ピアノが欲しい
家具工房をやってるといろんなオファーや問い合わせが入ります。
家具と関係あるものから
関連あるかな〜、みたいな話、例えば
引越してきた先のマンションに家具がいっぱいあるんだけど買いとってもらえない?とか
そして全然関係ない事柄まで。
駐車場売りに出してるんだけど興味ない?とか。笑
今回は関係あるようなないような話からスタート。
一年くらい前の話なんだけど。
古いピアノを電子ピアノに買い換えるんだけど古いピアノ要らない?って。
正直欲しいんだけど場所取るよね。
う〜ん、と悩んで友人たちに聞いてみたところガラス細工アーティストのハナが
「欲しい!」と。
ピアノって運送料が問題なんだけどそれは彼女が手配できてピアノは無事ハナの工房へ。
それが確か春先だったかな。
夏休みが終わった頃に息子コウタロウが
ピアノ弾きたい。と言い出した。
カシオの電子ピアノがあるのでそれを弾いて遊んでいたんだけど
一緒に触っているうちにだんだん私もピアノが欲しくなってきて
Wallapop (日本のメルカリね)で100ユーロで売りに出ているステキなピアノを発見‼️
さっそく見に行って
うん、調律が必須だけどなんかトキメク‼️
決め‼️
さて、問題の運送は売り手のおじさんホセ・ラモンが提携している運送業者にピアノ専門業者がいてその日のうちに連絡をくれて翌々日に持ってきてくれる事になりました。
スーパー迅速対応で感動。
ラテン系のお兄ちゃん2人なんだけど対応が神だった。
ちなみにこのホセ・ラモン、家を空っぽにしてくれるお掃除屋さんを生業にしていて
引き取ったものをリサイクルショップ的に販売しているおじさん。
家具からピアノ、絵画、鏡、レコードプレーヤー、食器、おもちゃなどなどなんでも売ってます。リサイクルショップやね。
ピアノ運送業のお兄ちゃんのたちは重いものはなんでも来いで、ホセラモンの販売するジム用品とか200kgの大型金庫とかを運送してくれるらしい。
ピアノは350kg。驚いた事にこれを2人でヒョイっと担いで運んじゃう。
時には階段で7階とかまで運ぶらしい。
スポーツ選手並みに引退が早そう。笑
そんなわけであっという間に納品してくれて
工房にピアノ。
木彫りになっている部分はその日のうちに
早速古いニスを剥がしてナチュラルウッドまで進めました。
大満足。
あとは調律だけど
まあ、ちょっとずつ。
そんな搬送をしっかり見ていた野次馬ご近所さんチャビィが
「うちの向かいのおじさん、プロのピアノ弾きだぞ、知ってた?」って。
「サトコがピアノ手に入れたみたいだぞ、って言っといたからきっと見にくるぞ」
どんだけ野次馬おせっかいやねん 笑。
そして本当に来た。笑
工房オープン当時引き出しの取っ手を譲ってあげたおじいさんで顔合わせるたびに挨拶はしていたけれど、まさかピアニストだったとは。もう今はすっかり引退して、ほとんど公の場ではピアノ弾かないみたいだけれど、昔バンドで活躍していた頃の写真を見せてくれました。主にジャズやスイングを弾いていたそうです。
私のボロボロのピアノを弾いて
「こりゃ調律しないとダメだなぁ。ハハハ。」
と笑っていましたが、ポロポロっと戦場のメリークリスマスを弾いてくれました。
ピアノに興味がある人が近くにいて嬉しかったみたいです。
小さな村だけど、いろんな才能を隠し持った人が意外なところにいるものです。
後日、坂本龍一さんが亡くなった時、工房を訪ねてきて
「ニュース見た?残念だなぁ。素晴らしい音楽家だったのになぁ。」
と、切なげに語っていきました。
ピアノが(チャビーが😂)つないでくれる縁。
それもまた素敵です。