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佐渡島一周サイクリング
新潟到着
お疲れ様です。まつだです。
有給12個とGWを生贄に捧げ、旅に出ることにしてからはや1ヶ月近くになります。
既に帰京したので、振り返れそうな記憶を振り返っていこうと思います。
一週間ほど兵庫に帰省したのち向かったのは、新潟県は佐渡島です。
初日は移動日として、夜行バスで到着ののち新潟駅周辺で一日を過ごしました。
少し栄えていて、東京と比べて土地の使い方が贅沢なので、伸び伸びと過ごせました。
とりわけ展望施設が多く、海を隔てて二ヶ所の埋立地の先端に建つ施設「入船みなとタワー」「山の下みなとタワー」は、さびれているものの階段を貴重とした建築、信濃川を潜って塔間を移動できるルートの存在が非常に印象的でした。
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隣には幼稚園生活を5年送れそうな巨大な公園と、「ひぐらしのなく頃に」で5回死にそうなサイズのスクラップ置き場があり、雰囲気も抜群です。
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いざ佐渡へ
新潟もそんなに何かがある街だとは思っていないので適当に切り上げ、朝6:00出発の船に向け眠い目をこすりつつ、佐渡島へと向かいます。
S字型のシルエットが横からでもよくわかる、パッと見本州と見違おうかという巨大な島です。
目的は二つあります。一つは北沢浮遊鉱場跡の観光。
ラピュタのモデル地とも呼ばれる場所(N個目)で、個人的には「レイトン教授・奇跡の仮面」に出てくるイェット・デストリーのような雰囲気も感じつつ、佐渡に渡るきっかけとなりました。
もう一つは自転車で島を一周する「サドイチ」と呼ばれるコースの完走です。
一周210kmほどで、猛者で12時間ほど、一般的には二泊三日でのんびり巡る程度の距離です。
鉱場を見たいという衝動だけがあり、その他のスポットの情報もそれを調べる時間も無かった中、一周すれば大したリサーチがなくとも佐渡島の表面をざっとさらうことはできるだろうというのと、北沢浮遊鉱場跡も道中にあったので、このサイクリングを佐渡島周遊の主軸に据えることに決めたわけです。大阪→東京チャリ引っ越しをしてからというもの長距離移動が久しく、テーマのある旅行に飢えていたという面もあります。
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到着予定の両津港のすぐ近くに「アウトドアベース」なるアウトドア系のアクティビティをする場合の拠点となる施設があることがわかっていたので、到着したらまずはそこへと向かい、レンタサイクルを借りて簡単にコースの概要を聞いておくか、など考えてマップで所在地を再確認しました。
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おや?
火曜日定休の文字を二度見し、一旦空を見てから三度見しました。今日は火曜日です。
またやった、と思いました。
急遽レンタカーを借りるか、免許取りたての時にコケて以来の原付を借りるかなど考えましたが、ちゃんと調べるとどうやら他にもレンタサイクルはありそうです。
なんやかんや「エコだっチャリ」なる誰がGOを出したのかというネーミングのレンタサイクル窓口にありつきました。
レンタルされる自転車はスポーツタイプ・スポーツタイプ(ミニ)・シティサイクルの三種に分かれ、いずれも電動アシスト付きとのこと。
荷物が多かったこと、貧乏であることから、前カゴがついており料金が半額(24時間2000円)程度で済むシティタイプ(いわゆるママチャリ)を選択しました。
「一周しようと思ってて〜」と話して以降瞳孔が開きっぱなしのお姉さんの強い勧めで充電器・予備バッテリーのオプションをつけ、いざ出発。
まずもって車体が重いのと、後から知るのですがバッテリーがだいたい一個で35km程度(スポーツタイプであれば50km程度)しか持たないことで後に地獄を見ることになります。
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一周サイクリング出発!
