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2月初旬に観た映画の感想
簡単かつ雑な文と自覚はしていますが、とにかく投稿することを第一目標にしないと今年も何も残さないまま終わるぞという危機感から、ざっと書き残します。
その作品を観たことない方には分かりづらいと思いますが、あくまで紹介文ではなく個人の勝手な感想なので、その点も併せてご了承ください。もちろん評論家でもなく映画館に通うただの一映画愛好家なので、意見も偏っています。
僕は映画は監督を最も重視しているので、表記としても
監督名『日本語の題名 / 原題』(発表年、制作国、上映時間)
としています。
では、ひとまず今月に入ってから観た全4本です。
ジョン・カーペンター『ニューヨーク1997 / Escape from New York』(1981、米、99分)
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ジョン・カーペンター監督の回顧上映で『ゼイリブ / They Live』が意外に楽しめたので、もう一本観た。
治安が極度に悪化し、マンハッタン島が丸ごと刑務所となっている近未来。この設定が破天荒で面白いけれど、むしろ1950年代のSFに近く、逆に懐かしさを感じさせる雰囲気。
荒廃し切った都市というより、人々の精神こそが荒み切っている。
生死を賭けられた状況で、救いに行くのは大統領でも、ましてや世界平和でもなく、自分自身の魂だった、とそのように読み取った。
ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 / The French Dispatch Of The Liberty, Kansas Evening Sun』(2021、米、108分)
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初のウェス・アンダーソン体験。
速すぎる台詞回し、とにかく情報量の多い作り込みまくった演出、スイッチが切り替わるようにカラー/モノクロになるカメラ、静止画のように見せる絵などなど、正直に言うと独特のこの作風に面食らってしまった。自分の映画を観る目は、かなり保守的なんだなと思い知らされた。
架空の雑誌の最終号、その記事3本分の映像化、ということでよいのかな?
難しいことは考えず、このノリを楽しむこと、スターたちの軽妙な演技を味わうことが第一なのかも。
特に笑いの感覚は人によって合う/合わないが分かれる点だと思うが、「遊び心」が横溢していたのは確かだった。
四元良隆 / 牧祐樹『テレビで会えない芸人』(2021、日、81分)
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なんだ、やっぱり日本にもこういう骨のあるコメディアンがいたんじゃん。
そう思わせてくれた松元ヒロさんのドキュメンタリー。
弱いものの立場から、権力を「笑いのめす」、それこそが笑いの本質だと僕も思っていたので、嬉しい発見。
たった一人で、身体一つだけ、喋りだけで舞台に立つ。
こんな公演だったら僕もぜひ観に行きたいけど、すぐに完売してしまうらしい。
地方のテレビ局の制作らしいけど、映画化すれば全国で上映できる。こういう形でどんどん面白いものを作ってほしい。
タル・ベーラ『ダルネーション/天罰 原題:Kárhozat/英題:Damnation』(1988年、ハンガリー、121分)
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引退作『ニーチェの馬』は配信でだが観ていて、どんなものかなと日本初公開作を試してみた。
退廃だけはしっかりと感じたが、タルコフスキー並みに動きの遅いカメラにやや入り込めなかったのが率直な感想。
一応の物語はあるのだが、やたらと降り続ける雨こそが、モノクロの映像と相俟って印象に残る。
観念的なのか高尚なのか、まだまだ映画を観る目を養わねばならないなぁ。