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驚き

■GWが永遠に続くような気がするけど、完全に気のせいなんだよな。でもなぜか、このGWの前と後で自分の中で何かが決定的に変わっているような気がする。となると今はちょうど、昆虫でいうとサナギの状態だ。ちょうど髭も伸びっぱなしだし、これを今日剃ったら、僕は生まれ変わったということにしよう。

 以前と比べて自分の中で変わったなと思うことは、以前は暇な時間があると、無意識に何かをしなくてはならないという焦りに襲われていてすごく苦しかった。でも今は、そこまで苦しいということもなくなった。これはいいことなのか悪いことなのか。でも結局、僕はその不安を乗りこなせなかったということで、この不安を感じていたということ自体あまりいいことではなかったのだと思う。自分の中にあった、自分由来ではない何かが僕に不安を感じさせていた。僕はサーフィンはやったことがないが、ツイッターでフォローしてるサーファーの方によれば、自分の波ではない波に乗ろうとするのはサーファーのモラルに反するそうだ。逆に言えば、波があると乗りたくなってしまうというのも、ひとつ、思い込みのもたらす不安の為せる業だろう。以前の自分に比べて、不安に対する抵抗力が上がったというのは言えると思う。全ての不安は無視しようとするべきだ。黙っていられない事柄だけが、実際問題なのであって、不安に実体は存在しないので、本質(は存在しないという意味)的に、全て無視できる。人間の胆力が上がるとはつまり、反応しなくても精神のうちで対処できる不安の量が増えるということだ。逆に言えば、不安は反応しなければ存在しなかったことになる。不安に実体を与えているのは常に我々の反応なのであって、そうやって不安は常に実体化を図ろうとしている。例えば渋谷などの繁華街にいるだけでパニックになりそうになる人というのがいるが、そういう人は本当に不安からの攻撃を受けていて、対処方法を知らないのだ。対処方法というのはつまり自分の中から不安を打ち消す方法なのだがこれは多分おまじないとか、呼吸を整えるとか、そういうすごく身体的なところから入っていって、だんだんと骨の位置を微調整することで受けた歪みを正すみたいなところになると思っているのだが、僕は全て自分の体でのみ観測しているので、実際に人に言えることといえば「心配しなくても大丈夫」という言葉だけになるのだよね。だから、整体とかやってる人で実際に人の不安のたまっている箇所に働きかけることができる人はすごいと思う。

 現代人は特に、不安から解放されたいという欲求が高まっていると思う。それは精神論だけではなくて具体的な身体的疲労として体に現れてくる。それがどこともいえない全身にのしかかってくるのが鬱だろう。鬱の原因は不安だ。そして、不安の原因は?というと、これは認識の足りていなさだ。だから、もっと認識したいと思ってしまう。それで釣られてしまう。そうすると不安のスパイラルにはまっている。だから、なんでもいいから何か手を動かして頭の中を空っぽにしておく必要がある。でも、そんな気分にもなれないのが鬱だ。そういう時は受動的に何かを聞き流し続けるのもいいと思う。とにかく不安について忘れ、頭を休ませることだ。鬱は頭がフリーズしているということだ。そして頭は神経を通じて全身とつながっているので、つまり頭がフリーズするということは体もフリーズするということだ。

 不思議なのだが、僕は度々ここで鬱について書いている。別に僕自身は今現在鬱でもないと思う。鬱っぽい時期は確かにあったが。母親は鬱っぽい。父親は最近鬱っぽくなってるかもしれない。でも、よくよく身の回りの人を見ていると、みんなどこかしら鬱っぽい部分というのがある気がする。別にそれはそれでいいと思う。完全に常に明るいやつなんかいるわけがない。明石家さんまはあれはあれできっと何か心に闇を抱えているはずだ。だから芸能界で残れているんだと思う。礼儀だけはきちっとしておけよ、みたいなね。そういうのも、角度によってはすごくネガティブな自己否定的側面として捉えられなくもないと思う。平たくいえばちょっと疲れやすい部分、それがその人の鬱っ気の強い部分となるわけで、よくいえば他の部分よりもたくさん仕事をしている部分ってことだ。だから、働き者なんだ。もちろんそのぶんサボってる部分があるわけだから、そういうところにうまく促していければ「ここが鬱っぽい!」というところはなくなるかもしれないが、その鬱っぽくなってる部分のおかげで今の自分があるとも取れるわけだ。だから鬱を否定するということは今の自分を否定するということにもなる。ただちょっとなんらかの事情で疲れやすい部分があるってだけのことだと思う。

 ところで、鬱っていう時は字画の密度がすごくて、モニターを眺めているとそこだけ露骨に余白が少ないのが見える。この鬱という感じを定めた人は一体どんな人だったのだろうか。きっとゲラゲラ笑いながらこの字を書き上げたのだと思う。

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