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2022年9月2日の米国株相場: 雇用統計発表

雇用統計の結果

今日発表された雇用統計は31万5000人と予想を上回りました。

しかしこれまでの推移をグラフで示すと以下のように、雇用の強さは徐々に弱まっていることが分かります。先月の52.6万人を大きく下回り、また今回6月の雇用者数が39.8万人から29.3万人に大きく下方修正されました

雇用者数 前月比(縦軸は千人)

前月比の失業者数を見てみると、8月は30万人増加し、これまでの発表から考えると良い兆候ではないことが分かります。

失業者数 前月比(縦軸は千人)

ただし失業率については3.7%とまだ低水準にあります。今後どこまで右肩上がりになっていくか注目が集まります。

失業率(縦軸は%)

また、今回の雇用統計は全体の数字としては確かに市場予想を上回りましたが、細かくみるとフルタイムの雇用者は24.2万人減少しており、一方でパートタイムが41.3万人増加していることが分かります。

企業は正社員を雇わず、パートさんを多く雇うことで景気悪化への準備を着実に進めていることが分かります。総数だけを見て、足元の景気状態が良いとは言えない理由はここにあります

フルタイム・パートタイム増減数(縦軸は千人)

この結果を受けて、マーケットは以下のように下落をしました。

株式

  • S&P500は1.1%下落

  • ナスダック100は1.4%の下落

  • ダウ平均株価は1.1%の下落

  • Russell2000が0.8%下落

通貨

  • ユーロは0.9952ドルで小幅な変動となった

  • 英ポンドは0.3%下落の1.1508ドル

  • 日本円は1ドル140.25円と小幅な変動に留まった

債券

  • 10年物国債利回りは5ベーシスポイント低下し、3.20%になりました。

  • ドイツの10年債利回りは4ベーシスポイント低下し1.53%へ

  • 英国の10年債利回りは4ベーシスポイント上昇し2.92%へ

景気悪化への懸念から債権利回りは下落しました

コモディティ

  • ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油は0.5%上昇し、1バレル87ドル

  • 金先物は0.6%上昇し、1オンス=1720.30ドル

今日の重要指数

8月 非農業部門雇用者数(NFP)[前月比] 前回: 52.6万人 予想: 30.1万人 結果: 31.5万人
8月 失業率 前回: 3.5% 予想: 3.5% 結果: 3.7%
8月 平均時給[前月比] 前回: 0.5% 予想: 0.4% 結果: 0.3%
8月 平均時給[前年比] 前回: 5.2% 予想: 5.2% 結果: 5.2%
7月製造業新規受注[前月比] 前回: 2.0% 予想: 0.3% 結果: -1.0%
7月 耐久財受注[前月比] 前回: 0.0% 予想: ー 結果: -0.1%
7月 耐久財受注(輸送除くコア)[前月比] 前回: 0.3% 予想: ー 結果: 0.2%

月曜日の重要指数

特に注目度の高い指数の発表はありません。


Bad News is (not) Good News

これまでリセッションを心待ちにしていた株式市場は、パウエル議長の「利下げは当面しない」という宣言から、Bad News is Good Newsの方程式が崩れてしまいました。今回の雇用統計を受けても株価は跳ね上がりません。

債券利回りも下がり、株価も下がる。今日の状態はジャクソンホール後に相場の動き方が変わった典型的な日だったように思います。

今後、米国経済は弱くなっていくことを予感する雇用統計結果でしたが、来週レイバーデー後に機関投資家が帰ってくる中でどのような相場展開になるか、個人投資家は静観するのみです。


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