楽しい影霊衣のなかまたち
新規が、来る
来ます。来るのです。
先日のVジャンプニュースにおいて、ジェムナイトの新規カード発表と共に
ターミナルワールド2のパッケ―ジ画像が発表となりました。
https://yu-gi-oh.jp/news_detail.php?page=details&id=2073
大魔導士(アバンス)と舞姫(エミリア)、そして見切れていてやや分かりづらいのですが、大魔導士が手にしているであろう杖の先に、見覚えのある
影霊衣の紋章がうかがえます。
これに気付いた瞬間、あまりにもテンションが上がってしまったので、
来月の情報発表前に「影霊衣がどんなテーマなのか、どういったカードがありどういった部分が強いのか」を、自分の頭の整理を兼ねて記しておくことにしました。
①はじめに
・儀式デッキの抱えている構造上の問題
影霊衣は儀式召喚をメインギミックに据えたテーマです。
儀式召喚はその性質上、まっとうに行うには
①儀式モンスターを召喚するための儀式魔法
②場に出すための儀式モンスター
③儀式召喚のリリース要員
と、3枚のカードが必要になります。
このうち、①と②は上記の3種類がすべてが揃うことで初めてアクティブになり、単体では仕事ができないことが普通です。
③についても高レベルの儀式を行うにはその儀式モンスターのレベルに合わせて高レベルのモンスターを用意する必要があるため、①②と同時に持っていないと結局手札でだぶつく可能性が高まります。
儀式デッキとは、いわば小規模なエクゾディアを複数の組み合わせ行うことを強いられているデッキであり、その事故率はほかの召喚方法とは比べ物になりません。
儀式にはカテゴリを問わない汎用のサポートが数多くありますが、それはKONAMIからも「こうしたサポートがない限りまともに回らない」と判断されているということでしょう。
・テーマの特徴
さて、翻って影霊衣というテーマではどういった動きで儀式を成立させていくのかを見ていきます。まずはこのデッキにおいて最も使用頻度が高いであろう儀式モンスター、ブリューナクの影霊衣のテキストを以下に記載します。
②の効果は儀式召喚が通った後にフィールドで発動する効果のためいったん置いておきまして、
①の効果に注目すると
手札にある状態の自身をコストとして捨てることで、別の影霊衣モンスターをサーチする効果です。
つまり、このカードは儀式の条件がそろっていない状態でも最低限、別のモンスターを手札に引っ張ってくるという仕事を果たせるカードということになります。
最近の環境デッキで言うなら、粛声に入っている古聖戴サウラヴィスと同様のデザインです。
影霊衣というテーマの最大の強みが、この盤面に出た後の効果と手札から使える2つの効果を持つことであり、既存の儀式モンスターと比べて腐るシチュエーションを少なくできることです。
この手のカードにありがちな「同一ターン上でいずれか1つしか使用できない」といった縛りもないため、2つ分の効果を駆使しつつ、儀式召喚をできるようにハンドを整えながら戦っていくのが影霊衣の基本的な戦法です。
②カード紹介
上記を踏まえて、テーマ内のカードの紹介をしていきたいと思います。
フレーバーとしては、影霊衣はいわゆるデュエルターミナルテーマの一つであり、過去に活躍した他のDT産のモンスターを模した鎧を身にまとって戦う一族です。
それぞれ、効果モンスターが実際に儀式を行う術士や巫女たち、
儀式モンスターが、鎧をまとった姿という形で分かれています。
・効果モンスター編
影霊衣下級の中で一番重要なモンスターです。
粛清の祈り手ローのような、1枚で儀式のに必要なレベルを全て満たせる効果と、効果でリリースされたときに戦士族の影霊衣儀式モンスターをサーチできる効果を持っています。
後述しますが、一部の影霊衣儀式モンスターは効果外テキストで「同名カードを儀式召喚の素材にできない」「同レベルモンスターを儀式召喚の素材にできない」という、儀式モンスターとしてはかなり重めの制約を課されており、
儀式魔法のほうは「レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるようにモンスターをリリースする」という、これまた融通の利かないテキストになっています。
