見出し画像

やりたいことは自分の中にある。−キャリアコンサルタント・北山乃理子さんの話−

>北山乃理子さんのプロフィール
1986年生まれ。大阪府出身。大学で金融について学ぶ。ITの会社に就職しweb システム開発に携わる。人生をかけてやりたいことを探してコンサルティング会社へ転職。会社員としてクライアント企業の人事や人材教育に携わりながら、自分で事業を立ち上げキャリアコンサルタントとしても活躍中。

【コンサルタントの仕事】

ー現在されていらっしゃるお仕事について教えてください。

会社員と自分で立ち上げたキャリアカウンセリングの事業と2つの仕事をしています。会社では、コンサルタントとして企業の人事部向けに組織開発や人材教育、そしてチェンジマネジメントの支援をさせて頂いています。もう一つの仕事は、キャリアコンサルタントの資格を活かして、個人のキャリア相談に乗ったり、キャリアに関するセミナーを実施しています。

画像1

ーチェンジマネジメントとは何でしょうか。

企業が組織改革や新しいプロジェクトの立ち上げなどをして大きな変化が起こっているときに、社員がその変化を受け入れて、改革やプロジェクトが上手くいくようにサポートすることです。
ー具体的にはどのようなお仕事をされているんでしょうか。

プロジェクトによって様々ですが、主に企業の人事部の方が抱えている課題を一緒に解決してプロジェクトを推進していく仕事です。

ーどのくらいのポジションの方々とお仕事されているんですか。
プロジェクトメンバーからリーダーまで幅広くの方々と一緒に仕事をします。

ーもう一つのお仕事としてキャリアコンサルタントをされていますが、具体的にはどのようなお仕事をされていますか。

現職のキャリアアップから転職、産休育休後の働き方などさまざまな内容について、1対1で相談に乗らせて頂いております。また、自分のやりたいこと、自分軸を見つけるためのセミナーを実施しています。

ー年齢層は決まっていますか。
幅は広いですね。就活生から30、40代の方にご相談頂いています。今一番多いのは30代の方ですね。

【将来の選択肢を広げる中高生時代】

ー初めからキャリアコンサルタントになろうと思っていたわけではなかった北山さんですが、まずは中学や高校生でどのような進路選択をされていったのかについて教えてください。

自分の偏差値に合わせた高校へ進学し、大学もあまり迷うことはなく順当に進学しました。転勤族だったので、自分では住環境や学校などは決めることができず、どうしようもないことが結構あったんです。

ーそうだったんですか。

でも、大学以降は自分で選択できるんじゃないかと期待していたので、5年後に自分の進路の選択肢が広がるようにしようと思って過ごしていました。

ー当時はやりたいことがあったんですか。

やりたことは全然ありませんでした。だから、中高生時代は一つのことに夢中になっていたり、やりたいことが決まっている人が羨ましかったです。「なんで私にはやりたいことがなんだろう」と思っていましたね。

ーそうだったんですか。でも、進路選択についてとりわけ悩んでいたわけではなかった?

幸か不幸か、高校・大学へ進学することは当たり前だと思っていたので、あんまり悩んだ覚えはなかったかなぁ。

ーそのまま大学へ進学し、金融について学ばれて、IT起業に就職、その後現在のコンサルティングの仕事へと至りますが、北山さんの人生の岐路はどこで、そのときどのように選択されたんでしょうか。

IT企業に就職を決めたときと、キャリアコンサルタントになることを決めたときが岐路だったかなと思います。

ーIT企業に就職を決めたときは、どのような部分が岐路だったんですか。

就活のタイミングです。大学生時代は金融について学んでいたので、周りの学生はみんな金融機関へ就職していたんです。私も金融機関へ就職するんだろうなと思っていました。でも、たまたまIT企業に就職した友人の先輩からITの仕事について話を聞く機会があって、そのときに金融に携わりながらも金融機関で働く以外の選択肢もあることに気づいたんです。

ー私も学生の頃は教員養成課程に所属していたので、教員になるのが主流で、みんなそれが当たり前だと思っていました。それにしても、金融に関連する金融以外の職業がITだった理由が知りたいんですが、その前に、そもそも金融に興味を持ったところから知りたいんですが。

大学で商学部に所属して、そこで金融に出会いました。

画像2

そこでいろいろと学んでいたんですが、何をするにもお金って必要で、お金って大事だなと思っていたんです。金融は、その大事なお金がどのように回っているのかを知ることができるのでとても面白かったです。

