初心者のためのJazzコード理論解説
こんにちは、コントラバス弾き 佐清(スケキヨ)です。
今回は「初心者のためのJazzコード理論解説」ということで、YouTubeにアップロードした内容(初心者のためのJazzコード理論解説)についてより詳しく書いていきたいと思います。
僕がジャズを始めたての頃、「ジャズってどこから手をつけていいかわからない…」というのが正直な感想でした。
理論書を開いてみても、いきなり「ドミナントモーションが…」とか「クロマチックを準用させて…」という専門用語が出てきて、極め付けは「〇〇に解決する」という言葉で終わったりしてました。
いやいや、何がどう解決するのかわからないよ!
と、イライラしながら読んだ記憶があります。
選んだ解説書が初心者向けじゃなかったのかも知れませんが。
いつの世も初心者にとっての初めの一歩は勇気がいるものだと思いますが、初心者の方にもわかりやすい解説をおこなうことでジャズをより身近に感じてほしい&セッションに役立ててほしい思いからこの解説動画を作りました。
最初は平たい言葉で説明し、徐々に専門用語に移行するようにしますので、是非最後まで読んでみてください。
ジャズ理論の基礎知識
ジャズ理論に入る前にジャズ理論・音楽理論の基礎知識から説明します。
音の表記
日常的に使われる「ドレミファソラシ」は西洋音楽では「CDEFGAB」と表されます。
さらに「C=Ⅰ」として「ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ Ⅶ」と,ローマ数字で表されたりもします。
和音の表記
ジャムセッションや個人練習で使用する楽譜の中には「Cmaj7」や「E7」など,様々な和音の表記が出てきます。
コード構成音についての詳しい説明は後でおこないますので,ここではザックリと下記三つで覚えておいてください。
ⅰ.長調:明るい響き
何も表記が無い場合=「Ⅰ + Ⅲ + Ⅴ」の音を使う
例)C = Ⅰ + Ⅲ + Ⅴ = C + E + G〇Maj7 = 「Ⅰ + Ⅲ + Ⅴ + Ⅶ」の音を使う
例)Cmaj7 = Ⅰ + Ⅲ + Ⅴ + Ⅶ = C + E + G + B
ⅱ.短調:暗い響き
〇m=「Ⅰ + Ⅲ♭ + Ⅴ」の音を使う
例)C = Ⅰ + Ⅲ♭ + Ⅴ = C + E♭ + G
※「m」は「Ⅲ♭」を意味することに注意〇m7=「Ⅰ + Ⅲ♭ + Ⅴ+ Ⅶ♭」の音を使う
例)Cm7 = Ⅰ + Ⅲ♭ + Ⅴ+ Ⅶ♭ = C + E♭ + G + B♭
※表記上は「7」となっていても「Ⅶ♭」を意味することに注意
ⅲ.セブンス:明るいけど,どこか浮遊感がある響き
〇7=「Ⅰ + Ⅲ + Ⅴ+ Ⅶ♭」の音を使う
例)Cm7 = Ⅰ + Ⅲ♭ + Ⅴ+ Ⅶ♭ = C + E + G + B♭
※表記上は「7」となっていても「Ⅶ♭」を意味することに注意
基本になる音と構成音の位置関係
音の表記の項目で「C=Ⅰ」とした時に「CDEFGAB」は「ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ Ⅶ」とローマ数字で表記されることを述べましたが,より詳しく説明します。
「C=Ⅰ」として「ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ Ⅶ」と,ローマ数字で表記されますが,より正確に書くと以下のようになります。
C D E F G A B C
↓
ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ Ⅶ
↓
完全1度/長2度/長3度/完全4度/完全5度/長6度/長7度/完全8度
「完全」と付くのは「1,4,5,8」
「長」と付くのは「2,3,6,7」と覚えましょう。
更に,それぞれの音が♭したときは以下のようになります。
減1度/短2度/短3度/減4度/減5度/短6度/短7度/減8度
「完全」は「減」になり,「長」は「短」になると覚えましょう。
それぞれの音が#したときは以下のようになります。
増1度/増2度/増3度/増4度/増5度/増6度/増7度 /増8度
この場合は全て「増」になります。
分かりやすく図式化したものを作りましたので,以下に挙げます。
「完全・長短・増減」について述べましたが,平時のジャムセッションなんかだとこういう言い方はあまりしません。
むしろ単純に「5度」とか「♭6度」とかいう言い方をします。
なので,ジャズやコード構成音の説明でよく使われる度数を下記の通りまとめてみました。
「1/♭3/3/♭5/5/♭6/6/♭7=7/maj7」
(例)「C/E♭/E/G♭/G/A♭/A/B♭/B」
テンションコードでも数字での表され方をしますが,今回はコードの基本構成音の説明だけに留めます。
スケール(音階)の成り立ち
一般的に言う「ドレミファソラシド」ですが,ドが必ずCの音から始まっていることは稀です。
試しに誰かに「ドレミファソラシドって歌ってみて」と言っても,全員が同じ「C」の音から始まることはありません。(絶対音感を持っているなら別ですが)
ある人は「D」の音で始まるドレミ~を歌うかも知れませんし,「B♭」で始まるドレミ~を歌うかもしれません。
このドレミの音階には「音の間隔が合っていればどの音から始めてもドレミの音階に聞こえる」という仕組みがあります。
実際に譜面に表記して図式化してみると,その間隔は「全/全/半/全/全/全/半」という並びになります。
全は全音の略で,一つ目の音と二つ目の音の間に半音挟まっているものです。
半は半音の略で,一つ目の音と二つ目の音の間に半音が存在しないものです。
ピアノの白鍵と黒鍵を思い浮かべてもらえると分かりやすいんですが,ミとファの間,そしてシとドの間には黒鍵がありません。
