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【注意喚起】アメリカで遭ったトラブルの話
2025年2月、ロサンゼルス、ラスベガス、マイアミ、ニューヨークの4都市を計2週間ほどかけて観光してきました。
各都市は3~4日と短い時間でしたが、今回の旅(アメリカ)の目的は「世界一の国のリアルを知りたい」「誰もが聞いたことのある大都市の実態をみてみたい」という点が大きかったので、個人的には満足度の高い旅行になりました。
渡航中、ロサンゼルスで1度詐欺の被害に遭い、ニューヨークで1度被害に遭いそうになりました。
これから渡航を考えている方にむけて、(こういう詐欺のパターンもあるんだ)という事例の紹介と注意喚起をしようと思います。
詐欺被害(実害):ロサンゼルスの路線バスにて
我々が取った誤った"選択"
時刻は午後の9時半過ぎ。
ロサンゼルス国際空港に着き、宿までの移動手段を模索していた。
宿は、比較的安全な地域にあるドミトリー。
友達と3ヶ月の長旅をしており、ヨーロッパの諸都市でも散々「スリに気をつけな!」と言われ続け一度も被害に遭わなかったこともあり、少し気が緩んでいた。
「UberやLyft(タクシー配車アプリ)が早くて安全だけど、宿までの片道で$50(¥7,500程度)+チップ(20%)で合計$60-65(¥10,000程度)は高いよな」と思った我々。
ChatGPTやウェブサイトの情報によると、「一部エリアは危険」「夜間の女性の一人歩きは避けましょう」とのこと。
「男2人だし、トラブルはなんとかなるだろ。宿まで1人$3.50はさすがに魅力的だし、路線バスで行こうか。」
我々はUber代をケチり、路線バスに乗ることに。
この選択をしたことで、結果的にトラブルに遭遇し大金を失う羽目になる。
実はこの時、友達の荷物が届かず(ロストバゲッジ)、空港で色々手続きをしたため1時間ほど遅れて出発をすることに。
僕が予約した宿は22時以降にチェックインをする場合、レイトチェックインとして1人$10を払う決まりがあった。
それまでは、「Uber使ってチェックイン間に合うか、路線バスでレイトチェックイン代払うか」の2択で迷っていたが、
ロスバゲにより空港出発が遅れ、Uberを利用してもチェックインに間に合わないことが確定した。
なので、(それなら少しでも安く…)と路線バスを選択することにした。
この路線バスは、ロサンゼルス全域をカバーしており、一回の乗車も$1.75と安く、まさに「住民の足」の役割を担っている。
しかし、これだけ安価にも関わらず、無賃乗車している人が後をたたないような状況。ハッキリと言ってしまえば「貧困層向けの移動手段」という位置付けなのだろう。
すなわち、バス内の治安は必然的に悪くなる。車内にゴミが平気で捨てられていたり、バス停のベンチにキマってる兄貴が座っていたり。時には乗車してきたり。
特に空港周辺はロサンゼルスの中心部から少し(20kmほど)離れていて、低所得層が住むエリアとのこと。他の地域と比較して全体的に治安も悪く、そのエリアを通るバスの治安など説明するまでもない。
それでも、乗車時はラテン系のおじさんが楽しそうに会話をしているだけで、薄暗くはあったもののそこまで治安が悪いように見えなかった。
僕たちは大荷物だったため、申し訳なさそうに最後尾の3席に着席。
バス乗車〜下車
数駅すぎた頃、若い男が乗ってきた。
他にも数席空いているが、僕たちの隣、2席空いているところに座ってきた。
"Hi, excuse me."
