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オーディオドラマ『ハニカムウォーカー、また夜を往く』 「ルールとマナー」最速レビュー

心理テストです。

あなたは椅子に縛られています。いつの間にか侵入してきた美女、猿ぐつわを噛ませたあなたに一方的に喋り続けるツノの生えた女、に拘束されています。女が名乗りました。つまりあなたを生きて返すつもりはないということです。彼女はあなたの猿ぐつわを外そうとしていますが、声を上げた瞬間に殺されます。その手際は苦しむ暇もない甘美なものです。

あなたが次に摂取するべきコンテンツとはなんでしょうか。

どうも、お望月さんです。
高橋白蔵主先生が連載中の伝奇ノベル『ハニカムウォーカー、また夜を往く』の第一話「ルールとマナー」完全オーディオドラマ化(!)されました。

連載第一話が、ほぼメアリ・ハニカムウォーカーさんの語りだけで進行することに着目し、そのまま朗読させたらオーディオ・ドラマになるんじゃない?ということで、即実行したそうです。

ジャンルは「これから殺される系ASMR」ということで、そういう趣味の方にはバッチリおすすめです。お好きな入口からどうぞ! 私は買い切って48分くらい拷問され続けました。

全話(買い切り)

連載(全11話)

オーディオドラマを聴いた感想

読み手によって時間が圧縮される小説を、そのまま時間芸術である音声ドラマに変換するというチャレンジングな試みながら、声優・工納由衣さんの声色や演技力によって、原作の語り口がそのまま現実化している感動を浴びながら、48分をノンストップで聞きとおすことができる作品でした。

メアリさんのトレードマークのとぼけた口調だけではなく、真剣なメアリさんや怒るメアリさんを再現する演技力、綿密な演技指導や調整があったのだと思います。

自作品のオーディオドラマ化という夢のまた夢のような話が、比較的実現可能な距離にあるということが分かったことは心強く、これからも体験記で明らかになっていくそうです。創作している人は、体験記の更新を楽しみにして下さい。

いざ聞いてみると、約50分間を一方的に語り続けるメアリ・ハニカムウォーカーさんの圧力はすごく、拷問と殺戮を軸に縦横無尽に巡る話題は聞き手を飽きさせません。

うっかり依頼人を漏らして、完全に退路を断つシーンが本当に最悪で「こ、この女~~~!」度がめちゃうま。脚本の妙だ。

「殺す方が楽なのに、わざわざ話をしてあげてるんだから、こちらの苦労も理解して譲歩してほしい」みたいなニュアンスが声色からしっかり伝わって来るのもオーディオドラマ化効果がありますね。

実はこの物語の主題は「少年騎士と暗殺者お姉さんの絆」であることが明らかになる中盤、真剣なまなざしのメアリお姉さんの声色は必聴です。

本筋の、拷問されている自分の姿を忘れて思わず聞き入ってしまう指にまつわるエトセトラも魅力的で

「親指すごいよ、超スゴイ。手を使う生き物は親指が発達していて、何かを掴むときに必ずそれを使う。文明は親指が作った」
「小指ってさ剣を握る指なんだよ。切っ先から遠いところに力を入れれば、ホラ、これが小指で握った剣の振り。どうだいすごいだろ?」

みたいな話をしたうえでの「じゃあどの指を○○○○」には最悪すぎて爆笑しました。これはいいものを聴いた!!

お詫び

なお、冒頭の心理テストはアロハ天狗先生のパクリです。


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