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あなたの「かわいい」のために。

「かわいいは正義だ」と言っていたのはどこの誰だったか忘れたけれど。
私はそれをずっと信じていた、ように思う。
例え実年齢よりも年上に見られようと。
30歳を過ぎたとしても。
年相応の見た目、の中に、少しでも自分が「かわいい」と思えるものを身に着けている。

我が家の娘。5歳。
「かわいい」ものが大好きなお年頃。
スカートはもちろん、ひらひらしたもの、フリル、リボン、過剰な装飾、お化粧、マニキュアなど…
とにかく、「かわいい」ことに命を懸けている。

親からしてみれば、
そこまで過剰な装飾をしなくても。
そのままでかわいい。
作り笑顔をしなくてもかわいい。
赤ちゃんの時と同じ寝顔でかわいい。
悔しくて泣く姿もかわいい。
とにかく何でもかわいい。

その娘を前にしたら、私の「かわいい」なんて作りものハリボテで。
身につけた「かわいい」ものを鏡で見るたびに引きちぎりたくなる。

その娘。私の思いを知ってか知らずが、最近は毎日のように「今日のママはかわいいね」と褒めてくれるようになった。

スカートをはいているからかわいい。
アイシャドウがキラキラしているからかわいい。
口紅の色がかわいい。
チークをつけているからかわいい。

そして、褒めてくれた後には決まってこういう。
「今日の私もかわいい?」

私はにっこりと笑顔で伝える。
「お化粧しているママよりもかわいいよ」

彼女はにっこりと、満足したような顔で、友達の元へ駆けていく。
飾らない、心から、うれしいと言わんばかりの表情で。

年齢は変えられない。だけど。
彼女に「かわいい」と思ってもらうために。
自慢できる「かわいい」ママでいるために。
私は今日も年相応のかわいいを身に着ける。

そして、今日も、「かわいいよ」と、言い続ける。
かわいい、世界で一人の、大切な我が子のために。




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