座る時にも一言声をかける、側からみたらいたって普通の青年。
彼はまた数駅過ぎようとした頃、おもむろに話しかけてきた。
以下、この先英語で行われたやりとりをラフな日本語に翻訳して書きます。
なお、結論から言うとこの男が今回の詐欺の犯人。
彼の名前は "Mathew J****ns"。PayPalで少額送金させられた(後述)時に出てきた名前だ。PayPalはまあまあ本人確認が厳しいと勝手に思っているので、おそらくこれは本名であるだろうと推測(一応部分的に隠しますが)。
以下、このnoteでは彼をMとし、彼の発言や行動を明確にしつつ書き進めていきます。
なお、実際のやり取りには僕自身だけでなく同行者である友達も参加していますが、便宜上、2人の発言をどちらも「僕」として扱っていきます。
M「やあ、君たち英語話せる?」
僕「うん」
M「いいね。」
彼は続けて言う。
M「Uberで家まで帰りたいんだけど、今僕のスマホじゃなぜか決済ができなくて。オンライン決済でお金を送金するから、代わりに君のスマホでUberを呼んでくれない?」
Uberは、海外で最も主流なタクシーアプリの一つで、現在地(あるいは乗車予定地)と目的地を指定することで乗車前に金額が表示され、この金額以上の請求は発生しない仕組みになっている(混雑やトラブルで下車が大幅に遅れた場合は加算される。また、チップ文化がある国では下車時に15~20%のチップを払うことが通例だが、チップ分は乗車時の金額に含まれていない)。
日本では海外ほど普及している印象はないが(日本の場合はぼったくりのリスクが低いのでマージン分を上乗せされるアプリを使うより流しのタクシーを拾った方が安くつくことが多いから?)、
海外で流しのタクシーを拾うと、メーターが搭載されてない、下車時に法外な値段を要求されるなど、様々なトラブルに巻き込まれたり、相場以上の出費になってしまう可能性が高い。
そのため海外でタクシーを利用する場合、アジアではGrab、アメリカではUberやLyftといったタクシー配車アプリを使うことが基本となっている。
このアプリだが、基本的に利用者本人がタクシーを呼ぶ。なぜなら、目的地に着いて下車する際に、配車時に画面に表示された金額と任意のチップを払うことで決済が完了するからだ。
なので、彼の主張する「代わりにUberを呼んでくれ」というのは不可能ではないが、一般的にはおかしな話なのである。ましてや今はバスの中。現在地が動いている状況で、今タクシーを呼んでくれと言われても無理がある。
しかし、ここで僕の失敗(反省点)が2点ある。
1点目は、Uber使用経験がなかったこと。
Uberに慣れていないため、彼が知っていて僕が知らない機能があるのかもしれない、と自分の無知を疑ってしまった。
その結果、彼に自分のスマホを見せながら操作をさせる羽目になってしまったのだ。
2点目は、英語が充分に流暢でなかったこと。
10年以上英語を勉強してきてはいるものの、日本の教育に染まりきっている僕はリーディングとリスニングのレベルはそれなりに向上してきているが、スピーキングのレベルがかなり低い。
彼の言っていることは理解できたし、表示されている案内を読むことはできたが、彼(ネイティブ)のスピードで反論することができなかったのだ。
対等に会話をすることができず、結果的に彼のペースに呑まれ、スマホの画面を見せてしまったのだ。
僕たちはちょうどバスを乗り換えるタイミングだったので、
僕「ここで降りるから。力になれなくてごめん!」
と去ろうとした。しかし、
M「あ、僕も降りるよ」
ついてきやがった。
撒くことができなかったので、この先もやりとりが続くことになる。
バス下車〜タクシー乗車
バスを降りてからも、やりとりが続く。
M「どこからきたの?」
僕「日本だよ」
M「日本?僕アニメ大好きなんだ!このタトゥーも日本のアニメのやつ!」
こんな調子である。
タトゥーを入れるくらいなら、おそらくアニメが好きなのは事実なんだろう。
ここで僕らは、「日本好きの陽気な男なのかな」と、ほんの少し信用し始めてしまったのである。
M「分かった、じゃあこうしよう。僕はタクシー代を払う。もちろん君たちの分も。まず目的地を僕の家にして、その後君たちの目的地にする。」
僕「そんなことできるの?どうやって払うの?」
M「君に送金するから。xx Pay(聞いたことない)やってる?」
僕「やってないよ」
