
【FaB】HVY~ROSのコモナーフォーマット振り返り(後編)【Commoner】
0.はじめに
どうも、tzwです。
前回の記事で、2024年のコモナーフォーマットの変遷についてお話ししました。
新規カードだけではなく、コモンにレアリティが降格した再録カードによって大きく強化されたヒーローが存在しています。
それによってTierランクが大きく上昇したヒーローが登場しているため、今回は大会結果を見ながら上位ヒーローのデッキを見ていきましょう。
なお、このTierランクは私の主観によって作成されている事をご了承ください。みなさんのご意見をお待ちしております!
1.ロゼッタ期の優勝・上位デッキ一覧
2024.09.22 コーリングシドニー GFコモナー Chane
2024.09.29 コーリングリヨン GFコモナー Chane
2024.11.02 世界選手権大阪 GFコモナー Iyslander
2024.11.17 コーリングフローレンス GFコモナー Ira
2024.11.23 コーリングポートランド GFコモナー Chane
2024.11.24 バトルハーデンポートランド(コモナー)
優勝 :Iyslander
準優勝:Oldhim
ベスト4:Chane、Iyslander
ベスト8:Chane、Iyslander、Ira、Iyslander
2024.12.07 コーリングクアラルンプール GFコモナー Iyslander
2024.12.14 コーリングシカゴ GFコモナー Enigma
2.Tier1(Sランク)
《Chane》

ロゼッタにて大幅強化を貰い、下位TierからTier1まで駆け上がったスーパーヒーロー。ロゼッタ前まではルーン門カードが生かしにくく、むしろ血の負債のデメリットが目立つヒーローでしたが、ロゼッタで多くのルーン剣士カードを獲得しました。
それによって攻撃力が大幅に上昇しただけではなく、複数の型が開発されており、メタゲームに合わせてチューニング可能になった点が特徴です。
《Chane》ルーン門型
Chaneの効果で追放領域にルーン門持ちのカードを送り込み、アドバンテージを得ながら攻撃していくデッキタイプです。
特徴はルーン門による爆発力であり、物理・秘術ダメージの両面で相手ライフを一気に削り取っていきます。
ロゼッタで《秘術の呪詛》《デッドウッドの哀歌》を獲得したことで、ルーン陣を3枚展開しやすくなったことで成立したデッキであり、そこに《高音の響き》のような相性の良い高打点カードや、《血染めの胴衣》《ルーン封印の解放》といった装備品も追加されたことにより、アドバンテージと高打点の獲得のみならず、血の負債のデメリット軽減といった問題点の解決まで行えてしまったという奇跡のようなデッキです。


この型の欠点としては、やはり運の要素が大きく絡むという事。
ルーン門持ちのカードが全然追放領域に落ちなかったり、ルーン陣が生成できず血の負債を大量に受けてしまうなど、下振れしたときに目も当てられない事態になることをある程度覚悟する必要があります。
しかし、そのリスクを負う価値があるほどの高い攻撃力は魅力なので、是非一度使ってみて欲しいデッキです。
《Chane》ルーン剣士型(ルーン門無し)
こちらはルーン門持ちカードを採用せず、追放領域から使用できる《Seeds of Agony》や、非攻撃アクションを使用すると追放領域から使用できる《Rift Bind》などを採用し、ルーン陣を使用せずに物理で戦うデッキタイプです。


デッキの構成上、非攻撃アクションを使用する必要があるため、《Minnowism》《Come to Fight》《機敏主義》《Lead the Charge》のような汎用のカードも多用します。




ルーン門型ほどの爆発力が無い代わりに、ルーン陣の作成が必要ないため、安定性が非常に高くなっています。また血の負債によるライフロスもほとんどないため、ほぼノーリスクで《Chane》の能力を利用できるのが強みですね。最近結果を残しているデッキリストは、こちらの方が主流となっているようです。
欠点としては、ルーン剣士特有の『攻撃アクションと非攻撃アクションをバランスよく引かないと強くない』という問題は何一つ解決されていない程度でしょうか。とは言えデッキの安定性は優秀なので、大きな大会に持ち込むにはもってこいのデッキでしょう。
《Iyslander》

昔からコモナー3強の一角として活躍していたヒーロー。
魔術師の特徴として、相手のターンにも動くことで、思いがけない角度から一気にライフを詰めてくる。そのためIyslanderと戦うときは、秘術障壁持ちの装備品を3か所に装備し、ダメージを軽減しながら戦う必要があります。

しかし、それはIyslander側も承知の上。
相手の装備の守備値が低くなること、そして自分の初期ライフが少ないことを逆手に取り、物理攻撃を併用することで効率よくダメージを与えてきます。
代表的なカードが《傷には傷を》《Wounded Bull》、そして新規加入した《フェインダルの戦意》。



Iyslanderはヒーローの特性上、青ピッチのカードを多用するため、これらの重めのコストを払うことはそれほど問題にはなりません。
自分のターンは氷カードや汎用物理攻撃、相手のターンに秘術ダメージと《欠けゆく月》を振って、相手に楽をさせないように圧をかけていきます。

最近のリストの装備品は、物理ヒーローにはIronhideシリーズで高い守備力を、ミラーはNullシリーズ3か所+《魔炎の外套》で全身秘術障壁がトレンドです。
胸装備の《魔炎の外套》は秘術障壁持ち装備ですが、インスタント能力で動きをスムーズにする目的で使用するため、これが破壊されても他の3か所で秘術ダメージ3点を軽減できるようにしてるわけですね。

