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2022年7月26日の米国株相場

遂にFRBは政策金利目標の提示を辞めるかも

明日はFOMCが待つ中、前回の6月FOMCで引け前30分前のタイミングで爆弾を投下したFRBパウエル議長のスポークスマンであるニックのツイートが今回も意味深な発言をしました。(幸い、引け前30分前ではなかったですが)

Some analysts question whether the costs of the Fed’s forward guidance, which risks locking policy makers into a course of action they may later find unappealing, outweigh any benefits now because of high uncertainty over the inflation and rate outlook

Traditionally, guidance has been used to ease policy, especially when interest rates are pinned at zero and there's no room to ease by cutting further (barring negative rates).
But one innovation of the current cycle has been the use of guidance to tighten financial conditions.

The argument in favor of providing guidance this year has been that the Fed was able to influence market-determined rates late last year, even though the first rate hike didn't occur until March.

Powell at Sintra last month: “People will look back on this period and say that we were able to have financial conditions tighten quite substantially, and we’ve only had three meetings at which we raised rates.”

Some say even though the Fed was wrongfooted by its guidance in June, the tool has still been useful on net because it has tamped down on large bond-market swings:
“It would be beneficial to reduce that volatility to the extent that the Fed is able,” said BofA's Mark Cabana.

Others think precise steers from Powell et al after the last two FOMC meetings about upcoming moves are no longer helpful
Bill English, the former monetary affairs director: "If I had my druthers, I’d try to back away from giving basis-point guidance for the next meeting or two"

<以下、機械翻訳>
インフレと金利の見通しが不透明な今、政策決定者を後に不本意な行動に追いやるリスクのあるFRBのフォワードガイダンスのコストが利益を上回るかどうか疑問視するアナリストもいる

伝統的にガイダンスは、特に金利がゼロに固定され、(マイナス金利を除けば)さらなる削減による緩和の余地がない場合に、政策を緩和するために使用されてきた。
しかし、今回のサイクルの革新的な点は、金融情勢を引き締めるためにガイダンスを利用することである。

今年ガイダンスを提供することに賛成する論拠は、最初の利上げが3月まで行われなかったにもかかわらず、昨年末にFRBが市場決定金利に影響を与えることができたことである。

先月のシントラでのパウエル。"人々はこの時期を振り返って、金融情勢をかなり大幅に引き締めさせることができたと言うだろう。" "利上げを行ったのは3回の会合だけだ。"

FRBが6月のガイダンスで誤った方向に進んだとしても、債券市場の大きな変動を抑えることができたので、このツールはネット上ではまだ有用であると言う人もいる。
BofAのマーク・カバナ氏は、「FRBが可能な限り、ボラティリティを下げることは有益だ」と述べた。

過去2回のFOMC後のパウエルらによる今後の動きに関する的確な舵取りは、もはや役に立たないと考える人もいる
元金融担当のビル・イングリッシュ氏。「もし私に選択の余地があるなら、次の1、2回の会合でベーシスポイントのガイダンスを与えることから手を引いてみるだろう。」

https://twitter.com/NickTimiraos/status/1551883267523182592

3月のFOMC終了後、おむすびchの配信を観ていた方であれば私の助言をようやくFRBは聞いてもらえることになりそうであることに気づいたかもしれません。
これまで1年半以上間違え続けてきたFRBが遂に政策金利のガイダンスを発表することを辞めると示唆したのです。

ちなみに前回のFOMCではガイダンスを過去最大規模で修正しました。このときもおむすびchでの配信では語ったが、心底飽き飽きとしていたことをリスナーの方々はもうお気づきでしょう。

しかしこれには大きな代償を手にすることになります。
1979年にポール・ボルカーがFRB議長に専任され、以来FOMCで政策金利目標を定めず、市場に任せ放置すると発表しました。

その後、政策金利はマーケットに任せた結果13.8%から17.6%にまで上昇した。その当時のインフレ率のピークは14.6%です。
結果的にその政策を行ってから、インフレピークから下落傾向が明らかになるまで6ヶ月かかりました。

現在、インフレ率は9.1%であり、政策金利は1.5%です。
今回75bpsの利上げを行い、中立金利と呼ばれる領域に入ったとしても、これからが金融引締めのスタートであり、まだまだインフレとの戦いに道のりが長そうであることは明らかです。

今後の相場はどうなる

仮に政策金利目標を定めない場合、金利は市場参加者によって定められます。そうなるとBoAのコメントにあったとおり、ボラティリティを上げることになります。つまり、金利は急騰することになります。

そうなれば株式市場は先週までのお気楽ムードがなくなり大きく転落することになり、特にハイパーグロース株ともてはやされたNASDAQを中心にITバブル崩壊並みの転落劇を2022年に再び目にすることになるでしょう。

これは脅しではなく、まだNASDAQ市場は下落余地があります。(ITバブルのときは911が重なったためでもあるが、今回のイベントはそれに匹敵すると思う)

いま、新興株や半導体銘柄どころか、3倍レバレッジ銘柄などに手を出している初心者の方は相当のリスクを覚悟した上で臨む必要があります。
正直、相場はどれだけうまく波に乗れるか、です。個人投資家が勇敢に立ち向かったところで、巨大なマーケットの波には波紋が生じることなく飲み込まれて終わります。

