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「夢のまた夢」


社交場 しゅ鬼こ


file no,2020515


今ココは新宿の御苑近くである。
縁遠くなった高校の友人ムーミンと主人の3人でいる。
工場の跡地なのか塀で囲まれた古びたビルの前にきた。
そのビルには似合わないネオンが光り、入り口はこちらとビルの外に筒の先がIKEAのビニール袋のようなもので覆われて出ている。
人が一人が入れるくらいの大きさの入り口。
3人で車を敷地内に止め、入ってみることにした。

ムーミン「ココだよ、変なショッピングモール。」
ボク「なに?この入り口入んの?」
主人「俺入れるかなぁ。」
ボク「無理だな。車で待ってな。」
ムーミン「冷たっ。」


中に入るのにビニールをガサガサさせながら先の見えない地下に続くトンネルに入る。
見た目からして相当怪しい。
好奇心旺盛なムーミンが先に飛び込んだ。
次にボク。そして主人…。
1階分ぐらいの距離をかなりのスピードで落ちた。
ムーミンと下で合流。

ムーミン「見て見て、どっかで見たことある風景だよ〜。」
ボク「あー、新宿の駅ビルに似てるよ。」


少し待っても主人が来ない。
途中でひっかかってるか、入るの断念したかどっちかだと思い、
先に2人で買い物をすることになった。

天井が高くて。金色のマーブル模様の壁紙が目につく。
たどり着いた階は、婦人服売り場らしくベージュと水色の服が並ぶキレイな服の店が目に飛び込んだ。

ムーミン「あ、この服いい!」
ボク「いいんじゃない?」


ここで近くに来た人の顔を見て二人で静止。
目が右と左で色が違う。
鮮やかな赤と青の目。
次の瞬間2人とも周りの人を見た。
普通の人がいない…
いや、これもファッションの一つなのか?
ただ明らかにおかしいのも見えてきた。

ムーミン「ねぇ、あの人足が魚みたい。」
ボク「うん、ありゃ、人間じゃないな。」


つまりココは、人間じゃないものが買い物に来るショッピングモール…。

ムーミン「面白いって言ってたのこれだね!」
ボク「面白いか?人間お断りだったらどうすんだよ。」

その瞬間警報がなり、警備員のような何かが走っているのを見た。

警備員「侵入者だー。」

2人で洋服を盾にかがみ、顔を付き合わした。

ボク「宇宙会員様限定とかだったりしてね。」
ムーミン「じゃ、会員登録行こう!」
ボク「マジで⁉︎」
ムーミン「人間ダメなのかなぁ」
ボク「そんな気がする。」
ムーミン「でもコレ買いたい!」


ムーミンは水色のキレイなワンピースを持ってくねくねした。
レジへ行き、かぶりものなのか本物かわからないオオカミの頭の生き物に
商品を渡し、無事買い物ができた。

ムーミン「なにも言われなかったね。」
ボク「お金使ってくれるのは、人間でもどっちでもいいんじゃない?」
ムーミン「このおつり本物かなぁ。」
ボク「わからん。」


婦人服のフロアを後にして、エスカレーターで上に上がった。
周りの生き物たちが私たちをジロジロ見る。
白い目、デカイ目、一つ目…
ボクは恐怖からむしろ遠くを見て平然とした態度をとっていた。
ムーミンは耐えきれず、買い物袋で顔を隠した。
次のフロアは金物や貴金属売り場だった。

"ここで見たものは内緒にしてください。"
そう書かれたフロアの床。
ゾワッとする感覚をおぼえながら歩きはじめた。

ムーミン「言ったらどうなるんだろう?」
ボク「舌抜かれる。」
ムーミン「やだ、絶対痛いもんっ!!!」


今まで見たことのない、動くジュエリーとか1本で形が自由自在に変わるカトラリーなど
まるで映画の世界のものばかりだった。

ボク「ターミネーターだっけ、あの金属みたいだよね。」
ムーミン「あー、でもガソリンが落ちたときみたいの虹色でキレイ!」
ボク「確かに。」
ムーミン「買おう!」
ボク「人体に影響ありそうですけど…。」
ムーミン「え。そうなの?じゃあ試しに安いヤツ!」
ボク「イヤイヤ…」


あり得んというてる最中にムーミンはそそくさとレジにカトラリーを一つ持って行った。
レジのいろんな色の髪の毛の蛙の顔の生き物が、でっかい目でムーミンをジーッと見ている。
咄嗟にやばいと思い、手を掴んで走った。

ムーミン「わぁーっっ」
ボク「走れ!やばいって!出口はどこだっ!」


警報が鳴り始めた。

ムーミン「買い物していただけ、悪いことしてないのにーっっ」
ボク「いいから逃げるよっ。」


エスカレーターを駆け下りた。
さらに上から大きな男性の甲高い悲鳴が聞こえた。

ボク「じじぃ、入れたんだ。」
ムーミン「じゃあ、一緒に逃げよう!」


主人もエスカレーターを駆け下りてきた。
ヤツは私たちの顔を見るや否や、あわあわしながら叫んだ。

主人「なんだココ、意味わかんねぇよ!」
ムーミン「捕まったら舌抜かれるって!」
ボク「いいから、逃げるよ。」


とにかく駆け下りた。駆け下りた…
突然、青く周りが光った。気がつくと外にいた。
あの奇妙な入り口の前。

目の前に苔が頭についた2mぐらいの青い生き物が黒いスーツを着て立っていた。

主人「ぎゃーっ。」


じじぃは腰を抜かした。

ムーミン「やばい!舌抜かれる!」
ボク「すみません!入っちゃいけないって知らなくて!」


青い生き物が電子音のような低い深い声で話し出した。

青い生き物「いえいえ、ようこそお越しくださいましたる。」

そう言うと何かを私たちに手渡した。

青い生き物「こちらは次回来るときの会員証でする。またのお越しをお待ちしていまする。」


カードは普通の白いカードだった。
ただ裏に名前と生年月日が正確に記されていた。

そしてまた目が覚めた。
これはただの夢。
夢のまた夢。


© 2022 s.syakouba





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