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The Cosmic Wheel Sisterhoodをクリアした

The Cosmic Wheel Sisterhood っていうテキストアドベンチャー(?)が面白いと聞いて、冬休み最後の1日をだらだら過ごすためのお供に選んで、プレイしました。
結論:めっちゃいいゲームだった!!
Reigns」とか「コーヒートーク」とか「ディスコ エリジウム」が好きな人は好きだとおもいます。あと「グノーシア」とか好きな人もハマりそう。

概要(ネタバレなし)

おはなしのあらすじ

主人公は「フォルトゥーナ」という占い師の魔女。この世界で魔女は宇宙に住んでおり、不死…というか、ものすごーーーく長寿な存在。魔女たちは「コヴン」と呼ばれるコミュニティに属しており、おそらく「コヴン」は宇宙のなかにいくつか存在する。
フォルトゥーナは自身の持つ占いの力で、自分たちが属する「コヴン」が破滅する未来を予言してしまう。フォルトゥーナが「このコヴン破滅するって」って魔女たちに正直に報告したところ、多くの魔女が「やだコワイ!!」ってなって混乱したので、コヴンの長であるエイダーナは、フォルトゥーナを「1000年の流刑」に処した。重罪が過ぎる。
島流しになったフォルトゥーナは、刑期の1/5となる200年が過ぎたところで「もう孤独には耐えられん!!」ってなって、禁忌の術に手を出してしまう(よく200年耐えたな)。その術は、高位の存在というか…封印された魔物というか…とにかく「あぶないもの」とされて封じられ、禁じられている「ベヒモス」を召喚するもの。かくして、ベヒモスの「エイブラマー」がその姿をあらわし、フォルトゥーナは「自由」を求めて、エイブラマーと共に行動を開始する…。

ゲームの概要

フォルトゥーナは元来「タロットカード」で占いを行う占い師。でも、流刑になったときにそのカードを没収されており、占いができない状態になっている(かわいそう)。そんなフォルトゥーナに、エイブラマーは「じゃあ自分でオリジナルのカード作ったらええやん」ということで、カードを生み出す手段を与えてくれる。この「カードを作る」というのが、このゲームの大事な要素その1。さまざまな「アルカナ」、つまり絵素材を組み合わせて、自分だけのカードをデザインして作ることができる。「コーヒートーク」で飲み物を作る感じが似ているかな。

作り出したカードを使って、占いができるようになると、占いの結果を「選んで読む」ことができるようになる。読める内容は、要するに「選択肢」。ゲーム的な「分岐」を、占いの結果としてフォルトゥーナが…というか、ユーザーが選択できる。これが大事な要素その2である。

ストーリーの進行に応じて、フォルトゥーナはいろんな事柄や人の未来を占っていくわけだけど、占いの結果として表示される選択肢は、カードを作った時に使用した「元素」、要は「絵柄の種類」によって多少変わってくる。つまり、ストーリーの進行に対して、プレイヤーからは「カードを作る段階」と、「占いの結果を読む段階」で、2つの介入ポイントがあるのだ!作ったカードの絵によっては、絶対に選べない選択肢が存在するし、逆に言うと、カードを作る段階で、ある程度選択肢の方向性を絞ることもできる。でも、占いなので、どのカードが出るか?は運である。特定の選択肢を狙って出すことは、けっこう難しい。
この、「選べるけど選べなくてちょっと選べる」のバランスが絶妙~~~に良く機能していて、自らストーリーを紡いでいく感じもありつつ、カードのシャッフル中にギャンブル的なドキドキ感も程よく感じられて、すっごい楽しい!!
どうしてもぜんぶの選択肢を網羅したい気持ちになるけれど、リプレイ性が低いゲームなので(オートセーブが容赦ない&スキップ機能とかが弱い)、「この1周の選択をしっかり味わって噛みしめろ!!!!」という強いメッセージを感じる。久々に、選択肢選ぶときにめっちゃ悩んだ。

さらにもう1点大事な要素として、会話の選択肢がある。これは普通に会話中にどのような受け答えをするか、の選択肢。当たり前にアドベンチャーゲームとして、選択肢によってストーリー進行が変化するわけなのだけど、それだけではない部分が1つだけある。
物語の冒頭、フォルトゥーナはエイブラマーと「契約」を行う。行った契約は、物語のさまざまなタイミングで履行される。要するに、冒頭でプレイヤー自ら立てたフラグを回収しに行く話でもあるわけ。何が起こるかはわかっているけど、いつ、どこでそうなるかはわからないし、どういう過程を経るかはプレイヤーの手にゆだねられているし、ゆだねられていない部分もある。これがまた絶妙~~なバランスでストーリーを動かしてくる。なんだこのゲームは…!!

