HSS型HSPとADHD(注意欠陥多動症)の違いと生きやすくする方法
HSS型HSPとADHDの違いは?
繊細でありながら刺激を追求してしまうHSS型HSPさん。
実はADHDなのかな・・・?
もしADHDなら、辛さへの対処法が違ってくるのでは。。。
そうお悩みの方も少なくありません。
(もちろん、ご自身はADHDだと思っている方が私はHSS型HSPでは?と悩んでいる場合もあります。)
どちらも刺激に向かって積極的に進んで行くイメージですが、いったい何が違うのでしょう?
HSS型HSPとは
HSS型HSPは生まれつきの気質の1つです。
・「HighSensationSeeking(ハイ・センセーション・シーキング)」の頭文字3つをとったHSS、それと
・「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」(日本語にすると、「人一倍繊細な人」)をくっつけてHSS型HSPとなります。(日本語では「刺激探求型」とされていることが多いです。)
読んで字のごとく、新しいことや、刺激のあることを求める傾向がある人達です。
また、刺激を求める為、同じことの繰り返しに空きやすい面もあります。
刺激が苦手で他人の気持ちも敏感に察知してしまうのに、どんどん出かけてしまうので、とても疲れやすいといえます。
人口の中に占める割合は6%と、とても少ない比率です。
ADHDとは
一方、ADHDとは「attention deficit hyperactivity disorder」の略語です。(日本語では「注意欠陥・多動性障害」と言います。)
現時点では、原因については生まれつきの脳の発達の偏りが関係していると考えられています。
他にも、脳内の神経伝達物質の関与も明らかになってきています。
まとめて言ってしまえば、脳の機能的な原因により、発達・成熟に偏りが生じ、ADHDの症状が現れる、と考えられていますが、現時点では、ADHDの発症原因ははっきりしていません。
不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくと行動してしまう)といった症状の特徴に分けた場合、この特徴は症状として強く出るが、この特徴はあまり出ない、という場合もあります。
HSS型HSPとADHDが混同されやすい理由
HSS型HSPさんとADHDさん。
混同されやすい理由は大きく2つあります。
1つは、感覚過敏です。
全ての人に当てはまるわけではありませんが、HSPの特徴を持つ方やADHD(及びASD~自閉症スペクトラム~の方全般を含む)方たちは、感覚過敏であるケースが良く見受けられます。
聴覚が過敏だと、音に過敏に反応したり、騒がしい場所が苦手だったりします。又、触覚が過敏だと、服のタグが気になる例がよく知られていますが、服の肌触り一つでイライラしたりします。
これは、両者に共通する性質です。
2つ目は、衝動性です。
その程度に差はありますが、どちらも「やりたいことを見つけたら、すぐに行動に移す」という性質は共通しています。HSS型HSPさんもADHDの方も、やりたいことは思いついた事は必ず実行に移します。しかし、割と飽きっぽく、興味の対象がすぐに移っていく、という点でも共通しています。
他にも疲れやすかったり、団体行動が苦手でマイペースに行動するのを好んだり、という点もよく似ていると言えるでしょう。
HSS型HSPとADHDの主な相違点
他人の気持ちを想像しやすいかどうか
HSS型HSPさんの辛さには、やはりHSPさんの1番の特性である「敏感さ」からくるものが挙げられます。
ゆえに、相手のちょっとした表情の変化や仕草、雰囲気から他人の気持ちをすぐに察してしまいます。
一方、ADHDの方はどちらかというと他人の表情を読んだり、気持ちを察することが苦手です。
(療育の場面などで、表情の描かれた絵を使って「どんな気持ちか」を学ぶのもこのためです)
もちろん、ADHDの方も相手の方とのやりとりで傷つく場面は多々あることでしょう。
しかし、こちらから敏感に察してしまうか、というのが大きな違いとなります。
行動前にミスを予測して準備しているかどうか
