『明暦のシンディローパー』「明暦大火異聞(一)」
「対象は室内。発見次第射殺許可有」
感情奉行与力犬養殲衛門が無感情に檄を飛ばしベレッタを構えた同心二名が障子を蹴破り突入した。
BLAMBLAM!!
次々と反幕分子が排除され暴力とLED間接照明に満ちた室内で前時社奉行長官夢山田羅山は面を挙げた。
「そろそろ来ると思っていたよ」
「長官、投降して下さい」
「君は、おかしいと思わないのか!こんな感情を失った世界!未来はこんなにも輝かしいのにィ!」
禁令の感情刺激物に囲まれた感情的な熱弁。時空管理社を勤めた夢山田は〈偽りの未来〉を夢見てしまったようだ。やはり感情起伏は戦争と悲劇を生み出す……。犬養与力は無感情に夢想家を射殺した。
「夢山田長官、成敗」
しかし、わずかに遅かった。
夢山田が開いた時空ポータルから[最終兵器]が流れ始めたのだ。
♪[I come home in the morning light]♪
ポップ・ミュージックという名の悪魔が与力の胸を強く打った。
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