なので,白鍵だけでできる「全/全/半/全/全/全/半」は「ドレミファソラシド」ということになります。
「スケールの成り立ち」に羅列しているドリアンスケールやフリジアンスケールは,平たく言うと「白鍵内のある音から始めて白鍵だけでできるスケール」です。
Dから始めたら「DCEFGABC」のドリアンスケールになりますし,Eから始めたら「EFGABCD」のフリジアンスケールになります。
色々と説明しましたが,ここで覚えておいて欲しいのは二つだけです。
Cで始まる「全/半/全/全/半/全/全」はメジャースケール(=イオニアンスケール=一般的にいう「ドレミファソラシド」)になる
A(Cから数えてⅥの音)で始まる白鍵の並びおよび間隔は「全/半/全/全/半/全/全」となり,マイナースケール(=ナチュラルマイナースケール,エオリアンスケール)となる
この法則はどの音に当てはめても成立するので,それを譜面に表記したものが下記になります。
それぞれB♭メジャースケール,Gメジャースケール,Dマイナースケール,Gマイナースケールと,どれもメジャースケールとマイナースケールの間隔の法則性で成り立っています。
ここで注目してほしいのが,各スケールに付いている臨時記号(# or ♭)の数です。
それぞれのスケールにおいて,#がいくつあるか/♭がいくつあるかでどのスケールに該当するのかを推察することができます。
それを図式化したのが,次に説明する「Circlr of Fifth」です。
調整記号とCircle of Fifth
Circle of Fifthは調整記号(#や♭)の数によって何のキーに該当するかを図式化したものです。
一番初めに「♮」の項目,つまり#や♭が付かないものはCメジャースケールになり,そのスケールのⅥの音から始まるマイナースケールはAマイナースケールとなることを意味しています。
右隣に目を移すと,#が1つの場合はGメジャースケールになり,そのスケールのⅥの音から始まるマイナースケールはEマイナースケールとなることを意味しています。
このように調整記号の数によって次々と変化していきますが,その法則性は下記の通りです。
#が1つ増えるごとに,完全5度上の音から始まるメジャースケールになる
例)♮→CDEFGABC
# → GABCDEF#G
## → DEF#GABC#
逆に,左隣に目を移してみると,♭が1つの場合はFメジャースケールになり,そのスケールのⅥの音から始まるマイナースケールはDマイナースケールとなることを意味しています。
この法則性は下記の通りです。
♭が1つ増えるごとに,完全4度上の音から始まるメジャースケールになる
例)♮→CDEFGABC
♭→ FGAB♭CDEFG
♭♭→ B♭CDE♭FGA
この図式や法則性は西洋音楽,特にジャズを演奏するとなった時に必ず使用するものなので,覚えておくと非常に役立ちます。
コードの成り立ち
基礎知識の和音の表記の項目でも少し記しましたが,ジャズで使用される主な表記は上記イメージの通りです。
そうした時,またもやという感じですが,白鍵の中だけで組み立てられるコードは上記イメージ内譜面にある通りになります。
これらのコードは一番初めの音をⅠ(ルート音,根音)として「Ⅰ+Ⅲ+Ⅴ+Ⅶ」の変則系で構成されています。
ここで説明したいのは,コードにはそれぞれ特有の動き方・働き方をする役割があるということです。
CメジャースケールであればCmaj7の響きが一番落ち着きます。
この「響きが落ち着く」ことを音楽的表現では「解決する」という言い方をします。
じゃあずっとCmaj7を鳴らしておけばいいんじゃないかと思いますが,それでは曲が進みません。
メロディに合わせてコードを当てはめていくことにした時,白鍵だけで組み立てられるコード(=ダイアトニックコードと言います)は次の動きを行って響きが落ち着く,つまり解決するようになります。
この動きを「ⅡⅤ進行(つーふぁいぶしんこう)」と言い,ジャズでは超重要事項になりますので是非覚えてください。
まとめ
さて,今回のまとめ&重要事項です
・ジャズ、特にコードで表記&意味される音は「1/♭3/3/♭5/5/♭6/6/♭7/maj7」
= Cメジャースケールの中であれば「C/E♭/E/G♭/G/A♭/A/B♭/B」
例)Cmaj7 = C + E + G + B = 1+ 3 + 5 + 7
Cm7 = C + E♭+ G + B♭= 1+♭3 + 5 +♭7
・ CDEFGAB(=Cメジャースケール)の各音を Ⅰとした時のコード(=ダイアトニックコード)は「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」、つまりⅡⅤ進行で解決する(=響きが落ち着く)
僕が初心者の頃はYouTube等も無く,何から手を付けていいかわからない中で専門書を手に取ったものの専門用語だらけで「何言ってるかわかんねぇよ!何だよ解決するって!全然解決しねぇ!」とイライラしながら勉強したりしてました。
専門書に噛り付いて読み進めながら楽器を鳴らしてみると「なんだ,そういうことか」ということも多かったのですが,最初から分かりやすい言葉で要点だけ抑えて,専門的なことは後から付け足していく参考書があればいいのになぁ…と思ったことも多々あります。
そこで,僕自身が折角YouTubeチャンネルを持っているならそこで解説し,ついでにnoteでより詳しく解説をすればジャズ初心者の方でも理論理解への敷居がだいぶ低くなるんじゃないかと考えて解説を始めた次第です。
分かりづらい箇所やもう少し解説してほしいところがあればコメント欄やメッセージで教えてもらえたらできる限り解説しますので,お気軽に書込みお願いします。
それではまた次回お会いしましょう。
最後まで読んでいただき,ありがとうございました。