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内省と言語化が担うもの ルイーズ・ブルジョワ展

森美術館で開催されているルイーズ・ブルジョワ展
「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」へ タイトルからしてどうしても観に行きたかった

生と死、性と身体性、女性であること、妊娠と出産、精神分析、退行、共依存、親子関係と近代共通のテーマを想起させる作品が盛りもり

親からの愛情を渇望し、「私」にとらわれる不安定な自身
一つのシステムである「家」を女性に見立てた作品
2人の別の人間が求め合い一つになろうとする不自由な美しさ、苦しみ
存在を生み出すことで生まれた痛み
「女」が家庭や社会で負うもの
そうかここが地獄か

「荷を担う女は荷に対して責任があり、その荷はきわめて脆く、女は責任を一身に負う。そう、それはよい母親ではないかもしれないという恐れ」

檻はあちこちにあり 自らの檻、家庭という檻、夫婦という檻、ホモソーシャルに内包される「女」という檻、愛情という檻

何とも刺激的で興味深い展示だった
親の愛を求め自らを見つめる若年期はいまでいうヤングケアラーだ そのシステムからの脱出と得た罪悪感、他者と関わり子どもを産み育てる成年期を経て晩年への遷移 晩年の作品の(それまでと異なり)痛みを想起させない穏やかさは、生家の生業を思わせる
自身を省みながら、痛みを昇華させる作品と詩に何度も心を射られる

「芸術は正気を保証する」

地獄、素晴らしかったっていうくらい、生きるか、とエンパワメントされ 図録を買って帰宅

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