M「じゃあApple Payでいいよ。僕は今ちょっと残高ないから、彼女に頼んで彼女から君のAppleアカウントに送金するよ。だからメアド教えて」
僕は(メアドから直接金銭的な被害を受けることはないだろう、まともなやつの可能性もあるしメアドくらい教えても大丈夫だろ)と思い、教えてしまう。
M「今メアドに送金したから、確認してくれる?」
「メアド宛にApple Payの残高を送金」なんて聞いたことない。
知らないアドレスからメールが来た。「$28」という画像が添付されていた。
どうみてもただの画像である。imageって書いてあるし。
おそらく彼の算段は(これでこいつは$28受け取ったと信じてくれ、タクシーを配車してくれるだろう)、こういった調子だろう。
僕はそこまでネット音痴ではないので、Apple Accountを見て
僕「送金できてないよ、これただの画像じゃない。現金で$20くれよ。持ってるって言ってたじゃん。」
と反論。彼はお茶を濁しつつ
M「おかしいな。じゃあPayPalはやってる?PayPalで送る!本当だよ。僕今は手持ちないけどネットバンクにはお金入ってるから。」
いちいち金持ってることを主張をしてきやがることが一番怪しい。
PayPalは使ったことはなかったが、運悪くたまたまアカウントだけ作ってしまっていた。
ここでもPayPalに慣れていなかったことが仇となり、
M「このrequestっていうのを押して。そしたら君から僕に請求できるから」
と丁寧に説明してきやがる。
しかし、その画面にいけど、出てくるのは
You send $xxxx(¥xxxx)
俺が送金する側だ、という画面のみ。これはPayPal側に直していただきたい事案なのかもしれないが。
彼は僕が英語が極端にできないから、このまま自分の指示にしたがって送金してくれるだろう、と考えていたのだろう。
僕「You sendって書いてあるじゃん。これ俺がお前に送るって意味じゃないの?」
M「違う違う、Requestって押したじゃん。僕が君に送るんだよ。」
僕「いや俺の画面でYou sendって書いてあるんだから俺が送る側じゃん。無理だよそれは」
M「じゃあ一回やってみよう」
僕「うーん(たしかにRequestを押しているし、俺が確実に合っていると主張することもできない)、じゃあ一旦。¥1,000ね」
見事にこちらから送金されてしまった。予想通り。
自分の英語力のせいではないことが判明して安心。安心してる場合じゃないが。
僕「ほらこっちが送ってんじゃん、返金してよ」
M「おかしいな、requestなら俺が送るはずなんだけど」
M「もう一回やってみよう。安心して、僕今現金もある。なんならこのカード、飲食店で使えるんだけど50ドルくらい入ってる。これ君たちにあげるよ」
やたら金を持っていることを主張してくる。今思えば怪しすぎる。
彼に言いくるめられ、閑静だが治安の悪そうな住宅街で何をすることもできず、彼に従ってもう一度決済の画面へ。
しかし、運良く(PayPalの使用履歴がなかったからか)カードがエラーを吐いて決済ができず。
僕「無理、決済できないよ。もう宿いきたいから悪いけど行くよ」
M「分かった、じゃあとりあえずタクシー呼ぼう。貸して、まず僕のアドレスを入れて、君の…合計$50ね、分かった。じゃあタクシーの中でどうにか$50送るから」
僕は(もうこいつのタクシー代も出すから着いたらすぐ降りてくれ)と思いながらタクシーを配車。しばらくして、タクシーが来る。
タクシー乗車〜男の下車まで
タクシーは5分もかからず到着した。
M「運転手さん、悪いね。まず僕の家に、このあとに彼らの宿に届けてくれ。」
運転手(以下:D(Driver))「了解。」
彼の家に着くまでの10分弱、さっきまでのやりとりの延長線が続く。
M「だから、requestで送れるから」
僕「こっちが送るって書いてるし無理だって」
そうこうしているうちに、Mの家(指定住所)に到着。到着後も、しばらく同じようなやり取りを繰り返し収拾がつかない。僕は痺れを切らし、
僕「現金あるんだろ?自分の距離分だけ置いて降りてよ。俺らの分は俺らで払うから」
M「だから、お金は送金するから。運転手さん、君の時間を奪ってしまってごめん、チップとして$20払うから許して!」
D「うーん。いいよ」
こうして数分また同じくだりを繰り返す。
しばらくすると、ついに運転手が痺れを切らす。
