60個のボタンに込めた姉妹愛
ウベコ工房が気に入ってるアイデアの中に、縮緬端切れで作ったくるみボタンがあります。
チェスター風に椅子を張ったりする時のボタンにしようと思いつき、デニム地にこの色華やかなくるみボタンを合わせてみたりしてます。
ちりめんくるみボタンでデニム張ったチェアのエピソードはこちら↓
その時に余った素材で小さな額を作り、サンプル感覚で店に飾ってあります。
ある日、それを見たお客様が飛び込んできて、
「作ってもらいたいアイデアがあるんだけど」
彼女にお姉さんが今年60歳になると言うことで、誕生日のプレゼントにちょっと特別なものを作りたいと言うことでした。
お姉さんは、裁縫が好きな人なので、小さい頃からいろんなものをお母さんや彼女に作ってくれていました。そのお姉さんに60個のボタンを並べた、特別な額を作りたいというのが彼女のアイディアです。
プレゼントって、その人のことをどれだけ知っているか、どれだけ理解しているかっていうことが現れるものだと思います。
こんなにお姉さんのことを考えた、愛情のこもったプレゼントあるでしょうか。
アイデアを聞いた時からワクワクしてしまいました。
後日60個のボタンの候補である、150個以上のボタンを持ってきてもらい、一緒にどのボタンをどんなふうに並べるかセレクトしました。
ボタンの中にはお母さんのコートのボタンだったもの、小学生の頃に毎日着ていたシャツのボタン、いろんな思い出のこもったボタンがたくさんありました。
そしてベースになる絵柄は、お姉さんが刺繍の作品をたくさん作ったときの下絵の1つです。その下絵の原画に沿ってボタンをつけていき、それが60歳のお姉さんへの特別なプレゼントになります。
額は工房にあった木彫りの額を、お姉さんの好きな紫色にペイント。下地はシルバーのサテンをお客様が持って来られたのでそのシルバーに合わせて少し額にもシルバーワックスを。
本人たちにしか分からない意味が60個詰まったプレゼントです。
お姉さんは喜んで、泣いてしまったらしいです。
心震える瞬間です。
こんな風に誰かを、全然知らない人なんだけど、笑
幸せにできるなんて、この仕事をしてなかったらありえなかった。
私のくるみボタンの額を見て、こんな素敵なプレゼントを思いついたお客様に感謝感謝です。
ね、
人と人が交わると必ず何かが生まれる。
誰かを喜ばせたいっていう気持ちは倍増する。
こんな出会いがあってウベコ工房は今日もハッピーなのでした。
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