見出し画像

なぜ僕達は過去の黒歴史を思い出してしまうのか?

みなさん、夜ベッドに入った瞬間、急に10年前の黒歴史が頭をよぎること、ありませんか?あの「体育館で思い切り滑った日」とか、「告白して全力でフラれたあの瞬間」とか。あれ、なんで今さら出てくるんでしょうね?

いや、本当に、何のためにこんなことが脳内で再生されるのか。そもそも、思い出したくもないのに、脳は何をしているんでしょう?今回は、そんな黒歴史リプレイ機能がなぜ起きるのか、ちょっと真面目に(でも楽しく)考えてみましょう。

デフォルトモードネットワークが暴走している!?

まず、脳には「デフォルトモードネットワーク」(DMN)というシステムが存在します。このDMN、簡単に言うと、ぼーっとしているときに勝手に動き出す「反すう機能」みたいなものです。ぼーっとしている時間、脳は休んでいるわけではなく、むしろ内側で活発に活動しています。そして、何をしているかというと、過去の出来事を再生して自己評価をしているんです。

え?「自己評価」って、そんなことしたくないのに、ですよね。でも脳は、「あのとき、こうした方がよかったかも」とか、「あの発言、失敗だったな」と反省会を始めちゃうんです。これは、生存のための進化的な機能でもあります。人間は、過去の失敗から学び、次に同じことをしないようにしてきたからこそ、ここまで進化してきたわけです。

なぜ今?サリエンスネットワークの仕業

ところで、なぜ突然、黒歴史が脳内で再生されるのか、不思議に思いませんか?その鍵を握るのが「サリエンスネットワーク」です。サリエンスネットワークは、重要な情報や感情的な出来事に注意を向ける役割を持っています。このネットワークが、「これは大事なことだ!」と判断すると、夜だろうが昼だろうが関係なく、思い出させてくるんです。

つまり、あの体育館で滑った日や、告白に失敗した瞬間は、あなたの脳が「これは忘れちゃダメだ!」と強烈に認識してしまったから、サリエンスネットワークがスイッチを入れて再生しているんですね。これ、迷惑な話ですよね。

エグゼクティブセントラルネットワークが対応しきれていない?

もう一つ、見逃せないのが「セントラルエグゼクティブネットワーク(CEN)」の存在です。CENは、タスクを実行したり、注意を制御する機能を持っています。普段なら「そんな昔のこと気にしなくていいよ」とCENがうまくブロックしてくれるはずなんですが、DMNとサリエンスネットワークが共謀して強力に「再生せよ!」と命令してしまうと、CENも対応しきれなくなるんです。

CENが「今は寝る時間だから、そんな昔のこと思い出さなくていいよ」と働いてくれるのが理想ですが、ストレスがたまっているときや、不安感が強いときは、このブロック機能がうまく働きません。その結果、黒歴史が容赦なくリプレイされるわけです。

解決策はあるの?

では、どうすればこの黒歴史再生機能を止められるのでしょうか?いくつかのヒントをお伝えします。

1. 瞑想してみる

瞑想は、CENを活性化させ、DMNの過剰な活動を抑える効果があります。深呼吸して、現在の瞬間に意識を向けることで、黒歴史リプレイを止めることができます。

2. 寝る前にポジティブなことを考える

サリエンスネットワークは、感情的に重要なことに注意を向ける性質があります。ですので、寝る前にポジティブな出来事を思い出すことで、ネガティブな思い出が浮かびにくくなります。

3. 思い出しても気にしない

黒歴史を思い出してしまったときに、「またか…」とネガティブに捉えず、「ああ、DMNが動いてるな」とメタ認知するだけでも、次第にその頻度が減ることがあります。

まとめ

どうですか?みなさんも、夜中に突然やってくる黒歴史の再生機能に、少しは理解が深まりましたか?これは私たちの脳が進化の過程で身につけた「自己反省」機能であり、生き残りのための重要なツールだったんです。ただし、現代社会では、必ずしも有効に働くとは限りません。むしろ、逆効果になることもしばしば。

とはいえ、この現象を知っておけば、少しは心が軽くなるかもしれません。「ああ、また脳が反省会を始めたな」と笑い飛ばしてみましょう。それだけで、少しは夜のリプレイが減るかもしれませんよ。


最後にひとこと。「次に黒歴史を思い出したら、深呼吸して、『もういいってば』と脳に言ってみましょう。それで少しは静かになる…かも?」



いいなと思ったら応援しよう!