気になったらプレイしてみて…

ここから先はネタバレしますので、ここまで読んでちょっとでも気になった方は、いますぐプレイを開始してください。ぜひ。
Switch版とSteam版がございます。カードのデザイン作るところだけは、Steam(マウス)のほうが遊びやすいかもしれないです。

超かっこいいオープニングアニメーションが見られるレビュー紹介動画も見てくれ

これ見てて、なぜか「ポケモンカードGB」を思い出したんだけど、どうですか(どうとは?)
※この動画内にはネタバレございませんが、ゲーム内で初めて見るほうがアツいとは思います。







では、ネタバレありで感想をかきます

キャラクターグラフィックすごい!!!!!!

グラフィックの良さがすごすぎて全員会話中にスクショしぬほど撮った。みんなかわいいよ~~~ペッパーマンサーがペッパーマンサーになったときの衝撃がすごかった。この絵のテイストだからこその絶妙な空気感、なんだろうね、みんなものすごく生き生きとしているし、モーションも良い。
そしたらなんとデジタルアートブックが5ドルで手に入るって言うので買いました。ドット絵になるまえのイラストもまた良い…あと、ロゴの没案がいっぱい載ってたのちょっと良かった。

エイブラマー、良すぎんか??

全ルート見れたわけではないのだけど、いまのところエイブラマーを嫌いになる要素がひとつもない。さいご、「大好き」以外の選択肢を選びようがねえ。ぶっちゃけ「恋愛」を選んだらエイブラマーとくっつけるルートあると思っていたので、グレーテのところで契約がパリーンなって「いやお前なのかーーーい!!!!」ってなった程度には、フォルトゥーナにはエイブラマーと幸せになってほしい…ダメか…?やっぱりSISTERHOODじゃないからダメなのか…!?相思相愛じゃない…!!
アートブックのほうを見るに、グレーテと融合していたベヒモスは結構わるいやつ(?)っぽくて、隙あらば乗っ取ろうとしていたりする気配を察するのだけど、その点エイブラマーは本当に人間ができている(人間じゃないけど)。彼の過去についてもうちょっと焦点を当ててほしかった気もするのだけど、占いの過程で判明する内容は事実かどうかわからない…というか、フォルトゥーナが読んだ時点で全部作り話になる可能性があるので、本人の口から聞けるストーリーをもうちょっと広げてほしい気持ちです。「最初の魔女グロリア」とのくだりとか。(アートブックのシナリオは読みましたが!物足りん!!)

SISTERHOODという関係性と社会

もともとDragonAgeとか好きなので(早く新作出ないかな)、ポリコレだのなんだのが騒がれるようになる前から、種族や性別の垣根を超えた関係性や心情を描くこと自体には何ら抵抗はない派です。で、SISTERHOODに関しては、個人的にはそこまで思い入れのない世界というか、そういうのもあるよね~って認識は当然しており、好きでも嫌いでもない概念なのですが、このゲームにおいて、「あえてそうした」理由とか信念みたいなものは、それなりに理解できたかな…という印象。
なんというか、すごく大らかで、なにもかもを包括する概念のようなもの…としても機能しつつ、自立した女性像みたいなのを描くのにも役に立っている(それが目的だったかどうかはわからんけど)。なんにせよ、「魔女しか出てこない」という(グラフィック都合的な面を含む)世界のルールとしても機能していたと思うし、「魔女」っていう言葉が、「人間」との対比でしっかり生きてくる見え方もするし(男性の場合は「魔法使い」なので)。
ゲーム内で「どうして魔女になれるのは女性とノンバイナリーだけなの?」みたいな話題も出てくるけど、明確な答えは出されてないので、制作チームの思想がめっちゃ強いとかそういうわけでもないかな、と感じています。このあたり思想が強すぎるとちょっと引いちゃうもんね…もしかしたら翻訳の具合でいい感じにぼやかされた可能性はなきにしも、かもしれないけど…。
ただ、ストレートに性の話をするテキストは多かったな。それもまた魔女の特性ということなのはぜんぜん良くて、むしろいいエッセンスになっていたと思うけど、単にCERO「D」なの見落としてたので、ちょっとびっくりしたという話。SM女王のアルカナあるしな!

