【旅の話】スリランカ①
2019年4月21日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。スリランカの首都コロンボで爆破テロ事件が起きたのだ。遠い異国の事件にこれほど衝撃を受けたのには理由がある。その2ヶ月ほど前にスリランカ旅行へ行っていたからだ。
旅の始まりは唐突だった。友人からスリランカに行かないかと誘われ、よく調べもせずに航空券をとった。ところでスリランカってどこにあるんだ?今まで行ったことのある海外は、日本人の多いグアムやハワイ、安心をお金で買ったアメリカ、クリーンなシンガポール。これくらい。スリランカはなんだか不衛生で危険そうだなと一抹の不安を抱えて向かった。
乗り継ぎのシンガポールチャンギ空港は旧正月の装い。
シンガポールで乗り継ぎスリランカエアへ搭乗する。隣に座ったシンガポール人のT君と向かう先が同じだったのでタクシーを乗合いすることに。こういう出会いからも既に旅が始まっていることに気づかされる。
バンダラナイケ空港は想像より広く綺麗なところだった。スリランカルピーに両替し、タクシーの予約をする。大まかな旅の行程しか決めていなかった我々は、旅の間同じタクシーをチャーターすることにした。移動が多くなるスリランカでは、専属タクシーという形で各地を転々とするのが一般的らしい。実際大きなホテルにはタクシードライバー用に格安の部屋も用意されている。
空港の中には電気屋が並んでいる。不思議な光景だ。
我々はひとまずコロンボで昼食をとり、そこから鉄道でヒッカドゥワへと向かう。スリランカでは紅茶列車と呼ばれる茶畑の中を走る鉄道が有名だが、スケジュールが厳しかったため海岸沿いを走るルートで鉄道を体験することにした。ちなみにカレーは辛すぎてほとんど食べられなかった。
この旅行で真っ先に後悔したのはスーツケースでの移動がいかに不便かということ。バックパッカーを横目に舗装が不十分な道で何度も立ち止まった。ちなみにT君は小さなバックパックとボディバック、足元はビーサンだ。
◼︎Ruhunu Foods
Lotus Rd, Colombo 00100 スリランカ
+94 114 716 300
https://goo.gl/maps/Z6Yf9nz2VArCb1hy9
ランチはここ。我々は表の店を抜けて奥の食べ放題のお店へ。表の店ほど人はいなかった。少し歩くのでスリーウィラーで行くのがおすすめ。
首都コロンボ駅のホーム。右端で欧米人らしき一行が撮影をしている。ヒッカドゥワまでは二等車で向かう。
列車は概ね時刻表通りやってきた。地元民と旅行客が入り乱れて混雑している。開いたり開かなかったりする扉をむりやり開けて中へと入り込む。もちろん早いもの順だ。大きなスーツケースもあるのでデッキ部分にいることにした。ヒッカドゥワまで約2時間。旅の高揚感もあり、長時間立っていることはそれほど苦でもない。横にいた刺青だらけのヨーロッパ人に、スーツケースに座ってもいいよと声をかける。日本に行ったことがあるよと彼のインスタグラムを見せてくれた。狭いデッキの中は文字通り混沌としていた。
窓もドアも全開。海と沿岸沿いの町を眺めながら異国を感じる。
ヒッカドゥワの駅で降り宿へと向かう。スリーウィラーの運転手に囲まれて初めての値段交渉。果たしてこれが安いのか高いのか分からないので、T君に尋ねながらやってみる。
T君はオススメのスポットやお店を教えてくれた。早朝海に行くと亀が見られるよと言うので、明日の朝行くことにした。ヒッカドゥワの街は多くの観光客で賑わっている。通りにはレストランやショップが立ち並ぶ。夕飯を食べがてら通りを散策した。楽器屋を見つけて我々は一目散に駆け込んだ。(別に我々はミュージシャンでもなんでもない) 打楽器専門店で沢山の太鼓にあふれていた。観光地価格なのでちょっと考えるよと店番をしていた女性に声をかけて店を出た。
翌朝早くにホテルを出て浜辺へ向かった。温暖な南の島の朝は気持ちが良い。静寂に包まれた街を抜けて浜に着くとT君はすでに海パン姿で海に入っていた。おはよう、亀がいるよ、と海に目を向けると早速大きな岩のような物体が目に入った。亀だ…でかい!しかも何匹もいる!のらりくらりと泳ぐ彼らは人間から海藻を貰うのを楽しみに浅瀬まできているようだ。(ちなみに亀に触れてはいけないと看板が建てられている。)
ホテルに戻る前、T君が亀の保護センターで子亀の放流が出来るよと教えてくれた。それはぜひやってみたいと思い夕方また落ち合う約束をして別れた。
ホテルに戻り朝食を食べ、友人をダイビングへと見送った。私はひとりホテルでだらだらと過ごす。スリランカはインフラが不十分なこともあり、何度もブレーカーが落ちていた。その度にWi-Fiが切れてしまったが問題ない。私はスリランカにいるのだから。もちろん仕事のチャットが鳴っても無視して問題ない。
友人が戻りT君に教えてもらった亀の保護センターへ向かうことにした。その前に昨日の楽器屋へ寄ることに。今日は店主のおじさんがいた。彼は打楽器アーティストらしい。確かにそんな風貌だ。せっかくなので色々触ってみたいと思っているとおじさんが隅から隅まで演奏してくれた。愉快なセッションタイムだ。(何度でも言うが我々は別にミュージシャンではない) 友人はスリランカ太鼓を、私はジャンベとおじさんがやっているバンドのCDを購入して、亀の保護センターへと向かう。おじさんが手配してくれたトゥクトゥクに乗りながら、買ったばかりの太鼓を叩いて即興で歌う。海風を浴びながら我々はずっとゲラゲラ笑っていた。
保護センターに着くとT君が待っていてくれた。太鼓を買ったよと伝えると一言、「Are you serious? 」。我々はまたゲラゲラ笑った。
センターでは怪我をした亀が保護されている。
じゃあ浜辺へ行くよ、とみんなでついて行くとひとり1匹子亀が渡される。心なしか大きな鳥が集まってきた気がする。不安な気持ちを抱きながら、お行きなさいと海へリリースすると、あぁ、ほら。大きな鳥がどんどん海面へ近づいてくるではないか。みんなでやめろー!がんばれー!と声をかけながらそっと目を伏せることとなった。
なんともエモーショナルは気持ちになりながら、ヒッカドゥワでの短い滞在は終わった。そして我々は北へと向かう。いざダンブッラ、目指すはシーギリヤロック。
君を連れて帰りたかった。
◼︎Sea Turtle Hatchery & Rescue Center
A2, Hikkaduwa, スリランカ
+94 77 293 8338
https://goo.gl/maps/MrPG4ebMforFsHh38
◼︎Kai Hikkaduwa
387 Galle Rd, Hikkaduwa 80240 スリランカ
+94 77 759 7233
https://goo.gl/maps/usEoBX1iSD99Tft88
お世話になったホテル。まだ新しいためスリーウィラーの運転手は場所を知らないかもしれない。
◼︎Sun Set Coffee Bar
290 Galle Rd, Hikkaduwa, スリランカ
https://maps.google.com?q=Sun%20Set%20Coffee%20Bar,%20290%20Galle%20Rd,%20Hikkaduwa,%20%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AB&ftid=0x3ae177e2c463330d:0x2ef7a440932c868f&hl=ja-JP&gl=jp
浜辺にはレストランが立ち並ぶ。ここのシーフードヌードル(焼きそば)が美味しすぎて今も忘れられない。