つまり、例えばレベル9のモンスターを儀式召喚する場合は6+3のように複数枚のリリース要員が必要とされ、ただでさえ消費の荒い儀式召喚のコストがさらに嵩むわけです。
そうした影霊衣儀式のレベル調整の煩雑さを解消し、なおかつ
リリースされた場合は後続の儀式モンスターをサーチできるこのカードは
影霊衣デッキの循環の中核を成すモンスターといえます。
サーチできる範囲とステータスも優秀で、実質すべてのテーマ内カードにアクセスできるブリューナクの属する戦士族をサーチ可能なほか、
クラウソラスと合わせてレベル4以下の戦士族のため増援でデッキ内の枚数を水増しが可能です。
また、「1枚で儀式召喚に必要なすべてのレベルを満たす」効果については
墓地にある状態でも適用されます。
影霊衣を扱ううえで非常に重要な情報のため、しっかり覚えておきましょう。
難点としては良くも悪くも儀式のリリースになることに特化した性能で、
このカードを召喚することで1枚から初動になれる……といった性能ではありません。
2~3枚程度の採用になるかと思います
シュリットと同じくリリースされたときに影霊衣儀式モンスターのサーチが可能で、こちらは魔法使い族が対象となります。
シュリット→ブリューナクを経由して影霊衣は全てサーチ可能とはいえ、それぞれのサーチ効果にはターン1の制限があり、こうして別ルートのサーチがあることで柔軟に動くことができます。
ただし、シュリットと違いレベルの調整効果がないため、儀式のリリースとして賄う場合はリリース要員の制限がないレベル4儀式に使うか、その他リリース要員と混ぜて複数でレベルを満たす必要があります。
要求値が高くなりがちなことと、レベル4儀式を儀式召喚するにあたってはより強力な動きが存在するため優先度はどうしても下がりがちです。
除外時の墓地送り効果はモンスターのみ対象のため、直接的な動き出しには現状関与しません。リリース要員か儀式召喚用の儀式モンスターを墓地に貯める用途での使用になるでしょう。
リリースされたときの効果は除外ゾーンからの回収で、主にロングゲームにおいて使用することになりますが、大魔導士と同じくリリースを積極的に狙うにはレベル調整の要求値が高くなりがちです。
どちらかといえば場に出た時の儀式魔法にチェーンを許さなくなる効果と対象耐性付与のほうが、現在ではバリューが高いかもしれません。
ただし、影霊衣においても通常召喚権は宣告者の神巫に割くことが多く
自己特殊召喚効果を持たないこのカードを盤面に送り出すには工夫が必要で、
影霊衣が儀式以外のモンスターを展開する手段が乏しいのも相まって
活用できる試合はかなり上振れ寄りです。
打点が下級では一番高いのが地味に偉く、後述のディサイシブの影霊衣と合わせて高打点システムモンスターを殴り倒せたりします。
唯一のサイキック族です。
レベル3だと緊急テレポートの対象だったのでそのへんが惜しいところです。
影霊衣の非儀式はどうしても組み合わせによっての働きになることが多く、
仕事が複数ある儀式モンスターと比べてほしいタイミングが限定的なことが多く、どうしてもコンボ寄りの使い方になりがちです。
アラドヴァルの手札効果とは相性が良く、組み合わせることで儀式魔法とリリース要員両方にアクセスし儀式召喚の準備が整います。
影霊衣のマッシブ担当です。
氷結界の霜精の成長した姿なのだとか。
性能面の話をするとレベル5というステータスがとにかく既存の影霊衣とかみ合わせが悪く、リリース要員としてレベルの調整がしにくいため使いづらいです。
サーチ範囲のドラゴン族影霊衣についてもパワーは貧弱で、
戦士のブリューナクや魔法使いのユニコールと比べて安定したパフォーマンスを持つサーチ先がいないのが実情になります。
また、除外されたときの蘇生効果は一見強力に見えますが、影霊衣儀式モンスターは全て「儀式召喚でしか特殊召喚できない」というテキストがあるため、このカードで蘇生できるのは必然的に効果モンスターだけであり、
リリースされることが役割のカードをわざわざ盤面に呼び出さずとも、手札に回収するだけで十分なことが多いです。
現状採用は厳しいカードと言わざるを得ません。
