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映画『声もなく』感想
ホン・ウィジョン『声もなく / 소리도없이』(2020、韓国、99分)
※この投稿から、できる限り個別に一本ずつ書いていきます。
ここ20年ぐらいの韓国映画はどれを観ても面白く、何となく気になったこともあり、前情報をなるべく入れず鑑賞。
先に一言でまとめると、そこまで傑作、とは言い切れないかな?
1982年生まれの女性監督で長編第一作とのことなので、次回以降に期待できるからこそ、敢えて厳しめに率直に書きます。
喋べることができない裏稼業の下請け青年と、誘拐されたのに親から見捨てられたかもしれない少女との、有り得なかったはずの邂逅。
ここが軸なのだろうが、脚本の甘さなのか、前提が現実的でないように見えたし、特に終盤は危うさでグラグラする中、力業で押し進めていた印象。もっと言ってしまえば、破綻をきたしていると私は思いました。
主役二人の取った選択も、観た人によって意見が分かれそう。
やけに血生臭いところと対比させるためか、コメディ調とまではいかなくとも盛った演出。
この辺りの感覚も好き嫌いが分かれそうだが、個人的にはあまり入り込めず。
ただ、夕暮れ時の空(いわゆるマジック・アワー)を多用した撮影や、音響やカット割りで緊張感を高めていく技術、そして孤立している者たちが「擬似」家族のようになる一瞬など、ところどころに光るものはありました。