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Twitter API 有料化

こんにちは。うるし (@uakihir0) です。

 昨日 (2023/3/30) に Twitter API の新しい Tier の発表・公開がありました。私は十年以上、TheWorld 等の Twitter クライアントなどの Twitter を用いたアプリを作ってきたので、これはある種の一区切りだと考えて、ここで Twitter API の有料化について詳しく見ていきます。

Twitter API の新料金体系

Twitter API プラン一覧

Free プラン

 内容が発表されたのは、無料の Free プランと、$100 /月の Basic プランです。Free プランでは、認証・投稿のみが可能で、アプリ全体として(そのアプリを利用するユーザー全体で)1500 回/月の投稿が可能です。料金自体はかからないので、投稿数の少ない bot などはこの Free プランを引き続き利用することで、存続が可能です。

Basic プラン

 次に、問題の $100 /月の Basic プランです。このプランでは、アプリ全体として 50000 回/月の投稿が可能で、10000ツイート/月の取得が可能です。一見十分に見えるのかもしれませんが、アプリによっては後者の読み込みの制限が非常に重くのしかかってきます

 Basic プランについてもう少し細かく深堀りします。特にこの読み込み制限についてですが、Twitter の API の種類によって 10000ツイート/月 に計算されるかどうかが変わってきます。詳しくはドキュメントを参照してほしいのですが、ツイートを取得する API でもタイムラインを取得する API である timelines reverse chronological API については Tweet Cap の欄が no になっていることから、この API で取得したツイートは制限の数としてカウントされないことが分かります(4/4 追記: この API も Tweet Cap が yes  になるようです。ドキュメント内では yes の箇所と no の箇所があり統一されていません) 一方で、ツイート検索 API である tweets search recent API は yes になっており換算されることが分かります。しかしながら、timelines reverse chronological API にはユーザー毎に 5回/15分しかアクセスすることができない、という以前の 1/3 のアクセス回数しか許さないという、かなり厳しい条件がついています。

 また、ユーザー情報を取得する API について、ユーザー情報について全体の取得上限などはありませんが、各 API についても非常に厳しい制限がかかっています。例えば、ユーザーがフォローしているユーザー一覧を取得する場合、users following API を使いますが、アプリ全体で 500回/日 しかアクセスすることができません。フォロー・フォロワーの関係を整理するアプリケーションなども影響がないと思われがちですが、思いっきり厳しい上限設定が追加されています。 

エンタープライズプラン

 エンタープライズプランについても内容は公開されていますが、具体的な Twitter API v2 のレートリミットについてはまだ公開されていないように見えます。しかしながら、最低500万/月 を流石に支払ってまで Twitter API で価値を提供し続けられるサービスはかなり限られてくる、というか無理に近いのではないか?と思います。

Twitter v1.1

 細かい部分ですが、Twitter v1.1 がこの変更に合わせて終了するものと想定されます。現状として、既存のアプリの殆どは v1.1 で作成されたもので、Basic プランに移行する場合でも、その対応が必要になるケースが殆どです。今回の変更に合わせて改修するのも非常に大変なので、実質的にこれがアプリの止めを刺すケースになる場合も十分に想定されます。

まとめ

 このように Basic プランはホビー用途と記載されているように、サービスで使用できるレベルのものではありません。しかしながら、ホビーとするには $100/月 という高価な使用料を徴収してきます。ホビーが開発用途だとしても本番用途で使用するには最低 500万/月 を要求してくるので、大企業ならまだしも、この使用料が耐えられるようなスタートアップがあるとは思えません。

 このように、今回で明らかになった Twitter API は実質的に Twitter API でサービスを作るのはお断りで、やるなら相当な覚悟を持ち Twitter によってプロダクトがコアバリューを提供できるようなサービスに限られるということではないでしょうか?

 とはいえ、イーロン及び Twitter Dev は言い出したことを何回もひっくり返しているので、今回も撤回される可能性は無きにしもあらずです。一方で今回は既に公開され実装されているので、これがひっくり返るのはあまり想像できない部分でもあります。

 来月で自由な Twitter は終わります。Twitter 公式アプリを使っているユーザーでも実は、様々なアプリが裏で動いていて、それによって Twitter が楽しめていたというケースもあるでしょう。私は今回の変更が本当に残念で仕方がありません。

おまけ

 私は Mastodon のアプリも作っていますが、Mastodon 等の Alter Twitter は Twitter の移行先にはならないと考えています。SNS は文化の土台です。土台が変われば、住む人が変わり文化が変わります。私はこの変更によって失われる文化、コミュニケーションが本当に残念で、それは替えの効かないものだと考えています。Twitter が今後も住む人とって快適で、楽しい存在であることを願います。

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