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ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう、見た

前田くんとなんとなく見る約束してたけど、見たくなって見に行った。めっちゃ面白かったけどあまりに自由で感想書くの難しい。けど自由の中にルールみたいなのも感じ取れて、それがすごかったから感想を書く。

かなり異質なものを見た気がして、ナレーションとかで監督の存在を意識しすぎたのはあるけど、スロウなテンポの中にある唐突な瞬間は手玉にとられたように感じて見てて飽きなかったと思う。例えば車のキーを渡されてエンジンをかけるまでのスピード感と、その後のケーキ工房でのゆっくりした時間の流れとかは、ふざけているなと思った。

何より異質に感じたのは、映画の中に2人の映画監督の存在を感じたことで(この映画の監督自身と、映画内映画の監督)なんか難しいけど考えてみたいと思った。冒頭からとにかく人と風景を撮りまくってるんだけど、人の撮り方がちょっと変で、遠目からレンズで寄ったショットがかなり多くて、まずはこれに面食らった。撮影許可とってないのかなとも思ったけど、主演2人に対してもおんなじ撮り方をしてる。これも、誰が撮ってるのかってのを意識しながら見たっていうのがでかいけど、人を見たいって欲望とは別な気がして、消化しづらい感じがあった。ただそのおかげで邪悪な目の呪いが2人の見た目を変えてしまうっていう設定に説得力が出てた気もする。
そして本当にすごいのが、中盤以降、映画内映画の監督が出てきてからで、この人はなんか街ゆくカップルに声かけて気に入ったロケーションでツーショットを撮ってるんだけど、ちゃんと撮りたい人には撮影許可撮ってて、なんかこれって、わかりづらいけど、すごいぞって思った。そして終盤、監督は見た目の変わったリザ、ギオルギに撮影許可を取りに行く。2人は恋人じゃないから、渋るんだけど、監督の押しがしつこくて結局は撮影を了承する。
そしてその10分後くらいに2人のツーショットがくる。撮るよ、こっち見て、って言う。このショットに感動するのは、ひとつ前の実景がフリになってるからっていうのもあると思うけど、このショットがこの映画の中におけるはじめての2人目の監督によるショットだからで、なんか、ようやくカメラと2人の距離が適切になった気がして、俺がずっと見たかったのは、これだなって素直に思えて本当にすごいシーンだと思う。このシーンに至るまでの2時間をたった一つのショットで克服してしまっていて、心が動いた。
そしてこのシーンは2人を呪いから解放したシーンでもあって、最高だと思いました。その次の切り返しもすごいし、ディゾルブからの川の実景もすごいし、パンしてリザとギオルギが歩いてくるのも、やっぱりすごい。
街ゆく人や犬に対してこんなにもストレスなくカメラを向けられる人が、撮りたい人を撮りたい場所に置いて撮ることを肯定する形で映画を終えていて、それがとても、嬉しかった

ソワソワして劇場を出た。いろいろとおもいだすことはあるわな。顔とか、声とかな

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