出発前にごたついているほど余裕は無いのです。朝9時頃、佐渡島東側の両津港を反時計回りに出発しました。
これも後で知るのですが、ざっくり東側は基本海沿いで平坦な道、西側は山がまたがっておりがっつり山登りをします。
島の上半分を一日目、下半分を二日目とし、100kmちょっとずつ走って最後両津港に戻ってくる算段でした。
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前半は好調でした。東向きをX軸正方向、北向きをY軸正方向とした場合に、第一象限にあたる30kmほどはひたすら平坦で電動アシストもあったので、休憩しつつ景色眺めつつでも2時間ほどで駆け抜けることができました。
普段はだいたい休憩込みで時速10km程度の相場だったので、よいペースで進んでいます。
ここまででバッテリーは全体の3/4ほど残。
北端の弾埼灯台あたりから坂道が増えてきます。
車体が重くアシストなしではてんで無理なので、電気の力を借りて山を超えます。
平坦な道ではそうでもなかったのですが、この辺りで一本目のバッテリーを使い切り、予備バッテリーに入ります。
依然細かい坂道が続きますが、後半の坂道でバッテリーが尽きると詰むので、平坦な道ではアシストなし走行に切り替えます。
自転車を漕ぎ続けた時、どこが最初にガタが来るのかご存知でしょうか。尻です。
次いで股、膝、と来るのですが、この時点で既になるべく座っている時間を短くしたい、という退屈な芝居を見ている時のようなことばかり考え始めます。
ママチャリなので、立ち漕ぎに優しいハンドルの形をしていないのです。また、何しろ大荷物なので関係ない肩も悲鳴を上げています。
歯を噛み締め、間から「しゅうう」という音を立てながら坂道をぎゅいぎゅい登ります。よもや島を一周していようなど思いもしない地元住民からの目には、蒸気機関で動く旅行者が来ているな、ぐらいに見えていたことでしょう。
二ツ亀という亀型の巨岩を通りがかります。
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ミシュラン二つ星とかもらっている景観で、佐渡島でも有数の綺麗な水に囲まれているようです。
昔から大きなものが好きで、アメリカ旅行で見たホースシューベンドも彷彿とさせる大きな岩は、内なる少年の心が刺激されたものです。
また干潮時であったため、ただ眺めるだけではなく登ることができるのです。
路上に自転車・荷物含め放置してきている中あまり遠出するのも、という気持ちと、絶対に登りたいという気持ちが戦い、やや登りたい、に傾いたあたりで左を見ると、さらに大きな岩が遠くに見えます。「大野亀」というまた別の岩です。
自転車というものは、遠くに見えていても見える位置にまで来てさえしまえば、辿り着くのにそう長い時間はかかりません。二ツ亀は諦めて、大野亀を本命にしようと決心しました。これは正解でした。
程なく大野亀に到着し、さらなる迫力と、わかりやすく登山(登岩?)道が見えました。これは登るしかない。
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平日の昼間で全っ然人がいない旅なのですが、ここにはもう2人ほど観光客がいました。
みんな登山口手前ぐらいまで行って引き返して来るのを横目に、こんな絶景を前によく引き返せるな、という気持ちで前に進みます。
下から見た時には登山道は途中で途切れていたので、登れてもそこまでかな、と思っていました。
実際に見えていた終端まで行ってみると、道はまだ続いているのです。無限に。
頂上まで行けるかも、という気持ちと、ややぬかるみを含む終わりの見えない獣道に気圧される気持ちでまたしても戦い、しかし絶対に絶景が待っているので、足を進めることにしました。
人間の価値とは、決めたことを守ること、そして一つでも多くのことを決めることによって決まる、と松田語録を残しておきますが、この度一番の大汗と共に山頂あたりまで登りました。
とはいえまたしても自転車と荷物を路上に放って来ているので、余韻もなくそそくさと降ります。確かな達成感があった、ということにしておきます。
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15時頃です。昼飯は菓子パンとかだったので腹も減り、目の前にはオシャレカフェが妖しい輝きを伴って見えます。
しかしちょっと贅沢に時間を使いすぎたこと、言うても菓子パンは食ってることから、ここは先を急ぐことにしました。金はごまかせても時間はごまかせないのです。
佐渡島の外周というものは、コンビニや食事処に極端に乏しく、トイレも公衆トイレが九割です。結果的に佐渡で外食することはただの一度もなかったのですが、「惨め飯」というのも限界旅の醍醐味であると今になって思います。
跳坂、通称「Z坂」と呼ばれる名所があります。
マップ上でもかなり鋭角な「Z」を描き、また横から見ても標高が「Z」を描いているエグいスポットです。
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残ったバッテリーを振り絞って駆け抜けた先には、この旅一番の海の絶景が待っていました。佐渡島は坂道が非常に多いのですが、ある程度行くと必ず標高0m付近に戻ってくる急坂が待っているので、これもまた醍醐味、ということにします。
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その他いくつか奇岩巨岩スポットを巡ったのち、この旅の目的地であった北沢浮遊鉱場跡に辿り着きます。
50mシックナーと呼ばれる何らか神殿のような機構と、ラピュタのモデルと呼ばれるのも頷ける蔦の生えたコンクリが横たわっていました。
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幻想的なBGMで不思議な感じが演出されています。夜はライトアップされるとのことで、ライトアップ前後の時間を跨げるように夜のこの時間に鉱場を通るルートにしていたのですが、思ったよりまだ宿まで距離があったこと、現在17時頃で19時のライトアップ開始には時間があり、待っていたら日が暮れることから夜の部は断念しました。(日が暮れてからライトアップされるので当たり前ですが)
ライトアップはさぞ綺麗だと思うのですが、それ自体は現代人が演出したもので、当時の流れを引くものではない、と自分に言い聞かせつつです。
電灯などひとつもないのと、バッテリーが底をついて自転車のライトすら点かなくなる懸念があるため先を急ぎます。
やがて日はとっぷりと暮れ、バッテリーが残り1/8程度までなったところで、今夜の宿が見えます。
両津港から100kmとちょっと、反対側にあたる西側の相川に宿を取っていました。
職員用出入口側に誤駐車ののち、正面玄関から悠然とチェックインの手続きに進みます。
宿へ
「松田です、チェックインで」
「松田様ですね、お待ちしておりました」
・・・・
「松田様、本日の予約には見当たらないですが・・・」
「うーん」
めのまえ が まっくら に なった!