D「何なんだお前(M)。時間の無駄だ!俺も暇じゃねえんだよ。もういいから、チップ $20置いて今すぐ降りろ!俺はこの人たち(俺ら)を送り届けるから。」
M「ごめんね運転手さん、チップも込みでこいつ(俺ら)に送ったんだけど!」
D「さっき現金で払うっていっただろうが?今すぐ払えよ」
M「いや、だからこいつらに送ったから」
D「もういい、話にならん、今すぐ降りろ!」
M「分かったよ、送ってくれてありがとね」
こうして彼は下車していった。もちろん僕たちへの送金もなければ、運転手に散々渡すといっていた現金チップ$20もなんだかんだと理由をつけて払わずに。
彼は元から払うつもりはなかったのだろう。
そもそも、現金を持っているのも口座にあるってのも全部嘘だろう。
その時まだ、僕は楽観的に(彼はタクシーにタダ乗りしたかったんかな)と考えていた。
彼の下車から僕たちの目的地へ
彼が下車した後、急いで僕たちの宿に向かってくれる運転手。
僕「運転手さん、変なことに巻き込んですみません。」
D「災難だったな。あれ多分スキミングだぜ。詐欺だ。」
僕「マジですか。カードがっつり見られてしまいました。」
D「あらら、それはカード止めた方がいいね。」
僕「わかりました、アドバイスありがとうございます。」
宿に到着。
配車時に表示されていた金額は$50程度だったが、彼とのいざこざで30分ほど予定時間をすぎていたからか、表示料金が$90に。
運転手さんは何も悪くないので、勉強代だと思って大人しく支払う。
20%のチップを加え、合計$105(¥17,000)ほど払う羽目に。
僕「次から気をつけます。運転手さん、送ってくれてありがとう!」
D「本当に災難だったね。これあげるよ。LAの交通機関で使えるカード(Tap card)。中に$50くらい入っているはず。使いな!」
僕「申し訳ないし受け取れません」
D「いいんだよ。初めてのLAでこんな経験して大変だったろうし、嫌な思い出になってほしくないから!」
僕「では頂戴します、ありがとうございます」
D「気をつけてね!」
本当に良い運転手に巡り会えたと心から感謝した。
運転手さんはただ僕らのトラブルに巻き込まれただけ。僕らを救済してあげる義理など一切ない。なのに$50という大金が入ったプリペイドカードを善意でプレゼントするなど、なかなか出来ることではない。
ちなみに、LAを出るまでバスを何度か利用したが、運転手さんがくれたカードで全額賄うことができた。本当にありがとう。
一方で、Mのグルだったり、シンプルにやばい運転手にヒットしたりしていたらと思うと、背筋が凍る。
この時点で、
・本来バスで片道$3.50で行けるところ、タクシー(しかも超過料金込み)で$105に
・「試しに」と支払いをさせられたPayPal ¥1,000
の損失を被った。
宿チェックイン後
宿に着いた後、僕は速攻でカード会社に電話し、経緯を説明してカード停止の手続きを行なった。
完全に見られたカードは一枚。
ちょっと見られたかも?って思ったカードが一枚。
僕は、完全に見られたカードは速攻停止。しかし、もう一枚の方は(今後決済で使いたい)と思い、見られてない前提で停止をしなかった。
この時点で、被害額は先ほどのタクシーとPayPal分で済んで良かった、と安堵していた。
数日後
ラスベガスに移動した僕は、一通のメールを受け取る」。
ちょっと見られたかも?と思ったカード会社からだ。
「不審な決済があるので、お問い合わせください。」との記載。
心当たりしかない僕は、速攻連絡。
コールセンター(以下:C)のお姉さんに接続。
C「お伺いしたいことがいくつかありまして、2月xx日にUber Eatsを利用されましたか?」
僕「いいえ」
C「では、xx…これは通販でしょうか、購入されましたか?」
僕「いいえ」
C「では、こちらドジャー…スタジアムでのご利用は…」
僕「あ、それは私です。」
ちょっと見られていたかもしれない、と思ったカードまでしっかり悪用されていたのである。
C「それでは、カードを停止させていただきます。この取引に関しましては、補償の範囲内となります。一度(僕)様に明細が届くかと思いますが、弊社の方で確認次第処理されますので、(僕)様にお支払いいただく必要はございません。」
僕「ありがとうございます。」
なんとか補償してもらえるとのことだが、不正利用額は総額1万円ちょっと。カード会社がすぐに検知してくれたおかげで助かった。
・メインカード2枚の解約