ー私も教育関係の仕事をしていますが、教育もお金が必要だと感じています。

大事だけどあんまり学ばないですよね。

ーたしかにそうですね。そうやって、大事で面白いと思っていた金融ですが、金融に関連しながらも金融以外の職業としてITを選んだのはどうしてでしょうか。

例えば、金融機関の窓口は17時に閉まりますが、私は18時でも19時でも必要なときにサービスを受けられるようにしたいと思ったんです。金融を支えているのはITだと気づいて、金融をみんなの身近なものにするために、IT企業に入って仕組みを変える仕事をしようと思ったんです。

ーあぁ~、大事な金融をもっと便利なものにしたくて、そのためには金融そのものではなくて金融の外側に関わることが必要だぞということですね。

そうですね。

【仮面を剝がして、自分のやりたいことを考えた】

ー金融を支えるIT分野を充実させたいと思ってから、キャリアコンサルタントになるまではどのような過程を経たんでしょうか。

IT企業で働いていると、会社の金融に関わる課題をITで解決すると決めてから仕事を依頼してもらうことが多いんです。でも、最初は何が会社の課題なのかがわからないという段階があるはずで、ITは、明らかになった課題を解決するための一つの手段でしかないんです。私は手段よりずっと前の、何が課題であるかを見極める段階から関わりたいと思ったんです。それができるのはコンサルタントだと思って、コンサルタントの会社に転職しました。

ー北山さんの周りでコンサルタントをしていた方がいらっしゃったんですか?

IT企業で働いていたときにコンサルティング会社へ転職した先輩がいたので、その方から話を聞いていました。

ーなるほど。

コンサルタントってなんかかっこよさそうってイメージもあったんですよ。(笑)

ーキャリアアップしてる感じしますもんね。

そうなんです。周りからよく見られたい気持ちもあって、実は、転職してからも自分のキャリアについてかなり悩みました。

ーそうだったんですか。悩んでいて、最終的には自分がやりたいことがキャリアコンサルタントだと気づいていくきっかけや過程はどのようなものだったんでしょうか。

最初は、仕事を通じてたくさんのプロジェクトに携わり、さまざまな経験をすれば自分のやりたいことが天から降ってくるように見つかると思っていたんです。でも、違ったんですよ。会社の先輩で「自分のやりたいことは自分の中にあるから、外に視点を向けて探していても一生見つからないよ。」って言ってくれた人がいたんです。そう言ってもらってから「私の中に、やりたい事があるんだったらそれを探さなきゃ」と思って、視点を自分に向けたんです。

ー視点が外から内に向き、そこからどのようにやりたいことを探していったんでしょうか。

最初は何から探していいかわからなくて、とにかく自分の好きなことや、これまで誰かに褒められたことを書き出してみたんです。でも、本当に自分のやりたいことがなくて。それは自分がよく見られたいって気持ちが邪魔をしているからじゃないかと気づいてからは、書き出した項目について、周りの人からどう見られたいのかと意識して書いていた部分をなくしていって、残ったものの中で自分のやりったいことって何だろうと考えて探していきました。

ーとにかく書き出して、その中から真に自分の求めているものを探していったんですね。

そうですね。人からかっこいいと思われるからやりたいと思っていることと、自分が好きで本当にやりたいと思っていることって全然違うんです。人からどう見られているかは関係なく、自分が本当にやりたいことは何かと考えていきました。

ーその過程って、自分と向き合うことだからとても大変だったんじゃないかと思います。北山さんは、どのようにして自分の見栄みたいなものを剥がして自分のやりたいことを明確にしていったんでしょうか?

自分の感情の起伏に焦点を当てました。自分が怒っているときや落ち込んでいるとき、嬉しいときに、なぜ自分はこんなに怒っているんだろうって自分がそう感じる理由を一つ一つ掘り下げて、明らかにしていきました。

ーなるほど。例えば、どのように掘り下げていかれたのでしょうか。

「この人頭悪いなー」と思われたと自分が感じたから私は落ち込んでいたんだと気づいたとすると、「その時に、自分は本当はどうしたかったの?」というように、感情に注目して自分と対話するような感じです。

ー「自分は本当はどうしたかったのか」と問いかけたときに北山さんの答えとして、例えばどんな言葉が出てきましたか。

認められたいという言葉です。でもそのとき「どうして私は、こんなにも誰かに認めてもらわないといけないんだろう。誰かに認めてもらわなくても、自分が満足できたらそれでいいじゃん。」ってことに気づいたんです。自分が誰かに認められたいって気持ちが大きすぎる状態って、なんかもったいないなぁって。
ーもったいない、ですか。