ADHDの方のあるあるとして、「よくものを忘れる」という事があります。
ちょっと難しい話になりますが、先の述べたADHDの原因となる「脳の機能」で注目すべき部分に前頭前皮質という部分があります。
この部分は、現在の行動によってどのような未来の結果が生じるかを決定する能力、確定したゴールへの行動、成果の予測、という事を司っています。
簡単に述べると、今の行動が先へどう結びつくか、先に結びつけるために今どう行動すべきか、という事をゆっくり吟味することが難しい状態にある、という事になります。
対して、HSS型HSPさんは刺激には魅力を感じても、他人にどう思われるかがとても心配なタイプです。
「忘れ物をして迷惑をかけたらどうしよう」「遅刻をしたら相手の時間を無駄にしてしまう」とむしろ「そこまで心配しなくても・・・」と周りの方が心配になるほど、過剰なくらいに心配し、念には念を入れて準備するタイプです。
未来への準備が得意か否か、ここが大きな違いとなります。
衝動性の過剰さ
HSS型HSPさんは、確かに刺激を好み、割と躊躇せず行動に移せるタイプです。
ただし、「このやり方だと相手に嫌われるかも」「これは相手に嫌な思いをさせてしまう」と人の気持ちも必要以上、と思うくらいに考えてしまうため、多少のうっかりがあるとしても、ある程度の手順や順番を守った上で行動します。
対して、ADHDの方は、興味が湧いた瞬間には、もう体が反射的に動いています。
思った事(相手の気にしている外見など)もそのまま口にしてしまうのもそのためです。
あるいは、並んで待つ、等のじっとしている行為も苦手なので、行列の出来ているお店でも列に割り込んでしまったりすることもあります。
どちらも行動が早いという事は共通していますが、衝動性においてはとても大きな差があります。
心地よく生きるために何が出来るのか
違いはあれど、生きにくさを抱えているという点では共通するHSS型HSPさんとADHDさん。
今の生きづらさを出来る限り減らして、心地よく、楽に生きる方法はあるのでしょうか?
自己肯定感を上げる方法を知る
相手の気持ちを先読みして傷つくHSS型HSPさん。
特性ゆえのミスが重なり、出来ない事、叱られることで自信を無くすADHDの方。
どちらの方にも自己肯定感を上げることが最も必要です。
方法としては、
①失敗しても傷ついても、そんな自分も丸ごと自分、と認め、自分自身が自分の気持ちを認める事。
②とても些細なことでいいので、自分に「出来た!」という成功体験をたくさん重ねる事が挙げられます。
気持ちを安定させる方法をいくつも持っておく
傷つく回数が多いという事は、回復に時間がかかるということです。
普段から、こまめに気持ちを安定させるリラックス方法を持っておきましょう。
HSS型HSPさんなら、お気に入りのものに囲まれて、1人でゆったり過ごす時間を取るのもいいでしょう。
ADHDの方なら、趣味を見つけてそちらに集中するのもおススメです。
これらの方法は、複数持っておくと便利です。
気分に応じて、場所に応じて使い分けられると、いつでもご自身の気持ちを安定させることが出来ます。
周囲の理解とサポートを得る
日常生活にストレスと困難を抱える時、周囲の理解とサポートは必須です。
勇気が要るかもしれませんが、信頼できる方に相談してみましょう。
職場でなら、HSS型HSPさんは刺激をへらしてもらう。(周囲が気になるなら、デスク周りに衝立を立てさせてもらう、等)ADHDの方はタスクは1つずつ、メモなどに書いて渡してもらう・・・。
そんな「物理的なサポート」をお願いしてみて下さい。
また、心理的な理解もとても大切です。
HSS型HSPさんなら「しんどく感じている時も、気質であって、怠けているわけではない」
ADHDさんなら、「一見わがままに見える行動も、悪気があるわけではない」
根気のいる作業かもしれませんが、最終的にはここが一番大切です。
安心した環境にいられることが、自己肯定感を上げる事にもつながり、行動を変えることにもつながるからです。
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