セフィラ名称を併せ持つ影霊衣Pモンスター2体のうち1体です。
影霊衣でスケールとして運用することはないため、純粋に効果とステータスで評価することになりますが、
フィールドから自身の効果や儀式素材としてリリースした場合は墓地に行かないため、墓地から回収やリリース要員として除外することができない点は注意が必要です。
効果は儀式魔法を使わずに儀式召喚を行う起動効果であり、発動時に自身をリリースするので自身を儀式のコストとしては利用できません。
影霊衣儀式魔法と違いリリースを手札・盤面以外から捻出や墓地からの儀式召喚もできないのでカードの損失が荒くなる他、このカードに召喚権も割く必要があり基本的には採用する理由はないのですが、
魔封じやナチュルビーストのような魔法メタをすり抜けることができるので、そういったカードが流行している場合は採用を検討してもいいかもしれません。
セフィラ名称を併せ持つ影霊衣Pモンスター2体のうち、残りの1体です。
影霊衣唯一の炎属性モンスターとなります。
上記のセフィラセイバーに輪をかけて使いづらく、影霊衣には自分の場を能動的に破壊するギミックがグングニールしか存在しないため、破壊をトリガーとした自己特殊召喚効果を活用することも難しいです。
そもそも、今となっては出た後特に効果も持たない2,000打点をあえて出す理由も思いつかないので、活用できたからといってどうということもないのですが……
よほどのことがない限り採用は考慮しないカードかと思います。
・儀式モンスター編
前述の通り、全てのモンスターが自身をコストとして捨てることで発動する効果とフィールドに出た後で発動する2つの効果を持ち、サーチやサルベージなど手札を整える効果を内包しているため、
儀式デッキでありがちな手札が青く染まると動けないのでデッキ内の儀式モンスターを絞る必要がある。といったセオリーがこのデッキに関してはあてはまりません。
自身を捨てることで墓地にリソースが溜まっていくため、手札の質を高めながら公開領域にカードを引っ張り出して行き、
状況に合わせた儀式モンスターを降臨させることが可能です。
その代償として召喚方法には重めの制限があり、
レベル3~11までのモンスターが存在し、儀式召喚の際に5~6は「同名カードをリリースに使用できない」7以上には「同じレベルのモンスターをリリースに使用できない」という一文が存在します。
後述のテーマ儀式魔法の「レベルが同じになるようにモンスターをリリースしなければならない」という制限と合わせて、シュリットを使用しない限り高レベルモンスターの儀式には2枚以上のリリース要員が必要なデザインというわけです。(ただし、このあたりの制限はあくまでもまともに儀式をするならという前提であり、テーマ内の脱法儀式魔法でリリースの軽減をしていく形になります)
また、フィールドで発揮する効果も強力なものの、
効果を及ぼす範囲が「EXデッキから特殊召喚されたモンスター」に限定されるものが多く、戦うデッキによってはかなりパフォーマンスに差が出ます。
影霊衣儀式モンスターの万能サーチ効果のうち、魔法罠に対応する1枚です。
このカードから状況に合わせた3種の儀式魔法を手札に持ってこれるのがとにかく強力で、儀式デッキのパーツ集めを劇的に安定させてくれます。
リリース要員としてもレベル3というステータスが優秀であり、このカード2枚でレベル6、ブリューナクと合わせてレベル9、ユニコールと合わせてレベル7と、レベル調整が重要な影霊衣の儀式において潤滑油的働きをこなすほか、ブリューナク、増援や下準備などこのカード自身をサーチするカードも豊富です。
フィールドに出た後の効果はよくある対象無効ですが
おまけの打点0化と自身の守備力2,300が噛み合い、なかなかの強固さを見せます。儀式魔神リリーサーが現役のころは、このカードとのコンボで1枚で完封しかねない制圧力がありました。
採用枚数としては、影霊衣儀式魔法は最初の1枚にタッチできれば後は芋づる式にサーチが効くのと、ユニコールでの回収も容易なことから
2枚程度の採用がいいかと思います。
このデッキでおそらく一番儀式召喚することになるであろうモンスターです。
墓地のあらゆる影霊衣カードを回収できる効果は