・不正利用1万円分(補償対象)
が新たな損失に。
特に、完全に見られたカードは色々なネット決済やサブスクに登録していた超絶メインカードだったので、利用停止後の紐付け等々がめちゃくちゃ面倒くさい。
まだ旅の終盤だったからギリギリ耐えたけど、序盤で2枚もカード止められてたらと思うとゾッとする。
そして、真っ当な手段でお金を稼ぐのではなく、観光客をカモにして生きながらえているクズの生活を結果的に支援してしまったのが本当に悔しい。
別のカードや決済手段は無事だったらしく、これ以降不正利用をされることはなかった。
反省点
今回のトラブルは、もちろん相手が絶対悪なのは言うまでもないが、「トラブルをこちらから回避できたポイント」がたくさんあった。
まず、大前提として散々治安面で不安とされていたバスに乗ってしまったこと。
3ヶ月の長旅であったため、抑えられる出費は可能な限り抑えながら旅をしていた。宿は基本ドミトリーかAirbnbの最安物件。都市間の移動は基本Flixbus。市内の移動はだいたい徒歩、大荷物を運ぶ時やどうしても長距離な時だけバスやトラムを使う。タクシーは一度しか使わなかった。
おかげさまで毎日2万〜4万歩を継続的に記録し続けていた。
約2ヶ月旅してきたヨーロッパでも、「スリや悪質タクシーなどトラブルが多いから注意してね」と警告されていたものの金銭トラブルに見舞われたことは一度もなかった。
そのため、「ロサンゼルスも気をつければ大丈夫だろう」と高を括っていたのである。
バスは治安の悪いとされているエリアを通る上、夜遅い時間帯のためいっそう治安面の危険性は増す。
バスに乗るために空港から30分近く歩かなければいけないし、宿までのバスの乗車時間だけで1時間以上かかる。
一方でUberなら$50で、二人で割れば一人当たり$25かかるが、安全かつ20分ちょっとで宿まで送ってくれる。
もちろん、アメリカだけの旅行やロサンゼルスだけの旅行であればUber一択だっただろうが、これまでの出費や経験と照らし合わせてバスという悪手を選んでしまった。
時間が10分でも前後していれば、被害に遭わず最安で到着できていたかもしれないことは言うまでもない。一方で、薬物中毒者に絡まれて下手したらもっと多額、あるいは命を失っていたかもしれない。そういった意味では、今回は2万円前後の損失で済んだと考えることもできる。
何を議論しても結果論になってしまうが、空港から大人しくタクシーに乗っていればたった$50の出費で、カード停止処理などの面倒な手続きをする必要もなかったのである。今回のケースに関しては、完全に「安物買いの銭失い」そのものである。
2つ目の反省点は、スマホの画面を見せてしまったこと。
何なら、数秒ではあるが「貸して」と言われて完全に男の手に行ってしまった瞬間もあった。
その瞬間走って逃げられたりされていたら、カード会社に連絡することも遅れ、iPhone本体の価格(15万くらいで買った)も損失に入ってしまう。
諸々のリスクを考えると、少なくとも一瞬でもスマホを渡すなんて言語道断。画面を見せることも可能な限りやめた方がいい。
3つ目の反省点は、対等に議論できるほどの英語力がないのに話に応じてしまったこと。
そもそも、バスの中で「Uberやってる?タクシー呼びたいんだけど」から入ってきた時点で怪しいし、この時点で英語が全く出来ないふりをして無視をしていれば相手も諦めて別のターゲットを探しに行くなりしていただろう。
なので、もっと英語力を身につけて騙されたり言いくるめられたりしないようにする、あるいは一切英語ができない感じを出して乗り切るべきであった、と振り返って感じる。
自分にとってもかなり衝撃的な思い出だったので、2週間経った今でも鮮明に記憶しています。
今後LAや他の都市に渡航する人をはじめ、全ての人に「こういうケースもあるんだ」という注意喚起をしたいと思い、可能な限り具体的にシチュエーションややり取りを記してみた結果、長文になってしまいました。
冗長で読みづらいと思われた方には、この場で一つ謝罪をさせていただきます。
詐欺被害(未遂):ニューヨークの空港にて
ニューヨーク到着、宿へ。
こちらは未遂で終わった(逃げ切った)ので端的に。
僕はこの日、15時にマイアミ国際空港を出て18時にニューヨーク・ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)に到着する便に搭乗していました。
