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HAKUNAでの忘れられない物語。
あれは今でも忘れられないくらい、衝撃的な出来事でした。
7/1、『HAKUNA』というアプリで配信を始めて1周年を迎えます。
この1年間ずっと順調だったことなんかなくて、悩みと喜びを心電図のように上下して繰り返しながら、配信を続けてきました。
ハクナでの日々を振り返ると、本当に色々なことがあったなぁと思います。
イベントに神経を削られたり、リスナーさんとの人間関係に悩んだり、他人のいざこざにまきこまれたり、仲良しだった人がハクナをやめたり…。良くも悪くも、この1年間はずっとハクナのことばかり考えていました。
そんな一生懸命悩んだ日々を「そんなことがあったね〜」で終わらせたくなくて、自分の記憶から消したくなくて、当時の自分を救ってあげたくて、今回、ハクナの1年記念日を迎えるこの機会に僕の配信体験を元にした物語を書きました。
内容は初めて参加した新人イベントでの出来事です。いまでも忘れられないくらい衝撃なことが起こり、ほぼトラウマのような形で僕の胸に刻み込まれています。
しかし、この体験がいまの僕の配信を支える大きな信念を作り上げてくれました。ものすごくつらかったけど、最初にこの体験を乗り越えることができたから、1年間ほぼ毎日配信を続けてこられたと思っています。
配信するのが苦しかった、しんどかった。リスナーさんとの関係をどうしたらいいかわからなくて眠れない日々が続いた。そんな悩みを抱えたことのあるすべての人に、この物語が届くことを祈っています。そして、そんな人たちのつらかった日々の救いになることができたとしたら、僕はとても幸せです。
僕は自分で書いたこの物語を読み返し、泣きました。
そしてこれからも、この物語を大切にして配信を続けていこうと思っています。
最後に、この物語は有料にしてあります。なぜなら、この物語には僕の心や配信に対する想いがたくさんたくさんつまっているからです。なので、僕の心と言葉を大切にしてくれる方に受け取ってもらいたいと思っています。(値段は、ハクナでいう尊いギフトくらいに設定してあります)
ちなみに、今までたりの枠に通ってくれてた人に向けての遊び心も入っています。そして、僕の好きなものも登場しています。ぜひ、そちらも合わせてお楽しみ下さい。
少しでも多くの人に、この物語が届きますように。
それでは、どうぞ。
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<序>
小さい頃から人間関係が苦手だった。
夜中に目が覚めて親の喧嘩を見てしまってから、親の顔色を伺って生きるようになった。小学校のときに些細なことで友達と喧嘩をしたのがめんどくさくなって、本音を言うのをやめるようになった。
だからといって、親とうまくいってないとか、友達がいなかったというわけではない。僕は頭で考えた「優しさ」とすべてを丸く収めてくれる「笑顔」を使い、適度に人間関係をこなしながら学生時代を過ごしていた。
苦手だと思っていた人間関係はいつしか、苦手ではあるが意識的にやれば上手にやっていける、という感覚になった。環境を生き抜く術を手に入れることができて、僕は安堵した。このまま適度に人間関係をこなし、穏やかに人生が過ぎていくのだろうと、当時の僕は思っていた。
そんな渇きのような自信は、社会人になって崩れていった。
新卒で入社した会社を僕は1年も経たずに辞めた。仕事がしんどいという訳ではなかった。問題は人間関係だった。その会社で出会ったのは取り繕った表面上の顔で生きている人々だった。その顔には人生の諦めが滲み出ていた。僕はその人たちを見て、「ここにいる人たちみたいになりたくない」と強烈に思ってしまった。ほとんど拒絶だった。自分も本音を隠して生きているというのに。
それによって、僕は学生時代に手に入れた人間関係をやり抜くための術を自ら壊した。壊した結果、どう人間と接すればいいかわからなくなった。今まですがっていたものを失くし、自分の存在意義を見失ってしまった。
その仕事を辞めた後もいくつか仕事に就いたが、僕は周りの人とどう接していけばいいかわからなくなっていた。仕事は面白いと思っても、人間関係の煩わしさに嫌気がさす日々が続いた。
だったらいっそのこと、全ての人間関係を断ち切ればいい。
そうやって生きようと決めて、僕はリモートで働ける仕事を探し、手に入れた。仕事はひとりで家で出来るようになった。その生活はとても楽で、僕は煩わしさから解放された。これでやっと人間関係で悩むことはないと、心が楽になった。
そうした孤独な生活を1年過ごした。その生活にも慣れた僕は、あることを感じ始めるようになる。
つまらない…。
確かに、人間関係の煩わしさは消えた。だが、それと同時に人生がつまらないと感じるようになったことに、僕は驚いた。
面白い本を読んだ、美味しいご飯が作れた、仕事で成果が出た。ひとりの生活でも喜びを感じることはたくさんある。でもそれは、「道端で100円拾った」ぐらいの喜びで、心が動くほどの「幸せ」みたいなものではなかった。
まるで景色の変わらない終わりの見えない砂漠をひとりで歩いているような感覚だった。人間関係の悩みはないが、感動や幸せもない。僕はそのとき初めて、人は人間関係で悩むが、それゆえに人間関係で喜びを得るのではないか、ということに気がついた。
だから、僕は今、携帯と向き合っている。この携帯の先、いや、このボタンを押した先の世界には、たくさんの「人間」がいる。
小さい頃から人間関係が苦手だった。でも、すべての人間関係がしんどいわけではなかった。喜びもたくさんあった。
心臓がドクドクと動いている。緊張が身体中を駆け巡る。それを振り払い、僕は今から、失った人間関係による喜び取り戻すために、ネットの世界に飛び込んでいく。
僕は震える指先で、勢いよく【ライブを始める】のボタンを押した。
<1>
「Ayaneちゃん! 今日も来てくれてありがとう! ゆっくりしてってなっ!」
いつもよりひとつ明るいトーンで声を出す。ほんの数秒前まで音のなかった部屋に、跳ねるような明るい音が広がっていく。
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