捨てることで墓地に溜まっていく他の影霊衣モンスターとの噛み合いが良く、使い終わって墓地に落ちたモンスターや儀式魔法を拾ってそのまま儀式召喚へつなげたり、シュリットを拾ってリリース時のサーチを再利用したりと、あらゆる点で小回りが利きます。
ただし、このカードの真価は後述の万華鏡とのインチキコンボにあり、
レベル4というステータスから虹光の宣告者や旧神ヌトスを墓地に落としながらの儀式召喚でアドバンテージを稼ぎまくる動きがとんでもなく強力です。
リリースの際のレベル調整でも4という数字はありがたく、
レベルが3の倍数に偏りがちな影霊衣デッキにおいて7や10を無理なく作ることができます。
盤面に出た後の効果はEXデッキから出たモンスター専用のスキルドレインのようなもので、対面のデッキによってはこれ1枚だけでギミックをすべて否定しかねないパワーを持っています。
チェーンブロックを作らない永続効果なので、相手の厄介な耐性を無視しながら万華鏡で落としたヌトスで盤面を掃除するなど、捲りにも寄与してくれます。
打点が2,300と心もとない点や、耐性を持たない点がネックですが、他の影霊衣儀式を駆使して盤面に維持することができれば、勝利がグッと近づきます。
手札と盤面両方でバリューが高く
万華鏡とのコンボを積極的に狙いたいので個人的には3枚採用したいカードです。
エグザでも触れましたが、影霊衣といまいち噛み合わせの悪いレベルと蘇生効果をそのまま引き継いでおり、どうしても使いづらい場面が目立ちます。
そもそもレベル5の儀式という点が影霊衣の儀式召喚で非常に出しづらく、
同名カードをリリースとして使用できない縛りもあるため、
レベル2以下のモンスターが存在しない影霊衣においては、シュリット以外で出そうとした場合、必然的にパワーの低いエグザかセフィラエグザを採用する必要があります。
万華鏡でレベル5のモンスターをEXデッキに採用する手もありますが、ヌトス虹光を擁するレベル4や、ガルーラや馬龍を落とせるレベル6と比べてレベル5には墓地に落ちて仕事のできるカードが少なく、出た後の効果も戦闘を介した破壊なので、手間に見合っているとは言い難いです。
とはいえ蘇生効果が微妙なのは、あくまで現状の非儀式影霊衣に盤面に出た後のバリューが高いモンスターがいないからであり、新規次第ではサーチの容易さから採用の目はあると考えています。
影霊衣の象徴といえる代表的なカードです。
クラウソラスとともにテーマ内の万能サーチのモンスターの方を担当しており、魔法罠をサーチできるクラウソラス自身をこのカードでサーチできるので実質的にあらゆる影霊衣にこのカードからアクセスができます。
また、レベル6・戦士族・儀式モンスターというステータスから
儀式の準備
シュリット
虹光の宣告者
マンジュゴッド
魔神儀タリスマンドラ
etc
これらの豊富なサーチに対応しているため、実質的なデッキ搭載枚数を4枚以上に引き上げることが可能です。
こうしたアクセスの良さが影霊衣の儀式らしからぬ安定性に寄与しており、
文句なく3枚搭載が必須の性能と言えます。
半面、場に出た後の効果はEXデッキから出たモンスターを2枚までバウンスと、アドバンテージだけ見れば強力なものの範囲が狭く、
起動効果で妨害にもならず、同名カードをリリースに使用できない制限もあり、このカード自身を儀式召喚する優先度は高くありません。
万華鏡でガルーラを落としたり、虹光の宣告者込みでレベル6になった神巫や弁天をリリースして効果を誘発させるなど、儀式召喚行為自体にバリューを求めたいところです。
手札から捨てることでターン中場の影霊衣に戦闘・効果破壊耐性を与えます。
一度発動してしまえばそのターンの間は破壊耐性が持続するのがありがたく、フィールドでの拘束力の高さの反面、ステータスが貧弱なユニコールの維持に貢献してくれます。戦闘破壊耐性付与でライフも守りやすいのも、盤面にモンスターを並べづらい影霊衣には嬉しいところです。
フィールドでの破壊効果もシンプルながら使いやすく、フリーチェーンで魔法罠に触れるのが強力です。
ハンドコストには影霊衣を指定しているため、このカードを送り出すときには調子に乗って手札のリソースを使い切らないよう注意しましょう。
