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“取材商法”を疑われない取材依頼のしかた
「フリーランスライターのブツクサひとり言」第34回
2025年、新しい年が明けて最初の投稿です。
ここ数年、時折耳にする「取材商法」について書きます。
取材商法とは――
紙媒体やWebメディアなどのインタビュー取材を企業に持ちかけて、実際に記事を掲載した後で、掲載料や広告費の名目で金銭を請求する詐欺まがいビジネスのこと。
広報リテラシーの低い経営者や広報担当者がだまされて、トラブルになるケースが多発していると聞きます。
真面目に仕事をしているフリーランスが取材をお願いしたとき、取材商法と誤解されて初めから「取材はお断り」と取りつく島もないといった話も聞きますから、被害は企業のみならず同業者にも及んでいます。
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そんな疑いをかけられないように取材のお願いをするには「この案件は取材商法ではありませんよ」ということを、相手に理解してもらわねばなりません。
いろいろ試してみた結果、自分なりの結論にたどり着きました。
取材依頼のメールや手紙を書く際に、次のような一文を書き添えておくと安心してもらえるようです。
<取材に際して金銭のやり取りは一切発生いたしません>
短い文ですが、これには2つの意味を含んでいることにお気づきでしょうか。
ひとつは、あとから掲載料や交通費などを要求することはありませんということ。
もうひとつは、取材の謝礼はお渡しできませんということ。
新聞社系のメディアは、取材に謝礼が出ないケースが少なくありません。謝礼を目当てにしたガセネタの売り込みを防ぐためなのですが、よく「情報をタダでくれとは、厚かましい」と揶揄されることがあります。
そのような目的を知らない相手に、こちらから取材させてくださいとお願いしておきながら「謝礼はありません」とはいいづらいですよね。そういう場合に、はっきり口に出すことなく「謝礼はないんだな」と察してもらう効果もあります。
それでも記事になれば何かしら宣伝効果はあるので、謝礼なしでも取材を受けてもらえるケースは多いです。
私の経験上「謝礼が出ないなら取材は受けない」と断られたケースは、これまでに1件のみでした。
口頭で取材をお願いする際も同じです。
「後からお金を要求する悪徳商法がありますけど、うちはそういうのではありませんので……」と一言添えてあげるだけで、相手は安心できるものなのです。
以上は取材を受ける側への配慮ですが、じつはライター自身も仕事を請けるときに注意しておくことがあります。
知らないうちに取材商法の片棒を担がされていて、最悪の場合はメディア運営者と共犯にされて損害賠償を負う羽目になりかねません。
取材案件のオファーが来たら、必ず次のことをメディア運営者へ確認することをお勧めしす。
・取材先への謝礼は出るのか。出る場合はメディア側が負担するのか。ライターが負担するなら、ギャラは謝礼込みの金額なのか。
・掲載料や広告費の名目で取材先に負担が生じるのか。
・取材先に金銭の負担が生じる場合は、どのようなシステムの下でいくらの負担になるのか。
ライターが広告の営業も行うような業務のオファーには、とくに注意が必要です。ライターは書くことが仕事ですから、メディアに代わって営業をやることまで求められる案件は、なるべく避けたほうがいいでしょう。