腕装備の《Goliath Gauntlet》はコスト3の物理攻撃を強化する目的で採用されます。物理ヒーローがNull装備で固めてきたら、これで重い一撃を食らわせてやりましょう。

3.Tier2(Aランク)
《真紅の霞、アイラ》

みんな大好きウェルカムデッキのヒーロー。
みんなここからはじまった。
ブリッツでは既にLL入りしてしまったが、コモナーではバリバリ現役。
なんのコストも必要なく、攻撃値+1を得てしまう。無から有を生み出す異色のヒーローです。
忍者と言えば続行連打による複数回攻撃ですが、コモナーでは守備力の高さが目立っています。
コモナーの装備品は守備値が存在しないものが多く、全身守備値0というヒーローも珍しくありません。
しかしアイラはTCC製のレア装備シリーズがあり、頭を除いて全て守備値1の戦傷持ちという優秀な装備を使えるのが特権です。




さらに強力な武器である《調和の小太刀》を両手に2本装備。
これをうまく使えるように、デッキの青ピッチのカードは全てコスト0で統一することが多いです。

前回の記事にあった通り、1コスト攻撃値4の続行持ちが4種類合計8枚になったことで、ロゼッタから攻撃力が非常に高くなりました。
臥虎を有効利用できる《飛びかかる氣》も入り、ブレークポイントを超えた攻撃を複数回続けられるため、ダメージ効率が非常に良いデッキです。





一方で守備の面も安定しており、青ピッチのカードに守備値3のカードが多く、《群青に沈む》《予見された宿命》《オアシスでの休憩》のような防御札も多く採用できるのがアイラの強みです。
総じて、攻撃も防御もバランスが良いハイスタンダードなデッキなのですが、特別得意な対面もないという、特徴が無いのが特徴と言ったデッキ。
ただ全体的にカードパワーが高いカードで構成されているため、下位Tierのデッキに対しては非常に強い反面、《Chane》や《Iyslander》のような尖った強みを持つデッキには苦戦を強いられることも多い印象。メタに合わせたチューニングやプレイスキルが求められる、非常に実力の出るデッキだと思っています。
《オールディム》

守護者クラスらしく、高打点と高い守備力を兼ね備えたヒーロー。
最大の特徴は非常に守備値の高いレア装備品を全て使用できる点にあるでしょう。コモナーの環境にて合計装備守備値15は例外中の例外であり、事実上初期ライフ35と大変なことになっています。





デッキの半分が青ピッチのカードで構成されており、秘術障壁が使いやすい点がポイント。そのため高いコストも払いやすくなっており、武器の選択肢は定番の《巨人の鉄槌》に加え、《アンヴィルヘイムの大槌》も採用されています。盾を使用しないなら《大槌》で重い一発を狙いましょう。


そして守護者といえば、《殴打》を強く使えるもの強みですね。
コモナー環境において数少ないまともな攻撃リアクションカードであり、ピッチに2リソースを残し、これをちらつかせながら攻撃するだけでも非常に圧があります。赤だけではなく、黄や青も採用するリストも存在しているため、このカードが好きな方は《オールディム》を握ってみてはいかがでしょうか。

メタゲームとしては、上位Tierにいる《Iyslander》《アイラ》に対して強く出られるのですが、環境トップメタである《Chane》が非常に辛いのが大問題。
守護者の特徴である高耐久の装備は非常に強力である反面、デメリットとして対戦相手にメリットを与えてしまうのですが、それがことごとく《Chane》にとって非常に噛み合ってしまう。
続行付与、攻撃上昇、リソース獲得、ドローと、どれも《Chane》の火力を大きく上げてしまう要員となるため、せっかくの高耐久もあっさり突破されてしまいます。
さらにルーン門によるコスト踏み倒しの存在もあり、《凍傷》トークンがあまり刺さりにくいというのも問題ですね。Chaneの存在が無ければオールディムはかなり良い立ち位置になれるところなのですが…。
4.おわりに
今回は上位の4デッキをご紹介しました。
これ以外にも優勝経験のある《エニグマ》や、隠密カードが増えたことで安定感が上昇した《Arakni, Solitary Confinement》など、上位Tierが狙えるヒーローはまだまだ存在しています。
コモナーを擦る人が他の競技フォーマットより明らかに少ないため、まだまだ研究のし甲斐があるフォーマットだと思います。
皆さんも興味があれば、好きなヒーローを研究してみてはいかがでしょうか。
今月末には新セットも発売するので、新環境から始めてみるのもいいかもしれませんね。
それでは、何処かのコモナー卓でお会いしましょう。
この記事を執筆するに際し、北海道石狩市のカードショップGENKEN様並びに常連さんのご協力を頂きました。
カードショップGENKENは北海道のFaB取扱店です。随時初心者講習を行っており、ショップオリジナルのコモナー構築済みデッキも販売しています。
FaBを始めてみたいと思っている北海道民は、是非一度行ってみてはいかがでしょうか。
カードショップGENKEN
住所:北海道石狩市花川南1条3丁目213番地1階右側
営業時間:平日17~22時 土日祝13~22時
定休日:水曜日