このカードのレベル帯からリリースに同レベルが使用できない制限が付き、シュリットが絡まない場合はクラウソラス+ユニコールなど、複数の組み合わせでリリースを賄う必要があります。
このカード自体もリリース要員としては使いづらいレベルのため、
1枚採用していれば十分かと思います。
手札から捨てる+墓地の影霊衣をコストとして除外で
バトルフェイズを終了する効果と
フィールドに出た後は手札・場からモンスターを2体までリリースして、その分ドローを行う効果を持っています。
グングニールの紹介でも述べた通り、影霊衣は横にモンスターを並べるのが苦手で、1体モンスターを処理されるとがら空きの盤面から相手の総攻撃を受けがちです。
効果自体はアドバンテージをとるわけではない上、墓地コストも気にならないとは言えませんが、その分未公開領域から不意にリーサルを止める効果は対応しづらく、返しのターンのワンチャンスにつなげることができます。
盤面でのドロー効果は、
リリースされたときの効果を持つもののレベルが合わずに儀式で使用するにはひと手間かかる、シュリット以外の下級影霊衣の効果を誘発させるのに役立ち、テーマ外のモンスターも使用できるので弁天等も問題なく併用できます。
また、リリースに自身を含められるのもポイントで、盤面を能動的に空けることで墓地の影霊衣儀式のサーチ効果をアクティブにできます。
惜しむらくは限定的なコンボ前提の性能に対し、レベル調整の手間が大きいことで、同レベルが使用できない都合上ユニコール×2など
かなり重めの要求値を求められます。
万華鏡でルルワリリスを落としてユニコールと一緒に儀式召喚を行う手もありますが、ヌトスや虹光を落とす選択肢より優先される場面は少ないでしょう。
最終兵器です。
今までの他儀式モンスター多かれ少なかれ名称の元ネタであるDTシンクロモンスターの効果を影霊衣ナイズした効果で登場していたわけですが、
このトリシューラの影霊衣においては氷結界の龍トリシューラとほぼ同様の召喚時効果、すなわち手札・墓地・フィールドの三面除外を実現しています。
対象を取らないことも元ネタの通りであり、非常に質の高い除去を飛ばしたうえで公開領域と非公開領域のリソースにも触れることで反撃の芽を摘むことが可能です。
他の影霊衣と同様ブリューナクでサーチ可能なほか、
シュリットのサーチに対応する戦士族であること。
ブリューナク→クラウソラス→降魔鏡とサーチを回すだけで墓地にたまったレベル6+3で儀式召喚の準備が整い、デザイナーズコンボの美しさを感じます。
元ネタが盤面に3体のモンスターを要求するのに対し、こちらはフィールド外から不意打ちのように出てくるのも強さに拍車をかけており、登場から10年たった今でも、影霊衣のエースとして恥じない性能を誇っています。
ただし注意事項として、名称ターン1の制限と
元ネタと違い相手の手札、フィールド、墓地それぞれにカードがなければ発動できず、発動後も各領域から除外できるカードがなくなった場合は不発になることは覚えておく必要があります。
手札から対象耐性を与える効果は影霊衣限定のサウラヴィスといった趣で、盤面での効果に比べると地味ですが
ユニコールへの泡等安易な解決をケアし、何よりトリシューラ自身への無効を2枚目のトリシューラで守ることが可能です。
基本的には1枚を使いまわせば事足りますが、対象無効が流行っている場合は複数枚採用もありだと思います。
影霊衣レベル10のうちやや使いづらい方です。
フィールドでの効果はセットカードへの対象をとった除外で
悪くはないのですが、トリシューラの除去に比べるとかなり見劣りします。
攻撃力は3,300あり、盤面に送り出せる影霊衣としてはアラドヴァルと並んで最高打点で、3,000のラインを超えている点は優秀です。
とはいえ、このカードはもっぱら手札から捨てて発動する効果の方がメインであり、影霊衣限定の1,000バンプアップでユニコール等の貧弱なモンスターの場持ちを良くする、戦闘破壊の手助けを行う用途で採用されます。
令和の環境で小規模なオネストが通用するかはかなり怪しいのですが
影霊衣は盤面に積極的に送り出したいユニコールやトリシューラの打点がやや心もとなく、除去の通りが悪い相手に対してはこちらかアラドヴァルがないと押し切られる場合があります。
