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取材中に起こりがちなトラブルとアクシデント その対処方法

「フリーランスライターのブツクサひとり言」第41回

どれほど準備万端に調(ととの)えて取材に臨んでも、トラブルやアクシデントは起こるものです。そのとき決して慌てず、冷静に対処できないと取材そのものが失敗してしまいかねません。

どんなことが起こりやすいのか。どのように対処すれば、原稿の執筆に影響がないレベルに収められるのか。
今回はそういうお話です。

取材現場で起こりやすいトラブルとアクシデント、そのときどう切り抜けたかを、経験則を交えて列挙します。

■取材アポが通っていない

クライアントから依頼された案件で「取材のアポは取れているから」という言葉を信じて訪問してみたら、アポどころか取材の話も初耳だと怒られたことがあります。
そんなときは「話は通っているはずだ」と頑張っても意味がありません。相手が「聞いていない」といっているのですから。

相手から見れば、こちらはアポなしで押しかけたメディアという立場です。手違いがあったことを、最初に詫びましょう。それからクライアントに連絡を取って状況を説明し、指示を仰ぎます。

そこから先はクライアントと取材先との話なので、ライターはクライアントからの指示を待ちます。たいていは後日仕切り直しになるはずです。
もしくは取材先の厚意で急遽時間を設けてくれるかもしれませんが、それは期待しないほうがいいでしょう。
ライターの責任ではないので、くれぐれも自分で解決しようと考えて余計なことをしないこと。

■ICレコーダーが勝手に止まっていた

たいていの原因はバッテリー切れです。私は取材の都度、バッテリーを新品に交換しています。
もったいないかもしれませんが、音声が録れていないほうが怖いです。単4電池を使うタイプなら、100均で売っている4本セットで十分です。

もうひとつ考えられる原因は、機材の故障です。機械ですから、いつか必ず不具合が起こります。
ですから必ず2台用意して同時に音を録ります。あるいはICレコーダー1台と、もう1台はスマホの録音機能を使ってもいいでしょう。

大事なのは「AがダメでもBがある」という保険をかけておくこと。

■相手の都合で取材時間が短くなった

これも、よくあることです。取材先を訪ねた玄関先でそのことを告げられても、決して慌てないこと。
「お忙しいのですね」と余裕のある素振りを見せられたら、もうベテランの域に入っています。

予定していた質問を全部訊くことが無理なときは、その場で質問を再編成しなければなりません。
記事のテーマに沿った、どうしても外せない質問を最優先に残し、質問に優先順位をつけること。これを玄関先から応接間に通されるまでの間にできなければ、ただでさえ短くなった取材時間を有効に使うことができなくなります。

■約束の時間に遅れそう

取材相手と外で待ち合わせていて、約束した時間になっても相手が来ないときは、自分が待てばいいのです。しかし、自分が遅れそうなときは、急ぐことはもちろんですが、遅れることが分かった時点ですぐ相手に連絡しましょう。
・なぜ遅れるのか(交通機関の遅延、事故に巻き込まれた……etc)
・今どこにいるのか
・到着までの所要時間

とくに最後の所要時間は大事です。遅れるのか仕方ありません。では相手は、どれくらい待つことになるのか。それが分かれば短い用事をひとつ片付けるとか、カフェに入って休憩するとか、相手にもその間にできることがあります。

■取材相手が来ない

自分は時間通りに約束の場所に着いているのに、相手が来ない。これも、よくあることです。
間違えようのない場所なら、しばらく待ってみる。もしかすると、自分か相手のどちらかが日時を間違えていることも考えられます。予定を確認し、相手に連絡してみましょう。

こういうときの連絡は、急を要するので電話を使います。
実際に相手が時間を間違えているケースが、過去に何度もありました。

リモートでのインタビューでも、約束したはずの時間に相手が入ってこないときは、連絡してみること。

遅れそうなときはまず連絡

■ボールペンのインクが切れた/メモ用紙がなくなった

これは言わずもがな、予備を用意していきなさいという話です。

実際にこのようなトラブルを起こしてしまったライターから聞いた話です。
ポールペンのインクが切れてしまい、予備の筆記具もありません。彼は咄嗟にボールペンのペン先で紙をひっかくように文字を書き、急場をしのいだそうです。

今はタブレットやノートパソコンでメモをとる人もいると思いますが、バッテリー切れにはくれぐれも気をつけましょう。

トラブルが起こったときは「起こってしまったことは仕方ない」と、ある種の諦めが大事かもしれません。
「え! うそ! どうしよう」と慌てたり嘆いたりしても、起こってしまったことは収拾できません。どう立て直すかが大事です。

筆記具やバッテリーなど、予備を用意出来るものは用意しておく。日時などの約束事は、取材前日に「リマインドです。明日の取材、よろしくお願いします」と一言連絡しておくだけで間違いを防ぐことができます。

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