最近、障害者施設での虐待事件が頻発し、親として不安が募ります。
将来、梅子さんが虐待被害を受けないかと心配になります。
私が亡くなった後、入所施設やGH(グループホーム)に入居してもらおうという考えが揺らいでしまいます。
このような時、私は療育センターの先生から紹介された「夜と霧」という本を思い出します。
この本から得た教訓は、「現在を最大限に生き、それを梅子さんの宝物とすること」です。
思い出は、梅子さんが縛られずに自由に、充実した生活を楽しむための貴重な財産だと思っています。
家族との思い出
「夜と霧」の動画の中(14:18あたり)の離れ離れになり、既に亡くなった奥様との出会いのシーンの中でも語られています。
梅子さんが親元を離れ、入所施設に移る際、私と家族との共有した思い出が、彼女の精神的な支えとなることを望んでいます。
そのために、梅子さんにとって家族との過去の経験が肯定的なものであるように育てていく決意をしました。
仮に、梅子さんが施設で困難な時期を経験しても、セネカの言葉のように素晴らしい過去の思い出が彼女を支えることでしょう。
"今、この瞬間を精一杯生きて梅子さんの中で良い思い出とすること"
これが肝要だと考えています。
期日がなかったこと
重度の発達障害を抱える梅子さんのような方は、死や別れを理解することが難しいことがあります。
施設への入所後、家族の迎えを待ち続けることも考えられます。
実際、梅子さんの通っていた療育センターの先生の教科書に掲載されているNさん(添付資料 1青年期の取り組み P81)は、お母様が亡くなられた後、問題行動が激しくなり施設を転々とし、鍵のかかった部屋で過ごされているとのことでした。
突然、亡くなられたお母様を待ち続けていると考えると、問題行動から彼らが不安や孤独を感じている可能性が高いことを考慮する必要があります。
いつまでここにいるのか…
いつになったらお母さんが迎えに来てくれるのか…
重度の発達障害を抱える梅子さんにとって、施設での生活は期日のない不安な状況かもしれません。
しかし、ここで療育センターの先生から講義の中で「施設に入ってしばらく子供は荒れるでしょう。その後、ゆっくりと落ち着いてきます。諦め…というか適応していく過程を辿るでしょう」と教えてくださいました。
梅子さんも同じ過程を辿るとするなら、適応し始めた時期から過去のことを良い思い出として思い出して、精神的に自由になって欲しいと願っています。
運命から問いかけられている
この部分は、梅子さんのことをサポートする立場にいる私自身について語っていると思いました。
重度の発達障害という見えない障害にどう向き合うか、それは支えている側にとって重要な問いです。
梅子さんが問題行動を示すたび、私は自身のアプローチを振り返り、適切な対応をしているか、何かを教え忘れていないかを常に自問自答しています。
今現在も、彼女が理解できるように情報を伝える方法を考え続けています。
未来に自分のことを待ってくれている存在を意識すること
梅子さんが家族から離れ、新しい環境で生活するなら、そこに希望をかけたいと思います。
暮らし方が変わったとしても、彼女の未来には自由が広がっていることを信じています。
家族がいなくなることは避けられないかもしれませんが、家族と過ごしている今この瞬間を最善のものにし、梅子さんの中で楽しい思い出として刻んでいけるように願っています。
そして、彼女が自由で豊かな人生を歩むことを切に望んでいます。