総じて、絵柄のダイナミックさに比べて両方の効果がいまいち地味であり
優先度としてはもう一体のレベル10であるアラドヴァルに軍配が上がりがちです。
影霊衣レベル10のうち、無難に強い方です。
フィールドでの無効効果は影霊衣待望の無効効果であり
破壊ではなく除外になるのが優秀です。
打点もディサイシブと同じ3,300あり、戦闘面でも頼れるカードです。
ただし、効果無効の際に求められるリリースが「コスト」としての判定であり、「効果で」リリースされたときに効果の誘発する他の影霊衣カードとコンボが成立しません。
このモンスターだけで盤面をコントロールしようとしてもリソースが続かずに息切れは必至なので、ほかのデッキの無効妨害以上にマストカウンターは見極めましょう。最悪、自身をリリースしても効果が発動できるので、それも考慮しながらプレイしましょう。
手札からの効果は、自身を捨てた後に追加でモンスターをリリースし
その数まで影霊衣カードをデッキから墓地に送れます。
テキストだけでみると消費が荒いのですが
こちらは効果でのリリースにあたるため他の影霊衣カードと問題なくコンボ可能で、うらら等の無効をもらった場合もリリース自体が発生しないためにアドバンテージを過度に失うこともなく、
大魔導士の墓地送りと異なり、儀式魔法を送れるのでそのまま墓地効果からサーチを起動できます。
儀式召喚されたときに発動する非常に強力な除去効果を持ちますが
制約から現状の影霊衣で儀式召喚することは現実的ではなく
基本的には手札からの誘発即時効果を使用します。
メインフェイズ1限定とはいえ、アーティファクトデスサイズが先攻1ターン目に飛んでくるのは言うまでもなく超強力で、
発動が通ればあらゆるデッキに対してのターンスキップになりえます。
1ターン目以降の発動でも、EXデッキに依存したデッキの多い現代では展開を抑制することでライフをほぼ確実に守り切ることができ、返しのターンでの捲りやETEDなどで大きな働きを見せてくれます。
追加の手札コストは魔法に限定されていますが
儀式魔法の墓地効果でこのカードともに除外して後続カードをサーチすれば無駄がありません。
とはいえ、発動に2枚要求自体は重く、盤面にほぼ出せずレベルから儀式のリリース要員にも使いづらいこのカードを複数枚採用するのはリスクが高いです。
墓穴をもらった時のダメージも大きいため、メインから採用するカードではないように思っています。
また、影霊衣唯一の光属性のため霊王の波動と併用する場合は注意が必要です。
魔法・罠編
便宜上魔法・罠と書いていますが
現状は儀式魔法のみが存在し、その他の魔法や罠カードは存在しません。
儀式魔法は共通の制約として「レベルちょうどになるように儀式召喚のリリースを行う」必要があり、儀式モンスター側の制約と合わせて
レベル調整を常に気にしながらデッキを回していかなくてはなりません。
ただし、3種類の儀式魔法はそれぞれ手札以外の場所からリリース要員や儀式モンスターを調達できるユニークな効果を内蔵しており、
墓地におちた時の効果で自身と他の影霊衣カードを除外して相互にサーチが可能です。大魔道士等の除外時効果を誘発しつつ、儀式テーマらしからぬ連続召喚を行えます。
インチキ儀式魔法その1です。
リリース要員を墓地からの除外で肩代わりできる効果を持っています。
前述の通り、影霊衣は上級モンスターを儀式召喚する場合はレベルの組み合わせを考えたうえで、複数枚のリリース要員を要求するデザインですが、
この重めのコストについても
デッキを回す過程で墓地に勝手に移動するブリューナクやクラウソラスで賄うことができ、劇的に軽減ができます。
6+3=9でトリシューラや6+4=10でアラドヴァルなど、様々なレベルの儀式召喚に対応できるため墓地が肥えている中盤から後半にかけてバリューを発揮するカードです。
また、シュリットの「リリースに必要なレベルを1体で満たす効果」は手札・フィールドのみならず墓地にいる状態でも適用されるため、
通常の儀式で使用した後、墓地のシュリットを除外して儀式を行うことも可能です。(ただし、墓地から儀式の素材として除外した場合は、当然リリースされた時の効果は使用できません。大魔導士の②の効果などは発揮します)
