「ステキで楽しい」は最強の魔法。
北沢由宇考案の、誰でもできて最強の効果が得られる究極の魔法がある。魔法の名前は、《わたしが蒔いた星空》だ。ご紹介しよう。やり方はこうである。
魔法《わたしが蒔いた星空》手順
満点の星空の下に行く。
星空に両手を伸ばして目を閉じる。
両手で星をかき集めるイメージと動作をし、手の中でギューッと圧縮する。
圧縮した反動を利用して、一気に開放して星を夜空にばら蒔く。
目をあけるとそこには「わたしが蒔いた星空」が広がっている。
この魔法《わたしが蒔いた星空》によって得られる効果はなんと、「ステキで楽しい気持ちになれる」というものだ。願いが叶うわけではない。恋愛成就するわけでもない。お金がどんどん入ってくるでも、龍神様のご加護があるわけでもない。仕事が大成功するとか、職場のイヤな奴が去っていくとかでもない。ステキで楽しい気持ちになれる。自分で蒔いた星空をうっとり眺められる。ただそれだけのための魔法だ。そしてこれこそがすべての魔法の基礎であり、この世で最も素晴らしい魔法の究極形である。
魔法というのは本来、それが魔法であるというだけでステキで楽しい遊びだ。しかしそこに何らかの目的を据えた途端、すっかり遊びではなくなってしまう。お金が入ってくる魔法。ほら、なんかちょっと重くなる。目的を据えると、ステキさよりも願望成就の可否が先行してしまう。
願いが叶う、なりたい自分になる、幸せを引き寄せる、etc. その手のことを言う人はこの界隈には余るほどいる。どうも僕はその手の言葉に「ぬるい飢え」的なものを感じてしまう。彼らはぬるく飢えている。スピリチュアルとか言いながら、肝心の魂はぬるぬるした何かの奥に深く埋もれて手がつけられなくなっている。貴方たち、何をそんなに飢えているのですか。熱を発せ。光を放て。僕はステキな魂に興味があります。目の前の人のステキな姿を見ることと、自分自身がステキなことを起こすことと、この世界がステキなことを起こしてしまうことに興味があります。
「ステキで楽しい気持ち」は、どんな運勢アップ法よりもずっと人の魂を良くしてしまう（なんならついでに運勢さえ良くなる）。26歳の頃からナチュラルに人のオーラが視え始めたので、目の前の人のオーラを描いてお渡しするという活動をしている。この活動で僕が求めているのもまた「ステキで楽しい」だ。それ以上でもそれ以下でもない。願いが叶うわけでもないし、病気の早期発見ができるわけでもない。色によって魂の性質がわかりますとか解説したりもするけれど、その辺りはほとんどおまけみたいなものだ。貴方、そんなに深刻なお顔をなさらないで。そうだ、深刻な顔をしないで欲しい。そもそもオーラ視してわかることはオーラ視しなくてもわかる。あなたは情熱的な性格ですねとか、思慮深く冷静な人ですとか、コミュニケーションが好きな人ですねとか、少し関わってちゃんとその人を観察していればオーラが視えてなくてもわかる。それが単に色や形としてあらわれているだけである。だから「オーラがわかることで何がわかるんですか？」と聞かれるとちょっと返答に困ってしまう。僕があなたのオーラを視てわかることは、多分、あなたもあなたの周りの人もだいたい全部知っている。それが色と形として紙に描かれることが、あなたにとってステキで楽しい体験であれば幸いだ。
星を読むより星を見てうっとりしていたい。美しいものを見てうっとりしよう。自分で蒔いた星空にうっとりしよう。うっとりする力は凄いぞ。霊感はうっとりすることで冴えるんだ。生まれた日の星の並びで運命が全部決まっているなんて、あなた、どうか言わないで。その星あなたが蒔き直してもよろしくってよ。古い星座は解散させて、ソファ座、ベッド座、座布団座、ヨギボー座とかを作って、今考えた神話をウクレレと鼻歌で弾き語ってもよろしくってよ。
しかもその神話は"本当に起こる"。そういうことが人間にはできるんだ。
次回、4/22㈯更新。「真理とは快楽だ」。
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