GritがもたらしたUbie Customer Science(UCS)への信頼――一人のセールスが病院決裁者の相談相手になるまで
※必要最小限の時間で撮影しました。撮影の時のみマスクを外しております。
「Grit」は顧客と向き合いきることを示した、Ubie Customer Science(以下UCS)の人材要件の一つです。スケールとグロースに特化した組織UCSでは、顧客への価値を最大化するために、このGritの精神が重視されています。(組織についての関連記事:採用のために分けた組織がお互いの採用ブランドを毀損していたため、二組織同時改称しました)
前編では、GritがUCSのカルチャーの軸となるまでの経緯について、黎明期のエピソードと共に柴山が語りました。後編では、新たなメンバーを迎えた2020年夏以降のUCSの成長を、Gritの観点から河本が振り返ります。
※前編記事:顧客への価値を最大化するための合言葉「Grit」とは――UCSのカルチャーが生まれた前日譚
粒度の細かな『Why?』で問題を可視化
――河本さんが入社したのは2020年8月、UCSがチーム拡大と共に走り始めた時期ですね。入社当時はどのようにUCSを見ていましたか?
河本 「入社直後、真っ先に考えたのは『UCSの課題は何なのか』、『それをどう解消していくべきなのか』と2点です。前職がホワイトカラーの企業向けのコンサルティングだったこともあり、扱う業界が異なると営業プロセスの課題がこうも変わるのか、とおどろきました」
――具体的にはどのような点が異なるのでしょうか?
河本 「一般的な営業活動は決裁者の合意さえ取れれば受注に結びつくものですが、医療業界では決裁者の合意が得られたあと、病院への実装段階で問題が生じるケースが多いんです。入社当時はなぜ決裁者の合意後、契約に至らないケースがあるのかが理解できませんでしたが、業界理解を深めていくうちに、このフェーズの営業には改善の余地があると感じるようになりました」
――入社してすぐ課題を見つけ、改善に努めていったということですね。
河本 「そうですね……入社間もないから遠慮するということはなく、生意気な意見もためらいなく発言していました」
――具体的にどのような意見を?
河本 「意見を伝えるカルチャーはすでにUCS全体に浸透していましたが、私はその粒度の細かさを意識していました。
私が入社したての8月、高い確度でサービスを導入していただけるとメンバーから事前共有のあった商談が失注になりました。
その理由は『現場から反対があったから』のみ。結果と簡単な理由だけが共有されたことに、個人的に違和感を覚えました。顧客への価値を最大化するためには、今回のケースを振り返り、その要因を抽出して、具体の改善アクションにつなげるべきだからです。
そこで、私はそのメンバーに対して『契約に至らなかった背景は?』、『事前に察知できなかった?』、『そもそも意思決定プロセスや意思決定者などの情報を把握できていましたか?』、『もし仮に同じ状況になったら次回はどんな改善アクションをすると 顧客に満足してご発注いただけたと思いますか?』と質問を繰り返し、情報を共有してもらいました。
――その姿勢はまさにGritの精神に通じますね。
河本 「AI問診というブルーオーシャンを切り拓くうえで、頼りになるナレッジや過去の経験は存在しません。試行錯誤していく中で起こる様々なケースを振り返り、学びに昇華させて具体なアクションを導くことが大切です。ですから、私の心の中には、顧客価値を最大化するための『具体的にどうするのか?』という問いがあります」
営業プロセスの可視化を徹底するために
――そんな河本さんのGritを象徴するエピソードを教えてください。
河本 「以前のUCでは、商談情報の記載モレや遅延がしばしば生じていました。
私たちの営業管理ツールには、各案件ごとの『顧客ニーズ』、『仮導入日から逆算したステップ及び具体的なスケジュール』、『受注に向けた障壁』などの情報を記載します。それをもとにPDCAを回すために、記載の徹底が必要でした。
特に警戒していたのが、遅延です。私たちの商談情報管理では、計画通り営業の進捗更新ができていない場合、アラートを出します。この遅延が出るたびに組織基準が緩んでいくことが予想できたからです。
私は記載の遅延が多かった人に対して、『遅延により組織にどんな悪影響が出るか?』という問いと共に、Slackでに持論を発信しました。その相手が、当時の私のOJT担当者であり、マネージャーだった方なんですけれどね(笑)」
――それは立場的にかなり言いづらかったのでは……⁉
河本 「もちろん、言いやすい相手ではありませんでした。私はプレイヤーですし、相手のほうが年齢やキャリアは上でしたから。しかし、顧客の視点で考えたらそんな社内都合なんて全く関係ありません。私は、その記載遅延を放置することが顧客への価値貢献にどのような影響を与えるのかを考えました。
まずセールスが合意を取ったスケジュール通りに進まず、不信感を生むでしょう。さらに病院の課題解決が先延ばしになり、結果として病院や患者様を不幸にするかもしれません。私たちの営業や会社都合で、課題解決の機会損失を生み出すことは絶対にあってはなりません」
――そういった意見を伝える際に意識したことは?
