インド滞在記 #4(2004年~2005年)
2004年11月19日~21日 ヴァラナシ:かなし、ばらなし、ばんぐらっしー。
アーグラからヴァラナシ行きの列車、午後7時半に出発して翌日午前9時半に到着するはずだったのに、実際にヴァラナシに着いたのは午後4時過ぎでした。およそ7時間遅れ。これがインディアン・ウェイ、インディアン・レイルウェイ。 関係ないけど、列車内の物売りに対してはあまり英語が通じなくて困りました、やっぱ多少なりとも現地語を学ぶことは大事だな~と痛感。
ヴァラナシにはいろんな国の人がたくさんいます。日本語のうまい韓国人旅行者や、シタールを習ってる欧米人や、哲学好きなアメリカ人や、ケムリを食べる日本人などなど。インド人にとっても聖地なので、安宿や飯屋もいっぱいありました。
そんななか、私が選んだ宿泊地は「ラクシュミ・ゲストハウス」というところで、ヴァラナシ駅でたまたま出会った女の子(イギリスからヨーロッパを旅し、トルコからインド入りしたという男気溢れるルート!)に紹介してもらいました。インドに限らずですが、バックパッカーをしていると、旅人同士の口コミってホント大事です。とくに同じ好みや特性(属性)を持っていそうな人からの口コミは、とても情報価値が高い。
同じ宿には、彼女のほかにも3名の日本人が宿泊中でした。そのうちの1人がなかなか興味深い体験をしたようです。
インドではラッシーというシェイクみたいな飲物が愛飲されますが、この男性、夜10時頃ヴァラナシ市内の屋台でラッシーを注文したところ、通称バングラッシーというガンジャ(つまりマリファナ)が入っているヤツを渡されたみたいで、インドにて見事にトリップされたようです。
ラッシーなので、もちろん口から摂取します。そのため、薬効が現れるまで30分くらいかかるし(だから強盗目的ではない)、払った金額も15ルピー(40円くらい)だし、お店側の意図がつかめずにいたのですが、理由は意外とシンプルで、聖地ヴァラナシでは日常的に飲むインド人(や外国人)が多くいるようです。なので、お店のラッシーワーラー的には「こっそりサービスだよ、みんなには内緒だよ(ニコッ)!」てなぐらいのノリだったのかもしれませんね。
もちろん、インド国内でも法律ではガンジャやハッシシなどの使用は禁止されていますが、もともとヒンドゥー教の瞑想法ではこれらを使用することがあったらしく、聖地では警察もスルーしているみたいです。
話を日本人男性に戻しますと、彼いわく「周期的に意識が遠のいて行き、そのときの(はっきりした)記憶はない」とのことです。彼を看病したほかの日本人に聞いたところ、「とりあえず話しかければ何かしら答えていた」ということです。結局ヴァラナシの病院に1日入院したようで、本人曰く死ぬかもと思ったらしいです。実はこの人、さらにコルカタでもインド人に騙されてクレジットカード詐欺にあっていたようで・・・。おそらく、いまは「2度とインドになんか来たくない」状態なんだろうなーと、心中お察ししました。時間が経つと「おもろい経験したな~」に変わる話でもありますが。
翌朝、宿の屋上からガンガー(ガンジス河)を見る。近くでも、遠くでも、ゆっくりとケムリがあがっています。川の流れによる横方向のゆらぎ、煙の動きによる縦方向のゆらぎ。ホコリっぽいインド特有の、ぼんやりした朝日が、縦横にゆらぐ隙間から、やわらかな光を射し込みます。なんだか、自分の頭の中や、体の中も、ゆりかごの中でゆらゆら揺られているような気持になってきました。
その後、バングの彼とガンガーへ行き、ディープという少年に出会いました。無料で近辺を案内してくれたり、ガンガーでボートをこいでくれ一緒に乗ったりしました・・・見返りをもとめるわけでもなく、すごくいい子で、旅のなかでインド人に対して生まれ始めたネガティブな固定観念を、見直させてくれました(ありがとう)。
黄金寺院もとなりの店の屋上からみたし、ちゃんとガンガーにも入って(沐浴して)みました。とりあえず来たからには入っとかなということで、我が人生史上最大の力で目を閉じ、おもいきって頭までもぐる。半分以上は自己満足のシロモノなのでしょうが、なんだか身も心もすっきりした気がしました。(ちなみにバング君は岸の上で見学。「よーやるわ~」と心の声が聞こえた気がしたのでした。)
昼からはヴァラナシ大学に向かったのですが、途中で道草してシタール奏者のお家へいったりして(迷って道を聞いたじいさんがシタール奏者のおやじやったというつながり)、おもしろおかしく過ごしました。大学でかい。美術館もでかい。夕暮れ時の(そのへんの)寺はとても美しく、来てよかったなぁとしみじみ。散歩の道中、ある日本人女子に会い、これもご縁とご飯をご一緒しましたが、少し変わった女の子でした。(個人的な偏見から)たぶんお嬢さまです。お嬢さまもヴァラナシに行きたい気持ちになることがあり、実際に現地まで来るのですね~。と、勝手な妄想を膨らませると、「さすが聖地!」とヴァラナシに対する思いもひとしおでした。
11月21日、昨日より早い時間からガンガーをのぞみ、日の出をみていました。低い位置ではぼんやりぼやけている太陽が、だんだんはっきりくっきりしていく光景は少々奇妙にも感じました。
その他、大学近くの寺院3つをセイハ。サンカト・モーチャンが最も印象的でした。そこでは、インド人の女の子がバラの花をくれました。カワイかったな、メールアドレスきいておくべきやったと後悔。
その後、駅近くにある「インドの母」とかいう意味の寺へいったら、外で遊んでいた少年らと友達になり、一緒にクリケットをしました。そしたら、その少年の兄貴と自称する男に、あやしげなシルクのお店に連れて行かれましたが、最初からそれがねらい(少年は囮?)だったのかは謎です。
さて、次はコルカタを目指します。ハウラー行きの列車を、期待を込めて待ちますが、列車はやっぱり遅れました・・・ちょっくら2時間半ほど。
ほんとにインドは、、、楽しいなぁ(せいいっぱいの強がり!)
(つづく)