はい。同時に、いつも自然体で、自分の意見を堂々と言える人ってかっこいいし、それができる人になりたいなと、自分のなりたい姿が見えてきたんです。

ー自分の憧れる理想像みたいなものが出てきて、その憧れる姿と自分の仕事とをどのように結び付けていったのかが気になります。

母親と会話しているときがきっかけだったと思います。母親が私に「あなたは好きに働けていいね。私の時代は結婚したら会社を辞めるのが当たり前で、自分の好きな仕事をしてキャリアをアップしていくことができる人は一握りだったんだよ。」って言ったとき、私は「なんでやりたいと思ったことをやれない社会なんだろう」って思って、怒りの感情が湧いてきたんです。

ーやりたいと思ったことをやれない社会に怒りを感じた。

はい。その時、「やりたいことができない社会を変えること」が私のやりたいことだと気づいたんです。「今の常識を壊して一人ひとりが自分らしく働ける社会にしたいな」と。そう気づいた後は、常識を壊すって何?一人ひとりって誰のこと?自分らしく働くためには何をしたらいいの?と具体的にイメージしていって、最終的に、私みたいにやりたいことってなんだろうと悩む人がいるだろうから、そんな人たちを探していくサポートがしたいと思いました。

ーやりたいことを探すサポートをするにもさまざまなサポートの仕方があると思うんですが、キャリアコンサルタントとしてサポートしようと思ったきっかけはあったんですか。

私がこの領域で仕事をするために何を知らないといけないかを考えました。私は人やキャリアについて、学問としてもっと詳しく学んでサポートをしたいと思い、そのために最もよい方法だなと思ったのがキャリアコンサルタントでした。

ー資格も取りたかったんですか。

とにかく学びたかったんです。効率よく学んで、学んだことが証になって、資格が取れたら仕事にもなるかもしれないなって。資格を取ることが目的ではなかったですね。

画像3

ーなるほど。資格を取得され、コンサルティング会社の金融の部門から人材部門に異動されたり、キャリアコンサルティングをされたりして、実際に働いてみてどんな感触がありましたか。

自分が知りたい事だから資格の学びも楽しいし、自分がやりたいことはこれなんだって実感がありました。コンサルティング会社の仕事も人事・人材の部門への異動をきっかけに、自分の仕事と深く知りたい・学びたいと思う領域が一致したので、仕事から得るものが多くて面白いです。さらに、キャリアコンサルタントとして事業を始め、カウンセリングに来てくれる人たちと話していると「今日も楽しかったな。よかったな。」と思えて、こういう気持ちで仕事ができるのって最高だなと思います。

ー北山さん、話しているだけでもいい顔してます。(笑)

【仕事を楽しくさせるのは、環境か自分か】

仕事が楽しくてしょうがないです。(笑)

画像4

会社を辞めて起業すれば自分のやりたいことができると思っている人がいるかもしれないんですけど、私の場合は、会社でやっている仕事も自分のやりたいことと合っているから楽しくて、会社員やっていてもやりたいことができるんだってことを伝えたいです。

ー会社での仕事もキャリアコンサルタントの仕事もやりたいことをやっている感覚は同じくらいなんですか。

やりたいことをやっている感覚は同じくらいですね。

ー会社に勤めていてもやりたいことをやっている感覚があるのは、前職のIT企業で働いていた時のように、環境がいいからなのか、それとも、自分のやりたいことが見つかって、それができているからなのか、いかがでしょうか。

やりたいことができている感覚があるからだと思います。やりたいことが見つかってからは、プロジェクトが忙しい中でもどうやったらチームがいい方向に変わるのかと考えたり、日々の仕事の中に自分のやりたいことにつながる要素を見つけられるようになったからだと思います。

ー会社に勤めていても、その仕事をする目的を自分で見つけるんですね。やりたいことをしていると、同じ仕事をしていても楽しいですもんね。

ー最後に、これからさまざまな進路選択をしていく若者へメッセージしたいことはありますか。

私も中高生時代に自分のやりたいことがなくて悩んでいたんです。でも、私もやりたいことが見つかったので、皆さんにも絶対自分の中にやりたいことがあるから、諦めないで探してみてもらいたいなと思っています。今まで経験してきたこと中にやりたいことのヒントがあるから、それは心配せずに探してみて大丈夫だよって伝えたいです。

ー「大丈夫」って言われるとなんだか安心しますね。焦らずじっくり考えていいんだって思える気がします。今日はありがとうございました。


ーーー北山乃理子さんについてもっと知りたい方へーーー
北山さんのFacebook▶https://www.facebook.com/noriko.kitayama
ライフキャリアに関する記事▶https://note.com/noricco/n/n6c1ee7ab0ff8
ワタシゴトLabのHP▶https://watashigotolab.com