見出し画像

生成AIは人間のライターに勝てない3つの理由(ワケ)

「フリーランスライターのブツクサひとり言」第49回

生成AIの機能が日進月歩で発達して、いわゆる「こたつ記事」で糊口をしのいでいるライターが「仕事をAIに奪われる」と危機感を募らせていると聞きます。


生成AIに仕事を奪われる?

取材案件を取ろうにも未経験で、そもそも社会人経験すらない若手ライターは、出版系のメディアからは敬遠されがちです。それでも伝手をたどったり自ら取材したりしたサンプル原稿を持ち込んで認められる望みは、皆無ではありません。

AIはインタビューも行えるようになっていますから、経験が浅くまだ自信がついていないライターにとって「仕事を奪われるのでは?」という危機感はつきまといます。

私は、AIが完全に人間のライターを凌駕することはないと考えています。
その理由は3つ。

以下ご説明します。

1.AIは食レポができない


飲食店のレポートやグルメ記事の取材は、しばしば試食を伴います。
お店で調理された料理やスイーツを実際に食べてみて、自分の舌で味わい、自分のセンスで文章に表現する。こんなことが、機械であるAIにできるわけがありません。

たとえばラーメンのスープの味、麺の食感などは、実際に食べてみて初めて分かることです。


AIは食レポができない

あるいは和食の「うま味」が、AIに分かるでしょうか。

食レポを例に挙げましたが、他に寝具の寝心地、衣服の着心地、肌触り、香水の香り、保湿クリームの潤い感など、およそ人の感覚でしか味わえないものは、AIで表現することが出ないのです。

2.AIはオフレコ情報を取れない


インタビュー中に「この話はオフレコでお願いしたいのですが……」と、インタビューイがとっておきの情報や秘密を教えてくれることがあります。

オフレコなので、もちろん原稿に書けません。しかし、それを知っているのと知らないのとでは、できあがる記事の深みがまったく違ってくる経験がよくあります。


私を信用してくれたからオフレコ情報を話してくれる

他言できないようなことを、なぜわざわざ話してくれるのか?

いうまでもなく「私」という人間を信用してくれたからです。
「この人になら話しても大丈夫」「この人に聞いてほしい」

そういう感情が湧いてくるのは、インタビュアーが人間だからこそです。

今は就職面接をAIで行えると聞きます。同じ技術でインタビューも可能です。

でも、考えてみてください。

AIにインタビューされて、質問に答えるまでは誰でも対応してくれると思います。が、誰が機械に向かって、とっておきの情報や本当は秘密にしておきたい情報を喋りますか。

AIがオフレコ情報を取れない理由はただひとつ、“人間ではないから”に尽きます。

3.AIは過去の情報にしかアクセスできない


ネット世界に蓄積された膨大な情報を瞬時に組み立て直して、そつのない文章をつくる能力では、人間はAIに勝てません。

しかし、AIがアクセスできる情報は、すべて過去のもの
しかも公開されている情報だけです。

言い換えると「有(ゆう)」から「有’(ゆうダッシュ)」を生み出す。すなわち既存情報を組み替えることしかできません。

これから世に出る未公開情報にアクセスできないのです。したがって「無」から「有」をつくることもできません。

小説を書いたり作曲できたりするAIがありますが、それだって小説の書き方、面白いストーリーのつくりかた、音楽理論といった過去から現在まで培われてきた経験則やノウハウがあってこそ、初めて可能になっていることです。


AIは無から有をつくれない

とはいえ、近い将来には人間がつくったコンテンツとAIがつくったコンテンツとの共存は避けられないと思います。

ライターという仕事をするうえで、上手く共存するにはどうすればいいか。
少しでも参考にしていただけたら幸いです。


創稿舎では取材経験の浅いライターの困りごとに対し、経験則に基づくアドバイスが可能です
コメント欄に投稿していただくか、下記のアドレスまでメールで。お気軽にご相談ください。
Mail rewrite-service@mbr.nifty.com
メールタイトルの頭に「noteから」と付けてください。

いいなと思ったら応援しよう!