インチキ儀式魔法その2です。降魔鏡とは一転、リリース要員を(なぜか)EXデッキから墓地に送ることで代替する効果を持っています。
天底の使徒や宣告者の神巫など、EXデッキから墓地にカードを送るギミックは、カードプールの増加に伴い年々強力になっています。
このカードにおいては儀式召喚を行う行為にそうしたメリットを追加できる点が非常に強力で、特に前述したユニコールの影霊衣とのコンボは虹光、ヌトスの2枚から状況に合わせてカードを落とせるため、EXデッキモンスター限定のスキルドレインを内蔵するカードが実質神巫と同様の効果を持つという破格の存在に化けます。
ブリューナクを儀式召喚する場合に共命の翼ガルーラや金雲獣‐馬龍を落としてもいいでしょう。
儀式のために落とせるカードは1枚のみのため、グングニール以上のレベルを持つモンスターは同レベル制限に引っかかって儀式召喚できないようにも見えますが、このカードはなぜか「一度に儀式召喚できる儀式モンスターの数には制限がない」ため、赫聖の妖騎士(レベル12)を落としてトリシューラとクラウソラス(3+9)を同時に儀式召喚することができます。手札消費は荒くなりますが、堅実にアドを稼ぐのと同時に手札に貯めこんだ儀式モンスターを一気に展開することも可能な、影霊衣を象徴する儀式魔法です。
インチキ魔法その3。
今までの儀式魔法と異なり、リリース要員でなく墓地の儀式モンスターを儀式召喚できるカードです。
ブリューナクやクラウソラスがサーチの過程で墓地にたまるのは上記で説明したとおりですが、こちらのカードでそれらのカードを手札にあるかのように儀式召喚が行えます。
影霊衣の最初動においては、即降魔鏡で儀式をするよりも、シュリットをリリースして儀式を行ったうえで、墓地に行ったシュリットを降魔鏡で儀式の素材にする方がうまみが強く、
ブリューナク自身がシュリットをサーチしながらこのカードでシュリットをリリースできるようになるため、墓地にリソースを潤沢にため込むことができます。
もちろん、儀式召喚以外で特殊召喚ができない影霊衣モンスターたちの蘇生カードとしても働き、トリシューラを再召喚できる経路がユニコール以外にもあることで柔軟に動くことができます。
テーマ外カード
儀式はそもそもテーマを飛び越えた「儀式召喚」そのものへのサポートが手厚く、影霊衣もその恩恵を最大限受けることができます。
万能サーチです。
このデッキにおいては最重要カードのブリューナクに触れる性能をしていることもあり、合わせて6枚ブリューナクを搭載できる点が非常に強力です。
影霊衣はこの儀式の準備を「最も強く使えるデッキ」と言って間違いなく、
ターン1制限がない上に、状況に応じてブリューナクやクラウソラスを経由して様々なカードに変化するので、八面六臂の活躍を見せてくれます。
儀式魔法のサルベージもリソースとして強いのですが、
3種類の儀式魔法にはそれぞれターン1があるため、既に使用した儀式魔法を拾って動けなくなるという展開は避けましょう。
儀式お楽しみ天使族トリオです。
影霊衣は現状通常召喚権を使用することでアドバンテージを得る効果を持つカードがいないため、特にこだわりがなければ初動として採用するのが望ましいです。
万華鏡+ユニコールセットと落とすモンスターを共有できるほか
虹光を落とした神巫がレベル6になる点が噛み合っており、
ブリューナク→クラウソラス→反魂術とサーチすることで
そのまま墓地のブリューナクを儀式召喚しつつ、神巫のリリース時の効果を起動できます。
ただし、現状このカード以外のレベル2以下の天使族に影霊衣と噛み合うカードはいないため、このギミックは純粋にリンク値やシンクロ召喚に利用することになります。
トリアスヒエラルキアとのコンボも影霊衣ではリリース要員としては使いづらく、粛声ほどの爆発力は望めません
こちらもおなじみの天底セットです
神巫では対象外のガルーラや馬龍などを落とせ、EXデッキからのSS制限も、多彩な能力を持つ影霊衣儀式モンスターのパワーでごまかすことができます。ただし、素引きしてしまったときは他の儀式デッキ以上に始末に困る羽目になり、採用最有力候補の大神祇官はレベルが合わずに儀式で墓地に送ることが難しいです。
