モデルニスモ・マダム
新しいお客様が来る時の一番嬉しいきっかけは、すでにお仕事頂いたお客様からのお薦めという口コミ。
今回も工房オープン当時からお付き合いのあるお客様・ラモンからの紹介です。
ラモンとの馴れ初めはこちら↓
新しいお客様はラモンの相方、アルベルトの幼馴染のお客様・クリスティーナ。
幼稚園の先生をしているとっても朗らかな人です。
クリスティーナのおじいさんの家だった大きなお家を親戚で分担してリフォームし、3世帯で暮らせるようにする予定だそうです。
3階建ての家はとても素敵なモデルニスモ様式で、建設されたのは1890年頃。1911年にクリスティーナ一家の所有となっています。家具だけではなく、建具の木のドアもすべてオリジナルのものをリフォームしています。
家具は、お家に合わせたモデルニスモ様式のものがほとんどで、少し虫食いはあるけれどとても状態が良くて、大切に使われていた様子がわかります。
おうちのある村の辺りはガウディと同じ時代に活躍した建築家ドメニク・イ・ムンタネールの出身地の近くで、そのためモデルニスモの建物がたくさん残っている土地柄です。
最寄りの駅の目の前にたくさんのその時代の建物が並んでいますが、とても可愛らしい、おとぎ話に出てくるような家ばかりです。ちょっとお菓子のお家的な趣きで心の底から憧れちゃいます。
クリスティーナのお家の玄関の床もオリジナルの水圧モザイクタイルを残してあって、めちゃめちゃ可愛いバラのモチーフでキュンキュンします。
水圧モザイクタイルはバルセロナ建築のシンボルと言っても過言ではないほど重要な部分で、19世紀の建築にはほとんどこのタイルが使われています。近年になってそのデザイン性が改めて評価され、リフォーム工事を中心に再ブレイクしています。バルセロナ市のお土産にもよく使われているガウディデザインの歩道の石畳もそんな床材リバイバルの一環です。
さて、今回の案件は、お家のリフォームに合わせての家具修復。
最終的には居間とダイニング、バス・キッチンのすべての家具を修復する予定です。
まずは水回りの工事と絡むこちらの洗面台キャビネット。
蛇口や排水口を設置する前に家具が出来ていないといけないので、
見積もりする予定で行った訪問で、そのまま引き取って作業スタートとなりました。
虫喰い処理と、どうしても湿気で傷んでしまう脚の部分を中心にニスの塗り替え。見た目にはあまり分かりませんが古いニスは乾き切っていて手でサンダーをかけるだけでどんどん落ちました。
さらに取っ手の金属も丁寧に磨くと、緑がかった茶色の汚れの下に隠れていた真鍮が出てきました。取っ手の部分はいつも、パーツが足りなかったりデザインが古めかしかったりで、オリジナルの取っ手を使えるケースは3割くらい。今回はとてもありがたいコンディションです。
そして今回一番ステキなポイントは、お客様のアイデアで、トーネットのロッキングチェアが壊れて余っていたパーツをタオル掛けに。どちらもブナ材。しかもどちらも着色されていない物なので色も同じで、もともとのパーツかのようにピッタリ🙌🏼
洗面台は大理石とは言え、水回りなので部分的に合成ニス仕上げもしてあります。大理石は汚れを磨いて落として専用のバルサム(?)クリームで保護。致命的な汚れではなかったので綺麗になりました。
時間に追われたエクスプレスリニューアルでしたが
とても素敵なモデルニズム様式が生まれ変わりました。
素敵な1900年代のお家でキーアイテムになりそうな家具。活躍が楽しみです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?