ワーグナーから出てきた思い出
今日はmm単位でカスタムメイドな
したローボード納品です。
究極カスタムメイドな家具製作
はコチラ↓
納品する前に工房に立ち寄ったお客様はヘッドフォンにリュックで、なにやら分厚い本を抱えてらっしゃいました。
出来上がったローボードに大喜びで、ひと通り写真をいっぱい撮って、「この棚だけ先に持っていくよ」と張り切って取り外しできる棚を持っていってくれることになりました。
「じゃあこの本はリュックに入れて・・・」
と、分厚い本を手に取って
「ワーグナーのオペラは好き?」
と聞かれました。
本はワーグナーのオペラの解説本のようで
ヘッドフォンはオペラを奏でていたようです。
「オペラ愛好家ではないけどワーグナーは好きかな」と言うと
「ワーグナーが好きなのにオペラには興味ないの?」
ええ、ワーグナーってそんなにオペラな感じなの?笑
ワーグナーへの親近感には理由がありまして。
小学生の頃、ブラスバンドに入っていてトランペットを吹いていました。
毎週月曜日の全校朝礼の最後に一曲演奏する習慣があったのでレパートリーが豊富なバンドでした。その中にワーグナーのタンホイザーがありました。当時はタンサイボーとか言って笑っていたおバカな小学生たちでしたが
今になって思うと普通はJ-POPなんかが多い小学生のバンドレパートリーにあって、我らが顧問の先生のセレクトはなかなか粋でした。
フニクリフニクラ
ビゼー・カルメン「前奏曲」
バッハ・主よ人の望みの喜びを
セントルイスブルースマーチ
世界は日の出を待っている
ラデッキー行進曲
コパカバーナ
アフリカンシンフォニー
サウンドオブミュージックなどなど
各種ミュージカルメドレー
毎日の音質トレーニングにはコラール集を使っていました。
小学4〜6年生で演奏するにはなかなかおマセと言うか、こんなかたちで世界に知られた音楽に触れるなんて貴重な経験だったかも、と今になって先生に感謝です。
”主よ人の〜“は先生の友人が亡くなった時のお葬式で流れた曲だったと言ってセレクトされたものでした。演奏会の本番で先生が感極まっていたのを覚えています。
そんな風に体を張って音楽の意味を教えてもらったのかも知れません。
オペラはオペラ座の怪人を15歳でロンドンのハー・マジェスティーズ・シアターで観るというとんでもなくラッキーな機会に恵まれて、それが唯一オペラへ関心を抱いたきっかけです。
が、当時は英語もさっぱりだし舞台の仕掛けや迫力には圧倒されたものの心が揺らぐ感動はありませんでした。
昨年、ハー・マジェスティーズでの25周年記念のDVDを字幕付きで見て、やっと作品と音楽の深さに気付かされ号泣でした。もったいないことしたなぁと悔やまれますが、いつかまた現地で観たいものです。
音楽はピアノを習ったりバイオリンをかじったり、トランペットは18歳まで、そしてまた最近仲間を見つけて時々吹いています。
楽譜が読めると言うことでたくさんの人がそれぞれの楽器を奏で、それが重なってひとつの音楽が出来上がる。
当たり前のことでしたが、世界にはいろいろな感性や認知能力、非認知能力の人がいると言うことを身にしみて感じてきた今となっては10歳前後の子供たちがバンドとしてタンホイザーを奏でるなんて奇跡のように思えます。しかも部活で!無料で!
スペインはそこまで教育に予算を割いていないのであんな私の体験はまったくもって奇跡的。
そういう意味では自分の子供たちに日本で教育を受ける機会を与えられなかったことに少し後悔したりもします。
その代わりに得たものももちろんあるけれど。
音楽にはやっぱふれてほしいかなぁ〜。