絶望的な帰途の中、宿が竜宮城のように薄ぼんやりと輝いて見えたものです。
過度に魅力的に見えるものには何かがある、という長年の悪勘が、ここへ来て的中していました。
「これは・・・一日目と二日目の宿を逆に取っちゃってる感じですね」
「そのようですね・・・吉田家さん(本来の宿)でしたらここから車で30分ほどかと」
「わ・・・かりました、ありがとうございます」
チャリなんですけどね、という一言を飲み込み、とりあえず本来の宿までの道を調べます。目の奥と耳の奥がぎゅんぎゅん言うのが分かります。これがあるから旅行は辞められない。
15km
・・・行けない距離ではない
100kmを大回りしてここまで来ましたが、直線で行けば1時間とちょっとで横断できる島なのです。
足腰がクッタクタのギタギタであること、バッテリーが虫の息であることは考えても仕方がないので、無表情のまま両津港に再び向かうことにしました。ちなみに終バスは30分前に終わっていました。
佐渡島中央部は平野が広がっていること、ライトを点けながら電動アシストは切ることができる(バッテリーの節約ができる)ということに気づいたのは不幸中の幸いです。
膝の悲鳴に耳を塞いで自転車を漕ぎながら、明日の宿をどうするか考えていました。
■理想(コスト○・体力○)
一日目:両津(東側)を出発→相川(西側)に宿泊
二日目:相川(西側)を出発→両津(東側)に宿泊
三日目:早朝、両津港(東側)から出港、本州へ
■プランA(コスト△・体力△)
一日目:両津(東側)を出発→相川(西側)経由、両津(東側)まで戻って宿泊
二日目:両津(東側)を出発→相川(西側)を再経由、両津(東側)の宿に延泊(相川の宿と二重予約)
三日目:早朝、両津港(東側)から出港、本州へ
■プランB(コスト×・体力○)
一日目:両津(東側)を出発→相川(西側)の宿を取り直して宿泊(両津の宿と二重予約)
二日目:相川(西側)を出発→両津(東側)の宿を取り直して宿泊(相川の宿と二重予約)
三日目:早朝、両津港(東側)から出港、本州へ
■プランC(コスト△・体力△)
一日目:両津(東側)を出発→相川(西側)経由、両津(東側)まで戻って宿泊
二日目:両津(東側)を出発→相川(西側)経由、両津(東側)まで戻って自転車を置き、バスで相川(西側)へ戻って宿泊
三日目:早朝、タクシーで両津港(東側)まで向かい出港、本州へ
プランBは金がないので却下。
脚の酷使具合であればプランAが最も重くなりますが、同じホテルに連泊することができれば、持ち歩く荷物は最小限にできるという非常に大きなポイントがあります。
プランAとCで非常に悩ましかったですが、バスとタクシーを駆使できるほど脳にキャパが残ってないこと、「早朝」とは5:30なのでさすがのタクシーでもエグいことから、脚を最も酷使するものの、両津の宿に延泊できるかどうかを相談するプランを取りました。
なお、自転車を返せるのが8:30~17:00の間に限られるため、予約していた通りの宿に泊まり、体力にモノ言わせてゴリゴリ早朝に相川→両津へと向かう「■プランD(コスト○・体力×)」は選択肢に入っておりません。
さて、誰が気にするねんという考察を終え、止まっていた頭が再び動き出したのが、宿の道中までにある最後のコンビニ(ローソン)にたどり着いた時です。
飲食店は早々に閉まり、開いているのはコンビニぐらいなものです。
これだけの苦労の果てにありついたのがカップラーメンか、と普通であれば思うところ、このあまりに惨めな状況は過去二度ほど経験していたので、むしろちょっと心温まるぐらいのメンタルタフネスを備えていたってワケです。
「松田様ですね、お待ちしておりました」
21:30頃でした。
ボロ雑巾のような風体で両津の宿に帰りつき、名乗る前から歓迎の一言を頂き、ようやくこの島に居場所を見つけた、という気持ちです。
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最近発売されたらしいジャックコークを流し込み、酒が回りすぎると思い中断、日付が変わるぐらいに布団に入りました。身体は死んで脳ばかりがスパークしています。
起こることはだいたい一日目に起こってしまいましたが、二日間に渡るサイクリングではので、気が向いたら二日目分を書きます。
それでは。
0618追記
続き書きました↓
続・佐渡島一周サイクリング|まつだ
https://note.com/tytydy/n/n816836c416d2
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