日向坂文庫2021#5(富田鈴花×似鳥鶏『100億人のヨリコさん』)
noteを開いていただきありがとうございます。
ちゃすいです。
前回は坂木司さんの『アンと青春』について書かせていただきました。
読んでくださった方はありがとうございました。
さて今回は、富田鈴花さん担当で似鳥鶏さんの『100億人のヨリコさん』の感想について書いていきたいと思います。
まずは主な登場人物です。
・小磯:教育学部2年
・先輩:富穰寮の住人。
・儀間:富穰寮の住人。
・汪:経済学部
・マフトンジ:マフトンジ・フェルナン=グバグイディ工学部3年
・若月奈緒:スーパーたかしまで働いている
・ひかり
1. あらすじ
バイトと奨学金で大学生活を送る小磯。
大学入学当初は「新生寮」に住んでいたが規定により、引っ越すことになる。
お金のない彼は大学に伝わるとある方法で大学のHPにも載っていない格安の寮、「富穰寮」に住めるようになる。
しかしこの富穰寮には色々なうわさがあり、大学の事務員さんにも止められる始末。
それでも小磯は意を決して富穰寮に住むことにする。
いざ行ってみると、明らかに廃屋ともいえる場所であった。
またそこに住む住人も変な人が多く、また異様な食べ物「パンツダケ」や「銘酒 死体洗い」と呼ばれるものをごちそうとしていた。
そしてその寮にはときたま、依子さんと呼ばれる血まみれの女性が表れるという。
だがこれには壮大な裏があり・・・。
2. 感想
とまあ、あらすじは上記ぐらいにして以下は感想を書いていきたいと思います。
まず寮の住人についてですが、皆社会から疎外された存在であるということです。
そして富穰寮はそういった人々が安心して住めるセーフティーネットの役割を果たしていたということです。
そのために依子さんについては調べずむしろ利用して寮について知られないようにしていたとのこと。
確かに不気味な場所には人は近づいてきませんから、避難所としてうってつけだったのでしょう。
寮の先輩方はうまくやっていたようです。
人を守るためにある種自分たちの生活を「異質な」ものにするというのはすごい勇気と忍耐力がないとできません。
その点先輩方はそれを実践し続けてきたというのですから頭が上がりません。
強い信念と行動が一致している稀有な例ですね。
続いて、依子さんについてです。
小磯らはトンデモ学説と言えるラジャ仮説をもとに犯人を突き止めることに成功します。
ラジャ仮説とはエピソード記憶は一つ一つが超精密で高解像度の4DXムービーファイルと言えるもの。
そのため一つ一つの記憶の容量が大きすぎて脳の記憶容量では一生分のエピソードを保存する領域がない。
よって脳の外、体外の空間に保存し必要に応じてダウンロードしていると考えるものだそうです。
なお物忘れはファイルが消えたのではなく、単にロードに失敗して思い出せないだけのようです。
そして人間は一人一人が独立した存在ではなく、体外に存在するクラウドの記憶領域と常時アクセスしているネットワーク端末と言えるそうです。
そして記憶には一つ一つ『この記憶は私の記憶です』というようなタグをつける。
そのため他の人の記憶をダウンロード(思い出す)ことはないそうです。
だがぼんやりしていると自己認識がはっきりしていないことがあるために、記憶のタグ付けに失敗する可能性があるようです。
そのため似たような状態になった人が間違って他の人の記憶をダウンロード(思い出す)するという。
このため当初は富穰寮に住む人(ひかりを除く)が依子さんに遭遇していたとのことです。
なんとまあ、恐ろしい話です。
他の人の記憶を見ることができるようになり、集団ヒステリックを引き起こすというのはなかなかのお話です。
今まで読んだことがない分野でしたので、読むのに一苦労してしまいました。
ただ記憶と言うのはどうなっているのだろうとはふと考えさせられました。
一般的には人間の脳に短期記憶と長期記憶と分けられ、記憶されるとされます。
ですが忘れるものもあれば、ふと思い出すものもあります。
まあ恐らくは外部ではなく、脳の中にタグ付けされて保存されているのでしょうが、かなりの量をどうやって保存しているのでしょう。
Zipファイルのように圧縮されて保存されていて必要があれば、解凍されて思い出すのでしょうか。
脳の研究者ではないのでわかりませんが、興味深い分野ではあります。
とまあ、今回はこんな感じでしょうか。
なんか感想と言うかただの雑記になった気がしましたが。
それでは富田鈴花さん担当で似鳥鶏さんの『100億人のヨリコさん』の感想について書いてきました。
これを富田さんはどう読むのでしょうか。
正直に気になります(笑)。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
また次も書いていけたらと思っています。
失礼します。