また、月女神の鏃が流行っている昨今、相手のEXデッキから不意にメレオロジックをもらわないよう注意しましょう。
天底と同様の強烈なデメリットを持つものの、
展開力と手数ややに難のある影霊衣の弱点を補ってくれるカード群です。
特に、影霊衣以外のアクセスから祝誕で儀式魔法を+1できるのはありがたく、こちらで儀式を行う分にはレベル調整の必要もないので
出すのが難しいsophiaの儀式召喚を狙うこともできます。
難点としてはデッキスロットを多くとることで、ギミックが太くなる分汎用カードは採用しづらくなります。
③強い点
デッキ内のサーチカードの豊富さによる安定性の高さと墓地リソースの豊富さ
影霊衣はそのデッキ内のほとんどがブリューナクを経由してサーチしあえる関係性にあり、前述の通りその過程で墓地にたまったリソースを活用することで儀式らしからぬ安定性と持久力を持っています。
ワンショットキルを阻害する効果もテーマ内にそろっており、1ターン生きながらえることで返しのターンにまくり返す……といった動きが得意です。
盤面に依存しない展開
実際に動かしてみるとわかるのですが
影霊衣はその性質上、儀式を行うにあたりカードが溜まっていく箇所が手札と墓地に集中しており、盤面でなにがしかのアクションが成立するのは最後に儀式召喚を行った後になります。
ロー通常召喚から盤面の永続魔法経由でサーチを行い、盤面が成立した後もローとローガーディアンを常に維持することが求められる粛声に対してこの部分は明確にメリットと言え、盤面に干渉するタイプの妨害を無視して自分の動きを通すことができます。
メタに対しての回答
エクストラデッキから墓地へカードを送る手段をメインギミックから搭載しているので、ヌトスをはじめとした相手のメタカードへの回答手段が豊富です。また、ユニコールの影霊衣の出た瞬間に適用されるスキルドレイン効果によりバグースカやアポロウーサなどの1枚で複数回こちらのカードを沈黙させる妨害にも強く出ることができます。
④弱い点
1枚初動を持たない
このデッキ一番の泣き所です。
豊富なサーチで誤魔化してはいるものの、初動としては組み合わせありきにすぎず、サーチは手札の枚数が増えているわけではないため、初手に誘発が集まるような構築にするとその分展開は細くなり、誘発貫通も難しくなります。また、サーチがブリューナク経由で行う都合上、ここにうららを貰ったとたんに組み合わせをそろえることが難しくなったりします。
妨害の通りにムラがあり貧弱
ユニコールやクラウソラスは確かに強力なカードなのですが
EXデッキ外のカードには何ら効力を持たず、それどころか1度墓地に落ちて蘇生されたEXモンスターにも妨害力を及ぼせません。
実質的に安定した妨害はグングニールとアラドヴァルのみなのですが
これらも所詮はターン1制限のある1妨害にすぎません。
墓地リソースの使用に条件があり、横並びに展開することが苦手
影霊衣儀式は全て後続の儀式魔法をサーチする強力な効果を持ちますが
この効果を起動する条件が「自分の場にモンスターが存在しないこと」です。つまり、決闘中盤面で押しているにもかかわらず、モンスターが存在することによって墓地から儀式魔法にアクセスできないため後続モンスターを投入できない……というぐだぐだな試合展開がまぁまぁ起こりえます。
ヴァルキュルスやアラドヴァルを使用して能動的に盤面を空けることもできますがその場合は当然盤面上の有利は手放すことになりますし、
ライフカットも遅くなります。
サーチメタへの回答のなさ
フィールドに干渉する妨害への耐性とトレードオフなのですが
他の儀式デッキと比べても小刻みなサーチが多いため、ドロール等が非常に重く刺さります。
よしんば儀式召喚のパーツが運よくそろっていたとしても、リソースの回復方法がこれまたサーチなので、展開力の貧弱さと相まってそのまま押し切られがちです。
⑤おわりに
総評すると独自の強みがあって動きもユニークで回しがいがあるものの、
現状は登場から10年のインフレのなかでパワーの不足が否めないといったところです。
だからこそ今回の新規には非常に期待しています。
皆さんもぜひ組んでみてくださいね。