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あると助かる“定規”

また最近続いている籐編みのお仕事。
さすがに回を重ねていけば上達している実感もあります。
さらに今回は一枚目の座面を仕上げたら同じ座面をもう一枚、同じお客様が持ってきてくれちゃったので
素晴らしく練習に(なんて言ったら失礼ですけど)なってしまってます。

曲線のないストレートな長方形を編むので
とても数学的に編み方を決められて気持ちがいい。
前回、縦横を絞めすぎて斜めが通しづらかったので今回は少し緩めに縦横を編んでみました。

そして、先生は
「斜めを通すと自然と縦横はくっついて、収まるべき場所に収まるから大丈夫」と言っていたけれど
どうやら斜めを通す前に縦横をキチッと格子柄に張り直しておくとやっぱキレイかなと思って
キッチリと定規で間隔を均等に並べておいてみた。

格子柄をハッキリと


するとやっぱり仕上がりは美しい。
迷いにくくなるし数学的な角度が見えてくるのでおさまりがいい。

秩序と言いましょうか、
決まり事と言いましょうか
一定の軸(この場合は定規なんですが)
が、あると言うのは
時に、物事をスムーズにシンプルにしてくれるようです。

軸があるから何が外れていて何が沿っているのか分かってくる。
見え方がスッキリする。
うわ、
軸があること、大事。
何をしないといけないのかっていう答えが簡単に出てくる。
合理的。

子どもがお絵描きする時、
ただ白紙とクレヨンを渡されて
どうしていいか分からない事があるそうです。
絵心があって描きたいものがすぐ浮かぶ子どもならどんどんそれを白紙にのせていくだろうけれど
一方で、「白紙とクレヨン?だからなんなのよ」
な子もいるわけです。
何を隠そう、うちの息子もこのタイプ。上のお姉ちゃんは迷わずどんどん描いていくタイプだったので電車移動や待ち時間にノートと色鉛筆さえあればいくらでも楽しんでいられたのだけれど
下の息子にはまったく意味をなさず。

ところがある日、わたしが
「クマちゃん描いてみようか」と
とても単純なクマの絵を描いてみたところ
水を得た魚のようにそのクマを真似してどんどんクマを描き始めました。

その日以降はとにかくお絵描き、ならぬクマ描き。
クマ、クマ、そしてクマに続くクマ。
決してネコとかライオンに派生することはなく一途にクマ。ひたすらクマ。
でもここで絵を描くということが彼の人生に刻まれたのでした。

平和な風景画
人物=クマ
自分の絵もクマ

そんなクマブームはその後、5、6年ほど続き
アベンジャーズを描くにも、キャプテンアメリカはクマベース、マイティー・ソー、スパイダーマン、ナターシャ、ブラックパンサーもクマ。
エルキュールポアロのドラマを観た後もポアロはクマ、ヘイスティングもクマ。
ハマっていたドラマSWATの登場人物も全部クマ。
ファンタジーキャラのケンタウロスも上半身はなんとクマ!もはやケンタウロスなのかクマ馬なのか分からないと言う、とにかく描くものはすべてクマでした。

アベンジャーズ。みんなクマ。
ポアログマ。

話がクマ脱線しましたが
つまるところ
何か小さな決まり事というか
お題と言うべきか、
軸になる“モト”があると取っ掛りやすい、と言うのは事実のようです。
その軸を、踏みしめる地面として
その上で歩いたり走ったりするかのように。
完全な“無”からのスタートはちょっとハードルが高いのかも知れない。

人生も
どこに向かう、何をしたい、という“軸”なしに生きるのは難しい。
何はしてよくて何をしてはいけないのかという自分のルール。
宗教なんてまさに人類が必要とした軸だったんだと私は考えています。

まあ、何事もほどほどに
なんですけど
(クマ教はすごかったからね 笑)
地に足をつけるように
軸を抱いているのは大事。
幾何学を編みあげるのなら定規は大事。

と言うお話でした。

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