プリキュアAI絵騒動に関して思うこと
この文章は自分の現在の感覚をまとめるものであって、AIの是非を問うたり誰かを貶めたりするものではありません。
自分の考えていることを書き出すための文章なのでエビデンスや根拠に乏しいことがあると思います。
プリキュア20周年記念のカフェコラボに際して以下のイラストが発表されたことによってX上で波紋が広がっている。
https://x.com/precure_15th/status/1768166181142466929?s=46 (プリキュア20周年公式X)
私は少なからず創作の現場や作り手の側にいた人間であり自身でも絵を描くことがある。
その観点から見ると正直なところ人が描いたかどうかはとても怪しいと思う。私が感じる根拠としては大きく2つある。
第一に耳の形である。耳の描き方は描き手によって千差万別であるが、1人で描く場合にこんなに表現が揺れることは考えにくい。まだ自分の絵柄が決まっていない方はころころ変わることもあるだろうが、ある程度3人の絵柄のテイストが揃っているのである程度自分の中にノウハウがある方が描いているはずである。このレベルで絵を描ける方が似たような構図の耳の描き方すらバラバラになることは本当に考えにくい。(集合絵のキュアホワイトとソロのキュアホワイトの絵)
第二に手の形である。集合絵のキュアホワイトの左手は人差し指を立てて、中指の下に薬指が沈み小指がその上にきている形になっている。実際に自分の手で再現してほしいのだがとっても維持しにくい形になると思う。手グセかもという意見も見たが、手グセでわざわざ緩く握るような手を描く時に指を下に重ねるようなことはあまりしないと思う。指を重ねるという行為はあまり日常的でなく練習する際にそういった指の形を模写したり参考にしたりする機会はないかな〜と思う。
その他、他の方が指摘している通り髪の流れや不自然に切れている毛先、左右で違う足のフリルキュアブラックの腰回りなど、普通そんなことになる?という点が多すぎるのだ。
これらは描き手から感じる確かな違和感であり、とにかく、こんなに絵が描ける人がこんなことする?というものである。数学者が1+1を間違えるか?みたいな。実際人間だから間違えることはあるかもしれないけれど(指を6本描いちゃうとか右手と左手間違えちゃうみたいなことは実際ある)考えにくいよねって話。
ただまあ実際AIであるかどうかを判断する術は公式から声明が出る以外になく、水掛論にしかならないしそういうことが言いたいわけではない。
なぜこんなにもAIに対する忌避感が私の中にあるのかという点である。
大きな理由として、「作り手の詐称」を感じてしまうからというのがあるかな〜と思っている。
生成AIの引き合いに無断転載やMADを動画を出している方も見たが、少し違うかなと思う。
【これらを肯定する意図は一切無い】が、これらは著作者が広く知れ渡っており、転載者やMAD作成者のものではないということが見る側に伝わっていることが大前提である感じ。他人の著作物へのフリーライドという点では一緒だけれど、例えばMAD動画作者がこの動画は自分が作ったものだからこのアニメは俺のもの!と言い出したら流石に違うだろとなるみたいな。
生成AIに対する気持ち悪さの一端は作り手のロンダリングにある。学習元が明らかでないAIが生成した絵を自分のものであるというのは詐称のように感じる。学習が合法かどうかの話ではなくてやっぱり嘘をつかれた気持ちになるし、学習された人の気持ちはどうなるんだということ。
感覚としては、個人の創作物のアイデアを大企業が自社の商品として発表するみたいな感じ。創作界隈では割とよく見るトラブルである。のまネコ騒動とかに感じた嫌な感じに近いんじゃないかなと思う。
生成AIはもう生まれてしまって、もう止められない。技術自体は素晴らしいものであり、クリエイターは上手く付き合っていく必要があるのは間違いない。
ただ現状、自身の制作物の学習を禁止しているイラストレーターのLoRAが作られていたり、それに声を上げた方に殺害予告が送られていたり、とにかく穏やかでなく作り手に対するリスペクトがまるで無いような事態も目の当たりにする。
生成AIだから悪だと言いたいのではなく、そうやって無断学習されたデータが下敷きになっているのではないかという懸念が大きいということが言いたい。生成AIの学習は合法だという反論もX上では良く見るが、私には合法というよりは無法地帯に見える。急速に発展したために整備が追いついていないだけなのではないか。
繰り返すが、この文章は誰かを断罪するものではない。クリエイターの端くれとして生成AIに対する個人的な気持ち悪さを書き出し、向き合い冷静に考えるための個人的な文章である。
取り敢えず思っていることを推敲無しで書いてみた。間違っていることも偏っている事もあるはず。突然消すことも変更することもある。