【文字起こし】琴葉葵の創作怪談読み語り 3話目「街灯下の影」

昔はよくお姉ちゃんと夜遅くまで外飲みしてたんですけど、その頃に何度か変なものを見たことがあるんです。

マリオネットってあるじゃないですか。
あんな風に関節部分だけがぎこちなく動く人影を何度か見てるんです。

そういう人は決まって夜の住宅街の街灯の下にいて、遠目に見ると酔っ払いかな?ってなるんですけど……

声を掛けようと近づくと座っていたその人は、腕の関節を持ち上げ、次に腰を持ち上げてカクッカクッって具合に立ち上がるんです。
ただどう見ても足には力が入っていませんし、マリオネットみたいに垂れ下がっているかの様に投げ出されていたんです。

実際、私はマリオネットみたいだなぁって、酔って危機感が薄れた頭で思い、なんとなくその人の頭上を見たんですよ。
マリオネットみたいに操り糸があったら面白いなって――ありましたよ。えぇ、操り糸が。確かに街灯の光に一瞬、きらめくのを見ました。

その糸に気づいた瞬間、私はお姉ちゃんを半ば強引に引っ張って家に連れて帰りました。
そして角を曲がる前に一度振り返って、街灯の下にいたマリオネット擬きこと人影を見たんです。

でも私は街灯の下の人影より、街灯の上からこちらを見つめる赤い2つの点の存在に気づき恐怖しました。
きっとあれがマリオネットもどきの操り糸を握ってるんでしょうね。
ということはあのマリオネットもどきは酔っ払いを介抱しようとしに来た親切な人を誘う為の餌だったのでしょうか?

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