息を長く、続けられた人のみがマーケットの恩恵を受けることができます。そういうものなのだと思ったほうがよいと思います。(今日ここの説明はかなり雑なのですが、本題ではないため、後日解説します)

まずは長生きすること。高校生の教科書にも書いてあることです。

パウエルワクチンは効くのか

行き過ぎた金融緩和によって今回のインフレは生じています。この点はFRBは大いに反省するところで、インフレに対して各国中央銀行への批判が高まっていますが、FRBがインフレを終わらせることが出来るかどうかは分かりません。

中央銀行ができることはマネーサプライ量の調整にとどまります。
コロナ明けの反動によるサービス業の活気に対応できる従業員を増やすことや、足りない船舶の数を増やすこと、ロシア以外から石油をたくさん調達することは中央銀行には無理な話です。

インフレの根本原因になっている供給サイドへの働きかけが出来ないのであれば、もう一方の需要サイドを落とす(=不景気にさせる)ことが求められており、中央銀行としてはいかに雇用を守りながら景気のスピードを落とせるかが求められています。

明日FOMCが開催されますが、FRBは前回と同じく75bpsの利上げを行い、
需要が本格的に戻りきっていない日本は、金融緩和を続け、デフレ脱却を進めることになりますし、欧州は需要に働きかけながらも、国々よって異なる財政状況を考慮し、金融引締めと金融緩和を両立させていくことが求められています。

▼欧州中央銀行ECBの難しいコントロールのワケは

これまで3回摂取したワクチン(=利上げ・BS縮小)は今のところインフレへの直接的な効果よりも、米国経済をリセッションに向けて動かしている効果の方が大きく見えています。

ボルカー時代の栄光にすがりたい気持ちも分かりますが、栄光の輝きに対して犠牲となる影もつきものです。

その犠牲とは、
・株式市場はおよそ8年近くもの間、最高値を更新できなかったこと
・ドル高により、米国内での製造が出来ず、国外に製造拠点を移す企業が続出し、多くの雇用も失われたこと(ピークは11%でした)

2024年の大統領選挙ではトランプの再選も可能性として出てきています。彼のスローガンであった「Make America Great Again」の真逆となる、この影をいくら独立機関であるFRBは(特にパウエル議長は)再び耐えることができるのか。注目です。


今日のマーケット・指標の振り返りは以下のとおりです。

株式

  • ニューヨーク時間午後4時現在、S&P500は1.2%下落しました

  • ナスダック100は2%下落

  • ダウ平均株価は0.7%の下落

通貨

  • ユーロは1%下落の1.0117ドル

  • 英ポンドは0.2%下落の1.2023ドル

  • 日本円は1ドル=136.82円と小幅な変動に留まりました

債券

  • 10年物国債利回りは2.80%と小幅な変動に留まった

  • ドイツの10年債利回りは9ベーシスポイント低下し0.92%に

  • 英国の10年債利回りは2ベーシスポイント低下し1.92%に

コモディティ

  • ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油は1.8%下落し、1バレル94.96ドル

  • 金先物は0.2%下落の1オンス=1733.70ドル

重要指標結果

米)住宅価格指数 前回 1.6%, 予想 1.6%, 結果 1.4%
米)S&P/ケース・シラー住宅価格指数 前回 21.23%, 予想 20.6%, 結果 20.5%
米)消費者信頼感指数 前回 98.7, 予想 96.9, 結果 95.7
米)リッチモンド連銀製造業指数 前回 -11.0, 予想 -18.0, 結果 0.0
米)新築住宅販売件数 前回 69.6万件, 予想 65.9万件, 結果 59.0万件
米)新築住宅販売件数[前月比] 前回 10.7%, 予想 -4.5%, 結果 -8.1%

明日の重要指標

米)MBA住宅ローン申請指数 前回 -6.3%, 予想 None
米)卸売在庫[前月比] 前回 1.8%, 予想 1.5%
米)耐久財受注[前月比] 前回 0.8%, 予想 -0.4%
米)耐久財受注【除輸送用機器】[前月比] 前回 0.7%, 予想0.1%
米)中古住宅販売保留[前月比] 前回 0.7%, 予想 -0.3%

米)中古住宅販売保留[前年比] 前回 -12.0%, 予想 None
米)7/16-7/22 週間原油在庫[前週比] 前回 -44.5万バレル, 予想 None
米)7/16-7/22 週間ガソリン在庫[前週比] 前回 349.8万バレル, 予想 None
米)7/16-7/22 留出油在庫[前週比] 前回 -129.5万バレル, 予想 None
米)FOMC政策金利(下限) 前回 1.5%, 予想 2.25%
米)FOMC政策金利(上限) 前回 1.75%, 予想 2.5%

米)FOMC声明発表
米)パウエルFRB議長の記者会見

豪)第2四半期消費者物価指数

主要企業決算発表: メタ(フェイスブック)、CME、ヒューマナ、クラフト・ハインツ、ボーイング、ハーツ、ノーフォーク・サザン、ショッピファイ、スポティファイ、ブリティッシュアメリカンタバコ、フォード・モーター、クアルコム、TモバイルUS、ヒルトン、ユナイテッドレンタルズ、ラムリサーチ、その他

これまで持ち上げられてきたGAFAMのGoogleも、Microsoftもかなり深刻な決算を出してきました。おそらくAmazonは最近ずっといい決算出していないので期待できませんし、メタも最悪だと思います。この辺も時間あれば解説します。

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