予定通りに到着し、荷物を受け取って18時30分くらい。
ニューヨークといえば、「夜の地下鉄が超危険!!」というイメージがありました。TwitterやInstagramで薬物中毒者が奇声を上げている様子が投稿されていたり、そういうのを見たという証言が後を絶たないですよね。
実際に、地下鉄の入口にはゲートがあるものの、無理やり入ろうと思えば入れてしまう構造。駅員は、不正入場を止めたくても絡んだらヤバい人間たちであることは一目瞭然だし、そもそも数が多すぎていちいち相手にしていられないのでしょう。警察の巡回が手薄になる夜間は、ホームレスや薬物中毒者の巣窟になっているそうです。
インターネット情報によると、「深夜0時手前くらいまでは公共交通もそれなりに安全、空いている車両は薬物中毒者が暴れている可能性があるので注意。混んでいる車両を選んで乗りましょう。混んでいる車両ではスリが横行しやすいため、十分注意しながら利用しましょう」とのことだったので、電車を乗り継いで宿を目指すことにしました。
僕の宿は、セントラル・パークという大きな公園の西側でした。
JFK空港からUberで$70-80、30分前後。
JFK→Jamaica駅(AirTrain、$8.90)→地下鉄乗換($2.90)と公共交通機関の利用で$11.80、1時間半程度。
マイアミで友達と解散し、NYは一人旅行だったため$70全額自分負担になる。さすがにイカついと思い、つい先日LAで苦い思いしたにも関わらず、僕は公共交通機関を選択しました。
結果から申し上げると、
移動そのものは往復ともに何の問題もなかったです!
また、NY滞在中に何度も地下鉄に乗ったり夜遅くに出歩いたりしましたが、危ない思いをすることはありませんでした。
23時半頃に地下鉄を利用した際は、まだ観光客やNY市民が多く乗車しており安全な印象でした。
おそらく、ネットの情報通り0時を超えたあたりからヤバいんだと思います。
空港で早速遭遇した詐欺(ぼったくり)未遂
本題に入ります。
ずばりどこで詐欺未遂に遭ったかというと、JFK空港内、 荷物を受け取り、AirTrainのホームを目指していた道中。
AirTrain(エアトレイン)は、JFK空港と近くにあるJamaica駅を結んでいる路線で、空港の各ターミナル(1~8)間も結んでいる。
公共交通機関で市内を目指す場合、運賃はたった2駅で$8.90とかなり高額ですが避けては通れない路線。
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僕はこのAirTrainに乗るために、空港の案内表示を見ながら歩を進めていた。
その途中、係員(を装った男)に声をかけられた。
二人組で、座っている男をA、立っていた男をBとする。
A「AirTrain探してる?」
僕「うん」
A「今動いてないよ。Jamaica行きたいんだろ?今(AirTrainは)ターミナル間しか動いてないから、(空港の)外に行く手段はシャトルしかないよ」
僕「マジ?シャトルは無料なの?どこから出るの?」
A「案内するよ。おいB、この人を案内してやってくれ」
B「オーケー、ついてきな」
このような調子で、僕をシャトルとやらに案内しようとしてくる。
僕は愛用するCitymapparやGoogle Map、ChatGPTに聞いて色々と調べたが、どこにも「運行していない」なんて書いていない。
そもそも、AirTrainの表示を見て歩いていく人がたくさんいた。
もし彼らの主張が本当なら、シャトルに向けて長蛇の列ができているはずだし、空港全体で「現在Jamaica行きの電車は動いていません」と大々的にアナウンスがされたり、プラカードを持った係員が誘導してくれたりするはず。
さすがに怪しいと思いつつ、もう少し聞いてみることに。
僕「シャトルって何、無料なの?どこ向かってるの?」
B「俺がドライバーのところまで案内するから」
僕「タクシー乗せようとしてるよね?僕Uber Oneの会員でUber使った方が確実に安くなるから、悪いけどタクシー乗るならUberで呼ぶわ。ありがとう」
Uber Oneの会員だとかは撒くための嘘であるが、人通りが少ないとこに行くと何されるか分からないし、周囲に人がいるうちにBを撒くことにした。
本当にAirTrainが動いていないのか確認してからUber呼ぶなりしようと思い、とりあえず表示案内にしたがってAirTrainのホームに向かってみた。
