご存じですか?
実は、この二つを使い分けるべき、明白な理由があります。
それは、アヴェニューとストリートは垂直に交差している、ということ。
いわゆるグリッドの上下・左右を区別する表記であるわけですね。
とりわけアメリカの都市部では、「アヴェニューは南北」に、「ストリートは東西」に走る道路、という具合に名付けられているとか。
この違いを知っていると、アヴェニューかストリートかの違いを見てとるだけで、だいたいどの方向へゆく道か、すぐにわかるという利点があるのです。
ちなみに曲がっている道やロータリーっぽい道は「ドライブ」とも言います。
映画『マルホランド・ドライブ』のドライブですね。DR.と略されます。
ぜひ、こんな小ネタも念頭に置きつつ、『マルドゥック・アノニマス』最新話をお楽しみ頂ければ幸い!
次号のSFマガジンは、2月中旬の発売となります!
クルーメイト・トーク
先週のお題回答、ありがとうございました!
今週もコメントを頂いておりますので、さっそくご紹介して参ります!
森人さんからのコメントです! いつもありがとうございます!
海外でのことって、体験した側からすると「普通」なので、思い出して書くのにワンテンポ必要なんですよね。「あ、そういえば、こんなことあったっけ」と、他の話題に引っ張られる感じで出てくることが多いです。
つい自分で「そんなに大した話題ではないし」と思い、個人的な体験を、人と共有できる経験として伝えることを怠りがち。
ただ昨今、多くの方々が気軽に体験を発表できるメディアが増えたこともあってか、「体験話のニーズ」も増えた気がしますね。
あ、いっそ、これをクルーメイトのお題にしてしまいましょうか。
クルーメイトの体験を聞くことで、冲方も「自分もあったなあ」と思い出すきっかけになるはず。
そんなわけで、このコメントトークの終わりに、次のお題を出したいと思います! 良いネタをありがとうございます!
薔薇肉船舶さんからのコメントです!
そうなんです。
半熟卵のはずなのに、ネズミが出てくるんです。
確かに知らない方々からすると、「???」となることでしょう。さらにそのついでに、ウフコックに興味を抱いてほしいものです。
美少女化は、海外にも波及したというか、そもそもどこから来た遊びなんでしょうね。
風刺画なんかは、世界中ですでにありましたし。
あと個人的に、そういうネタで思い出すのはスエズ運河のタンカーです。
冲方も困惑しましたし、運河で働く人たちは大いに困惑したことでしょう。
なんでタンカーなのかと聞いたところで、誰にも答えられないに違いありません。
中には不謹慎だと怒る方もいますが、やはりこういう遊びは、困惑しつつ一笑に付すのが一番。あまり目くじらを立てて怒るべきものではないと思います。
新条拓那さんからのコメントです!
こちらこそ、いつもありがとうございます!
様々な意見を広く集めることで視点が広がるのは当然のことながら、やはり実際にやってみると、得るものが大変多いですね。
冲方としても、とても有意義でした。
冲方ラジオはですね、実はそういう企画があったのです。
そもそも、ステイホームのためイベントができなくなったことから、サミットでも「動画配信しよう」「ポッドキャストやろう」という意見が出たものの、みんなその手の操作が苦手で、イベントの録画や配信にすら失敗する面子では、とても無理だろう、ということになり、代わりにこのnoteマガジンが立ち上がったのでした。
いずれ配信が得意な担当者が現れることを願いつつ、今後も、ラジオのノリを取り入れた記事にしていきたいと思っております。
コメント募集 クルーメイトの海外体験!
さて、ここで新たにクルーメイトのコメントを募る「お題」を出したいと思います。
クルーメイトの海外体験を教えて下さい!
海外で体験した印象的なできごと、あるいは日本国内で外国の方々と接して意外に思ったこと、ニュースなどで見た「海外は違うなあ」「意外に日本と同じなんだなあ」などといった体験を、せひ、
#日曜日のクルーメイト
こちらのハッシュタグをつけて、ツイートして頂くか、当記事のコメント欄に書き込んで下さい!
クルーメイトの体験をお待ちしております!
あとがき
おう、もはや夕方です。
ヘッダー制作のおかげで、小一時間どころか小四時間くらいかけてしまいましたが、個人的には納得の出来でありますので、仕方ないといたしましょう。
今週は小ネタをちょくちょく挟みながらの記事にしてみました。いかがでしたでしょうか。
そして気づけば四十七回。これはもしかすると一周年を迎えてしまうかもしれません。飽き性の冲方としては、ネットの記事をこんなにこつこつ書いたのは初めてのこと。
ひとえにクルーメイトのコメントに支えられての記事。一周年の折には、ぜひまた何か、クルーメイトへの御礼となる企画を考えたいところです。
ではでは。
どうか今週も、健やかで充実した一週間をお送り下さい!
冲方丁でした!