選挙パート結構楽しいよ

急に選挙が始まる流れはわりと面食らったけど、「チーム」としてみんなで友人たちとバトルする感じは結構楽しかった。アレです、ロマサガ3のトレード的な面白さ。そこまで数字数字してないけどね!
「協力者を探す」をすると新しいお友達が増えるのが楽しすぎて、どんどん来い!!ってみんなに協力者捜索を依頼したけど、そこまで増えなくて悲しかったよ…罠を仕掛けてくるやつとかもいるのがいいよね。選挙パートだけで1本ゲーム作れる。友人たちがわりと露骨に戦ってくるところも良い。(最終的に和解できるところも良い)
自分たちのチームの方針は結局ぜんぶ「別の案を提案する」みたいなのが正解っぽいのでそれにしたけれど、正直どんな内容でも先には進むと思うので、特に最後の「エイダーナの遺体をどうするか」に関しては4パターンのシナリオが用意されているに違いない。至れり尽くせりである。なんやかんや毎回、先に「自分たちが勝つ」未来を読んでから開始しちゃってるチキンで、ほかの人が勝つパターンも見たいんだけど、分岐のセーブデータが残せないので、また3時間かけて回るのか…みたいなところがけっこうハードル高い。そういうゲームじゃないのはわかってるけど!パターン回収させてくれぃ~!!

テキストアドベンチャーゲームの進化系(?)として

パターン回収させてくれ~~ってさんざん言っておいてアレなのだけど、テキストがメインで進むアドベンチャーって結局、総当たりで網羅するのがゴールみたいなところがあるじゃないですか。というかテキストがメインじゃなくても、極論すべてのゲームにおいて「正解の選択肢をえらぶと先に進める」という仕組みの中にあるものは、「正解」を選ばないと、制作者が見せたいと思っているものにたどり着けない。逆転裁判は一度騙されておかないと真犯人が出てこない的なやつ…。
でもこの「The Cosmic Wheel Sisterhood」は、本当の意味で正解がない…というか、リプレイ性を意図的に下げているという面でも、「数ある選択肢の先(未来)をすべて見ること」ではなくて、「書き手として未来を紡ぐこと」に重きが置かれていて、プレイヤーがその1周の中で、自ら選び取ったり取らなかったりして紡いだ未来こそが「正解」で、他の何かを積極的に回収してほしいわけではないんだ、っていうメッセージを強く感じたわけです。
それでも!!わかってるけど!!そこに生きるキャラクターの別の未来を見たいのは本能として許してほしい。そのくらいキャラクターが魅力的に生きる世界がそこにあるんだから…(オタクの習性)。

カード作りを凝りたい気持ちVS早くテキストを読みたい気持ち

ぶっちゃけカードの配置やデザインをどういう形にしても、カードのパラメータには変化ないと思います(たぶん)。なので、初期配置で即OKしても進行に支障はないと思うんだけど、さすがにそれはな…みたいな思いもあって、チマチマとカードをデザインするわけ。やっぱ最強のかっこいいカードで占いたいから!!でもSwitchなので結構操作がめんどくて、「ええい!もういい!はやく占いしたーい!!」って気持ちにもなる。これはSteamの人ならポイポイ自由にデザインできたと思うので、Switch版を買ったの失敗したな…と思っちゃった。
さっきカードのパラメータに変化はないと思うって書いたけど、選挙ポスターを作った時はちょっとお姉さんのコメントが変わるんだよね。本当に細かい差分が多くて……翻訳の手間を思うと、実に素晴らしいお仕事をしていただいたと思います……そりゃ言語選択画面に翻訳者のお名前出しますよね!!ありがとうございます!!!

「宇宙の輪」ってつまり「Cosmic Wheel」なんだけど、このカードがいちばんかっこいい

よい読後感を得られたのでいい時間でした

エンディングぜんぶで7種類あるらしいんだけど、グッドとかバッドとかトゥルーみたいな概念もないので、とりあえず読めた2周分だけでもかなり満足感というか、達成感みたいなものがあります。さわやかな読後感を得られた印象。もちろん、まだもうちょっと味わいたい感はありますが、前述のとおりリプレイ性の問題もあって「その1回を大事にしろ」感もしっかり受け取っているので、悩ましいところ…
とりあえず魔女たちの絵を描きたいな!というきもちです。



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