南極

「国技館ロイヤルランブル」(13/終)「It's "SUMO" World」

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(先場所の様子)

「どすこーい!」

「どすこーい!」

『大相撲混沌場所ロイヤルランブル事変』から数年。"次元猟犬"多角力が土俵へ顕現するなど相撲業界の様相は激変したが今もクラシカルな伝統相撲を続けるのが大銀河部屋の力士達だ。大横綱の名跡を継いだ横綱大銀河を中心とする銀河軍団はいまなお日本の伝統美を象徴している。

「どすこーい!」
「どすこーい!」

豊臣秀頼による日本支配の野望は潰えた。己の全余命と土俵に埋め込まれた歴代横綱のマゲを媒介にした木村庄之助の《差し違え》によって歴史の分岐点を切り開き清浄な歴史と幻想世界を土俵上で融合させたことで傷ついた力士たちは再生したが、この事変は相撲史に大きな爪痕を遺すことになった。

ロイヤルランブル制によって旧態依然の形式から解放された大相撲は、理事長の思惑を超えて世界中からの支持を集めエンジョイ&エキサイティングなエクストリームスポーツ" SUMO" としてさらなる飛躍を遂げてしまったのだ。もはや後戻りはできない。

世界規模の開催となった本場所からは「夏場所」や「春場所」という呼称が消えかけたがハーキュリーズ・ヘラクレスの仲立ちでオーストラリア政府との「変更なし」という合意を得ることができた。それ以外にもメキシコ場所の治安問題等、これからも難題は山積している。

もはや、旧来の角界は終焉の時期なのかもしれない、不安はある。それでも力士たちは黄昏を超えてすり足で飛ぶのだ。

「俺たちの相撲を見ていてください!」

そして、大銀河は稽古場でラダーマッチ稽古を開始した。

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その後の力士達
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十両→小結 田中
スピード出世の若武者の成長はマゲが伸びるよりも早い。

十両 生之際
マゲを千切られたが「角界の生はげ」として奮闘中。

前頭 茹太郎、小諸山、梅茂斗、富士卒婆
ヒールユニット「黙示録の四力士」を結成。角界内外の人気を獲得した。

大関→引退 大失恋→失恋親方
ランブル後に引退して失恋部屋を新設。後進の指導に当たっている。引退後は結婚、子宝にも恵まれた。

大関 群馬灘
部屋頭なのに生之際にいびられる生活が続いている。支度部屋では「群馬県に海がない」ことを知らされ泣きじゃくる姿が目撃された。

横綱→引退 万寺
ランブル後に引退。失恋部屋には移らずメキシコを放浪。スラムで若きマリアッチと出会い角界へ帰還する。

横綱 若銀河→大銀河
父の名跡を背負い128連勝越えに挑む。

元小結→収監 爆弾魔(炸裂親方)
火薬類取締法違反で逮捕。死刑判決だが助命嘆願も多い。

元関脇→逃亡 八極弾(追放)→プロレスからも追放
国内諸勢力の追及を逃れて海外逃亡。

元大関→引退 肉達磨(肉塊親方)
一命をとりとめるが肉塊部屋は解散。大半の力士は新設された失恋部屋へ移った。

元横綱→引退 大銀河(大銀河親方)→大銀河の名跡を返上
初めての「敗北」によって成長した愛息の256連勝を目前に満足げに息を引き取る。

乱入者→前頭 爆弾怪人 時限ゼミ→十七年
幕下付け出しで相撲デビュー。蝉らしい堅実で辛抱強い取り組みで人気力士となった。

乱入者→横綱 ハーキュリーズ・ヘラクレス→超春原
幕下付け出しで相撲デビュー。大銀河の連勝記録を毎場所脅かす最大の強敵に成長した。超春原と書いて「ヒュペリオン」と読む。

理事長→隠居 大春原理事長→辞任
「ロイヤルランブル事変」画策の責任を取り理事を辞任。炸裂親方等への助命嘆願を成立させるなど関係者の保護に走り回った。

国家安康党 党首→旅人 豊臣秀頼(本人)
神話相撲の中継延長で放送時間を圧迫してしまい、秀頼自身も大河ドラマ『久秀ドーン!』の視聴を優先したため由比輝との決着をつけないまま撤退。初めて全力で打ち込んだ相撲が楽しかったようで組織を解散してからは諸国漫遊すもう旅に出る。

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この作品はフィクションです。実在する人物や団体とは関係ございません。また出演者は十分な訓練を積んで撮影に臨んでいます。決して真似をしないでください。また本作品の撮影中に動物を……zzz……zizizizizi……

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南極上空!!
NASAの監視衛星が自然物にしてはあまりにも不自然な「フラットな円形の棚氷」を発見した。

「ヒッヒッヒッ! ヒゲの旦那! 今度こそ日本相撲協会を懲らしめてやってください!!」

その氷上に居たのは、何やら畏まった軍服を着こんだ八極弾!!

「……」

モグモグとチョビ髭の口を動かし応える顔色の悪い男。
おお、なんということだ、その顔は……!!

"今度はイタリア抜きでやろうぜ!"なんつって、ヒャハハハハハ!!」


「国技館ロイヤルランブル」

【終】


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お望月さん
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