河本「私はこの指摘を通じて、問題の視点を切り替えることが重要だと思っていました。つまり、自分自身の行動がメンバーにどのような影響を与えるかという視点を持ってほしかった。そういった狙いもあったので、伝え方には注意を払いました。その方からは「自身の怠慢を指摘してくれて、ありがとうございます。むしろ感謝です。組織の基準を下げない様、以後、徹底します!」という愛ある電話を頂けました。
またSlackのやりとりを見た他メンバーからも「遅延に関して、愛ある提言ありがとう!」
「普通のことを言うより、100倍エネルギーも使うし気も遣うけど それでもしっかり言うべきことを言う姿勢はGRITだね!」
といったコメントをもらいました。
――改めて、河本さんにとってのGritとは何でしょうか。
河本「私にとってのGritは、顧客への価値を最大化させる目的の為に、問いを立てて行動・検証し、常に最適解を選ぶことです。
Ubieが提供するプロダクトは、日々進化し続けています。それに伴い、UCSメンバーは常に最適解を見立ててアクションしなければ、顧客に対してサービスの魅力を伝えきれません。
もしも私たちがオペレーションを実行するだけの兵隊だと、今日実装された機能に対して顧客へのスクリプトやセールスプロセスを見直すことはないでしょう。オペレーションに対して疑問を抱き、事業成長の過程で必要がなくなればオペレーションを止める選択ができる。そういった力こそ、Gritだと思います」
顧客と向き合いきる姿勢は、商談の領域を越えた
――顧客との対話では、Gritをどのように体現していますか?
河本「UCSの商談の最終目標は受注だけではなく、顧客である病院への価値提供です。
それを実現するために、UCSのセールスにはあるルールがあります。それは、顧客との対話の中で必ず一つは気付きを得て、プロダクト開発に結びつく“事実”を持ち帰るというものです。
また、もしも得られた要望に基づいたプロダクトのアップデートがあれば、そのことを病院側にお伝えするようにもしています。Ubieのプロダクト開発チームは迅速な機能実装を実現してくれるので、営業冥利に尽きますね。
ちなみに、私は現状のAI問診サービスを提供することが病院の価値につながらないと判断した場合、商談を『課題のヒアリング』に切り替えています」
――それは具体的にどういった場合でしょうか?
河本 「基本的な考え方として、私たちは『医療従事者の業務効率化』、『患者様の待ち時間削減』、『コロナ対策』の3つの観点から病院への価値貢献を目指しています。また、私たちが提供するAI問診サービスは、その病院の初診の患者様が1日平均5名以上いるとペイできる料金体系です。
こうしたサービスの特性上、先に述べた3点に対して特に課題を感じない病院や、初診の患者様が平均1~2名の病院であった場合、必ずしもAI問診サービスを実装することが顧客の価値につながらないケースもあります。
そういった場合は、私たちが提供するサービスにとらわれず、病院全体の課題をヒアリングするようにしています。例えば、初診ではなく再診や入院患者様の対応でリソースを割かれている、採用面で問題があるといった相談につながることもあります」
――現場よりも経営に近い部分でのご相談もあるんですね。
河本 「ありがたいことに、経営課題についてのディスカッションや壁打ち相手としてお声がけいただくこともしばしばあります。
私たちの商談相手となる病院の理事長や院長は60~80代前後の方がほとんどですが、ご自身が引退した後の医療業界や病院の将来を見据え、どう進化していくべきか真剣に考えていらっしゃることが非常に多いんです。
そういった方々からわざわざお時間いただき、病院が目指している姿を聞きながら議論させていただく中で、もっと業界や病院に価値提供できる部分を見つけていかねば、と強く感じます」
――最後に、河本さんは今後どのようにGritを体現していきたいですか?
河本 「PDCAのPlanに偏って行動が伴わないパターンと、DoばかりやってPlanがおそろかになるパターン。そのいずれもよくあることだと思いますが、Gritを実現するために、双方をスピーディに回し、常に検証して、最適解を見出せる人でありたいです」
Gritとは戦略を考え抜き、その戦略を実行できるまで改善を続ける力です。全国の医療機関にUbieのサービスを届け、顧客への価値を最大化する。その目標に向けて最速を目指すUCSメンバーは、顧客と向き合いきるための道標(みちしるべ)としてGritを掲げています。
今回は前・後編二部構成で、人材要件の一つであるGritをテーマにUCSのカルチャーやセールスの姿勢を紹介しました。UCSが重んじるGritの精神に共感した方は、ぜひオンライン説明会にご参加ください。
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