普通に動いていた。
僕はAirTrainに乗車し、無事Jamaica駅に辿り着くことができた。
この時点で、奴らが情弱を捕まえて高額タクシーに乗せる詐欺を生業にしていることが確定した。
観光客を相手に嘘の情報を伝え、自分たちのタクシーに乗せて利益を得ようとする。非常に悪質である。こういうことを平気でやってくるし、
・一見係員に見える服装をしている
・空港内にはさすがに詐欺師がいないだろう、という先入観につけ込む
ところが何とも腹立たしい。
今回は被害に遭わずに済んだが、もし下調べが十分でなかったり、NYが海外旅行の1都市目だったらついていってしまってたかもしれない。
以上が、NYで詐欺未遂に遭いかけた話でした。
おそらく、毎日数組のNY慣れしていなそうな観光客(特に話しかけられたら断りづらそうな日本人、一人で来ている人、女性や若い人)をカモにしているのでしょう。相手からすれば数撃って当たればいいわけです。
総括:〇〇な人は大体詐欺師だから関わるな!
アジア、ヨーロッパ、アメリカを旅して、大体どこの国でも(日本でも)共通している詐欺師の明らかな共通点を紹介して、このnoteを終わりたいと思います。
関わっちゃいけないヤツの共通点
ずばり、話しかけてくるヤツ です。これに尽きます。
日本でも、「居酒屋のキャッチは話しちゃいけない!」「3,000円で飲み放題と言われてついていったら氷1個1万円でした!」みたいな動画とかよくありますよね。
海外でも、基本路上で話しかけてくる人には無視をするのが基本だと思った方がいいです。
例外は、観光地で「写真撮ってもらってもいい?」って言ってくる人たち。
友達がいいカメラを持っていたので、行く先々で写真を撮ってくれと頼まれたのですが、彼らは
"Excuse me, could you take some pictures?" と聞いてくるし、スマホを差し出してくるので目的が明確なので快く応じてあげるのが一番だと思います。
また、せっかくなので、関わってはいけない人の話かけてき方をいくつか挙げておきます。
この文言で話しかけられたら警戒! パターン1
まず、圧倒的に多いのは
"Excuse me, do you speak English?"
これです。日本語にすると、「すみません、あなたは英語を話しますか?」ですよね。
これはたいてい「道を尋ねたいとき」か「何か英語ができる人に頼み事をしたいとき」に使いますよね。
しかし、冷静に考えてみてください。道を知りたい場合、明らかにアジア人で観光客の私に話しかけるより現地人っぽい人に話しかけるのが得策だと思いませんか?
このやり口で話しかけてくる人の二言目は、大体「お金を恵んでくれ」です。
ヨーロッパやアメリカは、日本とは比べ物にならないくらいホームレスや物乞いをしている人々が多いです。
今回の旅で訪れた都市のうち、ホームレスや物乞いをしている人を一人も見かけなかったのはフィンランドのロヴァニエミだけでした。おそらく、北極圏の極寒環境なので、屋外での生活が現実的でないのでしょう。
物乞いの多くは、道端でコップを置いて座っていたり、地面に額をつけていたりと、何もしてこずただそこにいるだけなので素通りで済むことが多いです。
しかし、時折アクティブな物乞いの方もいらっしゃいます。
道ゆく人に話しかけてはお金を恵んでもらおうとする。
彼らも、一言目から "Give me money" じゃ取り合ってくれないことを知っているので、"Excuse me, do you speak English?" と聞いてとりあえず会話を成立させようと試みているのです。
したがって、この文言で話しかけられた場合はとりあえず応じてあげてもいいとは思いますが、警戒はするべきです。Noといって去ってしまってもいいと思います。
お金をあげるかどうかは皆様次第ですので「あげるな!」とは言いませんが、いちいちあげていたらおそらくキリがありません。
僕は、お金を要求されたらすぐに断ることをオススメします。
ただし、日本で同様の文言で話しかけられた場合は別です。
マジで道がわからなくて英語ができる人を探している観光客だと思うので、可能であれば応じてあげる方がよろしいかと思います。
この文言で話しかけられたら警戒! パターン2
次に多いのは、
"Hey, are you looking for ~?"
