隠れたFUNKの名盤「SMAP 008 ~ TACOMAX」
皆さんは「SMAP」と聞いてどんな曲を思い浮かべるだろうか。
代表曲の「世界に一つだけの花」とか、「ありがとう」とか「夜空ノムコウ」とか「らいおんハート」とか…バラード系が結構な割合で占めてくると思う。
中には「SHAKE」や「青いイナズマ」や「ダイナマイト」ようなアップテンポなダンスナンバーも思い浮かべる方もいると思う。
今回ご紹介するのはその「ダンス」に比重を置いた1枚である。
「SMAP 008 ~ TACOMAX」
1996年発売のアルバムであり、現在オートレーサーの森且行氏が参加した最後の作品でもある(一日も早い全快をお祈りする)。
この頃は、というかSMAPは活動初期から「クラブカルチャー」的な音楽性が特徴でもあった。70年代からディスコが流行り、その後風営法改正とかが影響し、気軽でカジュアルなクラブ文化が主流になる。SMAPもこの流れに沿って、クラブミュージックを主体とした作品を数多く世に広めたのだ。
もう一つ大きな特徴としては、海外アーティストが演奏をしていることである。マイケル・ブレッカーやデイヴィッド・T・ウォーカーなど、調べてみるととんでもない方々と楽曲を制作していることが伺える。
そんでもって、海外でレコーディングも行っている。
では、それぞれの楽曲レビューに移る。
1曲目「Theme of 008 (piano sonata no.8)」
8枚目のアルバムにちなんで、最初ピアノソナタ第8番からの導入…と思いきや突然ジャズに転調する。このギャップの音楽が出来るのも、SMAPのネームバリューのおかげか。
2曲目「気になる」
個人的に一番衝撃である。
イントロからまごうことなきファンクではないか。そこらのアイドルの曲とは明らかに一線を画している。最初から最後までファンクバンドの重厚なサウンドが脳内が支配する。アルバムの導入として完璧な1曲である。
3曲目「俺たちに明日はある」
数年前の27時間テレビのドラマのタイトルや、キムタクのドラマ主題歌だったりで、知名度抜群の1曲。2曲目の流れがあるから、このファンクも活きてくる。アップテンポで前向きにもなれる。応援歌。
4曲目「わかってほしい」
LATIN HOUSEと言ったほうが話が早いかもしれない。ちなみに歌詞の内容は傷心気味な気持ちを歌っている。気持ちをラテンで紛らわせているとも受け取れる。
5曲目「どんないいこと」
1〜4曲目から打って変わってゆったりテンポ。この曲も割と有名だったかもしれない。全パートを複数人で歌っているので、上手下手が浮き彫りに。そこもまたSMAPの魅力の一つではあるのだが。
6曲目「お茶でもどうかな?」
森氏のソロ曲。声量がもうちょっとあれば恐らくグループ内の歌唱力では天下を獲れたはずである。
補足だがここからまたファンク路線。ちょうど折り返しぐらい。
7曲目「それじゃまた」
このアルバムのリードトラック。この曲は随分爽やかである。この曲だけ聴くと、このアルバムがとてもファンク主体のアルバムとは思えない。ダブルで衝撃が走り、まるで二重トラップのような巧妙な戦略にはまっているように思える。
8曲目「恋にうつつのCrazy」
ベースギターがじんわりと響き渡る。この辺りから段々スローペースになる配分に感服。よく計算されてる。
9曲目「声を聞くよりも」
キムタクソロ曲。この雰囲気でこそ持ってこれる1曲。
10曲目「Slicker's Blues」
ここで突然のヒップホップ。
ダンスミュージックのごった煮がここに来てヤマを迎える。日本語ラップの出来はともかくとして、この振り幅の大きさはグループ随一だと思える。
11曲目「EAO」
吾郎氏と森氏歌唱。通常のゆったりジャズの中に紛れてもおかしくない曲である。というより今までほぼ全曲通常のクラブに1曲紛れていても違和感すら感じないと思う。
12曲目「恋があるから世の中です」
エレキギターサウンドが特徴の1曲。このアルバムの中ではかなり異質。今だったらこの曲が普通に聞こえてくる。今まで紹介したファンクの部分が異質に映るかもしれない。時代の移り変わりとともに様々なジャンルに傾倒し、音楽性を高めたのかもしれない。そのきっかけが分かるかもしれない。
13曲目「胸さわぎを頼むよ」
アルバムの〆。都会的なシティポップの集合体。
なだらかに聴こえるベースが雰囲気を醸し出す。
改めて全てを聴き返してみると、SMAPというのは王道でもあり異質でもある特異なグループだったことが分かった。80年代までのキラキラとしたアイドルが足を踏み入れない、クラブミュージックの正解を踏襲しつつ、そこから流行の最先端として活発的にアルバムを発表していく。
話はそれるが、テレビのバラエティにも精力的に進出したアイドルとしても名高いSMAPを見ていると、時代の移り変わりと共に生きていく若者としても最先端だったのかもしれない。
それを踏まえると、このアルバムは必然だったのかもしれない。
…とまあ、最近聴いたCDや好きなCDを紹介することもたまにはいいかなと思い今回日記に書いてみた。
「衝動的になる」のは自分の性なのはもう仕方のないことなのだが、趣味の世界をご紹介するのも悪くないと思い、今後も継続出来るペースでやっていこうと思う。
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