リカルド・リチャーズシリーズ④「訣別の銃声」(約400文字)
切断ワイヤートラップを飛び越えて、硫酸ポンドトラップを飛び越えて、鉄柵越しに獰猛殺人黒山羊を殴りつけて、リカルド・リチャーズはついにCIAビル6階へ到着した。
傲慢なビル・ウィリアムズは、
「なんの用だ」
と言うと上等で高級なカーペットへ葉巻を投げ捨ててナイトガウンから上等なスーツに着替えた。
「出かけるとしよう」
ビル・ウィリアムズCIA副総裁はエレベータの呼び出しボタンを緩慢に押下する。旧式エレベータの階数表示メーターが左から右に動き始めた。
「なんの用だ」
とビル・ウィリアムズが質問をすると、寡黙なリカルド・リチャーズは、
「道々話す」
とだけ答えた。
「昔からお前は変わらないな」
とビル・ウィリアムズが傲慢に言うと、
「変わらないさ」
と寡黙なリカルド・リチャーズは胸元のドッグタグを見つめるとかすかに火薬のにおいが漂った。傲慢なビル・ウィリアムズも胸元からドッグタグを取り出して見つめた。
それは1960年代のことであった。
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