です。日本語にすると、「おーい!〜探してる?」ですが
道端でこれを言ってくる人は、居酒屋のキャッチ同様に判断できるので
"No" "Not now" など、華麗にかわしていけば大丈夫だと思います。
仮に本当にそれを探していたとしても、正式な場所に紹介される可能性は低いと考えるべきです。お土産であればぼったくり価格、観光バスのチケットであれば相場の数倍、コンサートホールのチケットであれば偽物だと思って良いです。
厄介なのは、係員風の風貌をした人です。
NYの空港で一瞬騙されかけた時もそうでしたが、係員を装って詐欺をしようとする人はより悪質です。
なので、総じて「話しかけてくるヤツ」は何かあると思って警戒、時には無視をすることが無難だというわけです。
旅にはトラブルがつきもの
以上が、今回僕がアメリカで体験したトラブルの全てです。
トラブルが起こると、悲しい気持ちになるのはもちろん、不安や興奮で何となく体が落ち着かなかったり、モヤモヤしたりすると思います。
しかし、旅にはトラブルがつきものです。トラブル以上にたくさんの感動的な体験があったり、素晴らしい人との出会いがあったり、時には自分の価値観を一変させる経験をできたりするのが旅の醍醐味であり、僕が旅を続ける理由です。
世の中にはいろいろな人がいます。物乞いの人も、やりたくてやっているわけではない。自らの尊厳を捨ててまで他人からお金を恵んでもらい、今日を生きるために精一杯なのでしょう。
皆さんも皆さん自身あるいは保護者の方が一生懸命稼いで貯めたお金で旅行を楽しんでいると思いますので、見かけるたびにお金を恵んであげる義理は一切ないです。
詐欺師も、決して許せないことではありますが、彼らも家が貧しくて教育を受けることができず、定職につくためのスキルを身につけることができなかったのかもしれない。
狭く偏った知識しかもたない彼らが、彼らなりにどう生きていくかを考えた時に、真っ当に対価を得る方法を思いつかなかったのかもしれない。
そう考えると、こうやって観光客を欺いたり、人の善意につけ込んで生活をしなければならない彼らは非常にかわいそうな存在だと思います。
私たちにできることは、
自分自身が被害に遭って嫌な思いをしないように、万全な対策をして観光を楽しむこと。
万が一巧妙な手口に騙されて嫌な思いをしてしまった時は、
何らかの方法で情報共有をし、一人でも多くの人に詐欺の事例ややり口を知ってもらい、潜在的な被害者を少しでも減らすこと。
この2つに尽きると思います。
なので、僕は今回体験した嫌な思いを全てここに記録することにしました。
他にも、大使館などを通じて正式に被害報告を出す方法があるらしいので、もし被害に遭われた場合は、そういった機関に連絡することも未来の被害者を減らす有効な手段だと思います。僕も生活が落ち着いたら探して報告してみます。
また、被害が大きい場合は現地警察と日本大使館に直ちに連絡をすることが最善です。(今回僕は各都市3~4日の短期滞在であり、帰ってくるか分からない1万円ちょっとのために観光時間を潰してしまう方がもったいないと思い行きませんでしたが、本来はいくべきだと思います。)
今後、アメリカやヨーロッパに渡航する方がこのnoteを見て(気をつけよう)と思ってくれたり、
「このnoteを見ていたおかげで騙されずに済んだ」と被害を一件でも食い止められたら幸いです!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
気をつけて、楽しい旅にしてください!