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原作を20年間好きでいる私が、映画ムーンライト・シャドウを観た話

私は吉本ばなな『キッチン』が好きで、そこに収録されている「ムーンライト・シャドウ」もたいそう好きである。かれこれ20年くらい好きだ。登場人物の名前にちなんで飼い犬の名前を「うらら」にしたことがあるし、うららさんの『別れも死もつらい。でもそれが最後かと思えない程度の恋なんて、女にはひまつぶしにもなんない。』の台詞が魂に染み付いている。何か新しく始めるときに道具から揃えようとすると、ジョギングを始めるときにウェアやシューズや水筒まで買ったさつきさんの『ものから入門するところが情けない気もするが、前向きなのはいいと思った。』を思うし、こりゃつらいオブザイヤーだと思うことがあれば、恋人を亡くした上ひどい風邪を引いて寝込んでいるさつきさんにもとにやってきたうららさんの『風邪はね。』から『こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?』の長い台詞──のニュアンス──を思い出して心をしっかりさせてきた。朝一のミスドに憧れがあるのもうららさんの影響である。先日は、(私は同人二次創作小説を書く者であるが、)私はひとが大事なものを取り戻して癒えていく過程が好きで、それを書きがちなのかなと思うことがあり、後日、それってこの作品に受けている影響なのかもしれない(本作に限らず、吉本ばなな作品にはよく見られる図案かもしれませんが)、と思いました。失うこと、傷つくこと、立ち上がること。

その「ムーンライト・シャドウ」が映画化した。

一度観てきたので、その感想です。あまりにも個人的な話で恥ずかしいので(そしてあんまりポジティブでないことも言うので)初めてnoteの畳む機能を使ってみます。少なくとも、「観てよかった」と思っています。

息をするようにネタバレをしますが、あらすじの説明などはしません。

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