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「私と京都」~vol.3 谷川 史弥~
京都の今を生きるU35世代の価値観を集めたメディアです。
次期「京都市基本計画(2021-2025)」を出発点に、
これからの京都、これからの社会を考えます。
自己紹介
初めまして、谷川 史弥(たにがわ ふみや)と申します。
まずは、簡単に自己紹介から。
1992年 大阪府生まれ
小中高は大阪で過ごします。
京都はたまに訪れる程度で、当時はまだ未開の地のような印象でした。
2011年 同志社大学法学部 入学
いざ未開の地へ。学生時代の話はあとで詳しく書くので詳細は省きます。
ホットケーキを焼くのが上手になりました。
2016年 京都市役所 入庁
1~3年目は都市計画系の部署で、社会人としての基礎をみっちり勉強させてもらうと同時に建物や都市計画といったハード面からまちづくりを考えるきっかけをもらいました。
その後、異動を経て、市政の基本方針である京都市基本計画の策定に携わった後、令和3年度からはU35-KYOTOのメンバーとともに活動しています。
そして、現在
たくさんの出会いに恵まれた京都市役所を令和4年11月末に退職。
12月から新たな挑戦を始めています(この話はまたゆくゆくどこかで)。
京都で活動する理由
学生の時の話に戻ります。
学生時代は、京都の老舗喫茶店で働くかたわら、ご縁が重なり、第5期京都市未来まちづくり100人委員会に参加。
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歴史と伝統が根付く京都をフィールドに、社会を良くしようと情熱をもって活動する市民・市役所職員の方々とのたくさんの出会いがありました。
また、時を同じくして、大学を早期卒業し大学院で法律を研究する機会を頂き、この頃は喫茶店・まちづくり・研究の3足のわらじを履く多忙な毎日でした。
特に100人委員会ではプロジェクトリーダーとして活動させてもらい、京都、日本、そして世界にはたくさんの課題があること、また、そうした数々の課題にたくさんの人が日々立ち向かっていることを知り、衝撃を受けたことを今でも鮮烈に覚えています。
“社会課題に挑戦するプレイヤーを支え、彼らとともに困難な課題に取り組みたい”
“熱意あるプレイヤーと市職員がたくさんいる京都だからこそ、他の地域にも通用する素晴らしいソリューションを生み出せるのではないか”
毎日を慌ただしく過ごす日々の中、気が付くと自分の進むべき道も、活動するフィールドも、その輪郭が少しずつ鮮明になっていました。
私が感じる京都の魅力
京都に来てから、こんな言葉をよく耳にするようになりました。
・古くから脈々と受け継がれてきたものを大切にしつつ、新しいことにも耳を傾けよう
・自分たちの周りだけでなく他の地域・世界の、自分たちの世代だけでなく子供や孫の世代のことまで考えよう
・自分たちのまちを人任せにしない。みんなで少しずつ分かち合い、自らの手でよくしていこう
今になって振り返ってみると、
使い古された建前ではなく、京都への愛着や誇りから自然とこぼれるこうした想いに。
この土地で日々を営む人たちが紡いできた”温故知新の精神“と”自治の精神“に、自然と惹かれていたのだと思います。なんかかっこいいですよね。
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また、一般的には京都といえば“排他的なまち“というステレオタイプがあるかもしれませんが、個人的には包摂性に富むまちだと思います。
100人委員会で出会った仲間はそれぞれの長所を持ち寄り、互いに助けあっている。
喫茶店のマスターは、退職して何年たっても未だに家族の一員のように接してくれる。
職場の同僚はまるで何年も一緒に過ごしてきた戦友のように信頼して背中を預けられる。
考えてみれば、京都は国内外から多くの観光客が訪れる世界でも有数の観光都市であると同時に、全国各地から学生が集まり人口の約1割を占める“学生のまち”。
地理的にも世代的にも文化的にも多様な背景を持った人がまちに溢れるこの地には、異なる価値観を受け容れ、それらをまちの魅力へと昇華させる土壌があるように感じます。
温故知新の精神と自治の精神。
それらを支える地域への愛着や誇り。
こうした想いを持つ人達に,京都でたくさん出会うことができました。
言い換えれば,多くの人にこうした想いを授けてくれる懐の深さが、
京都のかけがえのない魅力なのだと思います。
今後の京都
だけど、運が良かっただけなのかもしれません。
包摂性に富んだまちにあって、今も孤独や孤立に苦しんでいる人は確実に存在する。
自治の精神に富んだまちにあって、かつての活力を取り戻せず苦しんでいるコミュニティは確実に存在する。
人口減少、地球温暖化、財政危機、ジェンダーバイアス、孤独・孤立、8050問題、ヤングケアラー、地域コミュニティの変容、伝統技術・文化の継承、フードロス、インフラの老朽化…
京都はこれまで幾多の危機を乗り越え,歴史を紡いできた稀有なまちですが,今もなお、たくさんの課題を抱えています。
そうした課題や困難に直面し,苦しんでいる人達にとって,
京都というまちはどのように映っているのか。
“住みにくいまち”
“堅苦しいまち”
“冷たいまち”。
もしかしたらそんな風に映っているかもしれない。
社会の変化が激しい中、もしかしたら今後、自分にもこのまちがそんな風に映ってしまう日が来るかもしれない。そんな想いが時々頭をよぎります。
そんな未来には全力で抗いたい。
自分が、自分にとって身近な人が、身近な人が大切にしている人が、
このまちを好きになり、このまちで楽しく過ごせるようになってほしい。
その思いを叶えるために一緒につまずき、もがき、笑いあえるのがU35-KYOTOなんだと思います。
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私たちが大事にしたいこと
私たちが美しいと感じること
私たちが違和感を抱くこと
そうしたU35世代の価値観を集め、まちを多様な視点から捉え直してみる。
一人ひとりが「もっと良くしたい」「現状を変えたい」という思いを持って、社会の中で行動し、これからの京都を共に創っていく。
明るい未来が待っているとは断言できない変化の激しい社会にあっても、
こうして必死に考え、試み、実践している若者たちがいる。
その事実が、もがきながらも前に進もうと残した痕跡が、先行きの不透明な社会を照らす一筋の光明になることだけは確信できる。
だからきっと今回も乗り越えられる。未来は明るい。
今はそんな風に考えています。
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以上、U35-KYOTOメンバー3人目、谷川 史弥の「私と京都」でした。