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#30 「本日は、お日柄もよく」を読んで

今日は、原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を読んだ感想を書きたいと思う。

結論から述べると、感情移入しやすくて、読みやすい。心理描写が見事で登場人物のキャクターが立っていた。

内容を端的に表すと、失恋をした女性が、スピーチと出会い、成長していく話である。

救急車のシーンやその後の演説のシーンはグッとくるものがあった。物語はフィクションだが、読み手の私に、現実社会で起きている問題について訴えかけるものがあった。

本書の中で印象に残ったフレーズがある。それは主人公の師匠のが発した、愛されるスピーチライターの素養は「ジジ殺し」、という一説だ。ジジ殺しとは、易しく分かりやすく語りかけることである。特に世の中でお金と権力を持っている「おじさん」に届けることがスピーチでは大事だと作中にはあった。

私は「おじさん」というのは、世の中の人全員の代表として、採用されたものだと思う。

なぜなら、世の中の多くの人は他者を分かり合えない悲しさやコミュニケーションのすれ違いに悩んでいるからである。

日本という国は、物質の豊かさは世界中を見渡しても、類がないぐらい恵まれた国である。治安も良い。しかし、今の自分が幸せと感じている人は少ない。

これは、日本人の「モノ=物質」から「コト=誰とどんな体験をしたか」へと価値感が変わったにも関わらず、教育を始めとした世の中のシステムが昔のままだからではないだろうか。

だからこそ、本書はコミュニケーションの大事さを、主人公がスピーチライターとして成長する過程を通して伝えているのだと思った。

そして、スピーチの極意はそのまま私たちのコミュニケーション能力の向上に役に立つと思う。

普段の私たちは、どれだけ想いを伝えているだろうか。楽しく過ごすために、相手に届けることを意識して、これからも伝え続けていきたい。




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