日向坂文庫2021#17(上村ひなの×金子ユミ『千手學園少年探偵團』)
noteを開いていただきありがとうございます。
ちゃすいです。
今回は、上村ひなのさんが表紙となり金子ユミさんの『千手學園少年探偵團』の感想について書いていきたいと思います。
まずは登場人物についてです。
(小説より引用)
・永人:現大蔵大臣・檜垣一朗太の妾の子。三味線弾きの母・千佳と共に浅草界隈で暮らしていたが、突然「私立 千手學園」に編入させられることに。
・慧:東京府内随一の大病院・来碕病院の息子で、昊の双子の兄。病弱で人当たりがよく、生徒からの人気も高い。
・東京府内随一の大病院・来碕病院の息子で、慧の双子の弟。運動神経がよく、学業成績も優秀。
・乃〇:住み込みで働く用務員一家・多野家の一人息子。
・東堂広哉:千手學園の最上級生で、生徒会長。現陸軍大臣・広之進の息子。
・檜垣蒼太郎:一朗太の嫡男で、永人の義兄。千手學園から謎の失踪を遂げる。
1.あらすじ
現大蔵大臣・檜垣一朗太の妾の子の永人は母とともに浅草界隈に住んでいた。
しかしある日、義兄である蒼太郎の失踪を理由に千手學園へと編入することになる。
そしてこの千手學園初登校日、永人は「呪いの噂」を突き止めたいという謎の少年と出会い、様々な不可解な謎に遭遇することになる。
2.感想
読み終えたいや、読んでいるときに一番感じたのは他でもない、「見事なまでに腹黒いメンツがうじゃうじゃいるな」ということです。
サスペンスや推理小説だと1人2人ぐらいは腹黒い奴がいて、事件を複雑化させますが、今回は登場人物のほとんど全員が腹黒い。
金持ちの息子たちによる国家さながらの政争?及びそれに起因する事件の数々には驚かされました。
読んでいていい意味で疲れました。
特に終盤、広哉らによる蒼太郎隠しの真相が暴かれるシーンにおいても、広哉はまったくもって動じず、むしろ永人への1つ目の課題達成おめでとうと言わんばかりに称賛の辞を述べる場面では、広哉という存在の闇深さに目がくらみそうでした。
また、手駒は多い方がいいという発言もしていることから、真相が暴かれるのは重々承知の上だったのはと思います。
そしてこの事件の真相を見破れる仲間集めをすることで、最終的に何らかの野望を達成しようとしているのかなとまで感じました。
恐らく小さいころから政争を見、その政争の後ろにある論理をいつの間にか自らの内に取り込んでいるのでしょう。
それゆえ、学生ながら平気で人を手駒にすることができ、かつ何があっても動じず、自分のペースで話し続けることができるのかなと。
まあその辺は永人も同様で浅草でけったいな連中を見てきたために、そういう連中とやり合うことに慣れていると同時に、ある種の面白さを見出していると思われます。
「嫌いじゃねえかも、千手學園」
この発言から見て取れる通り、訳のわからないけったいな連中がいくらでもいる、この千手學園の中で生き抜くことを宣言します。
この先、どんなけったいな連中がいるのでしょうか。
続きも気になるところです。
と今回はこんな感じでしょうか。
推理小説と一口で言っても、『三毛猫ホームズの証言台』や『刑事の子』『神楽坂愛里の実験ノート』と全然雰囲気や、トリックの仕掛け方及び解決までの道のりが違うんだなということがよく分かります。
#21においては、日向坂文庫の中で唯一持っていた『学ばない探偵たちの学園』の感想を書かせていただこうと思いますが、これまた味が違いますからね。
それぞれの特徴や違いについてまとめてみるのもありかもしれません。
最後長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
それでは失礼します。