日向坂文庫2021#15(丹生明里×矢崎存美『ぶたぶた図書館』)
noteを開いていただきありがとうございます。
ちゃすいです。
今回は丹生明里さんが表紙となる矢崎存美さんの『ぶたぶた図書館』について感想を書いていきたいと思います。
主な登場人物
・麦谷雪音:図書館好きの中学生。ぬいぐるみおとまり会を提案する。
・三宅寿美子:図書館の職員。雪音とともにおとまり会のために奔走する。
・山崎ぶたぶた:ぶたの人形をした人?。おとまり会実現のために協力する。
1.あらすじ
中学生であり本好きの雪音は、とある日市立の図書館が企画を募集していることを知る。
企画が採用された子は図書館の見学出来たり、一緒に企画のために働けたりするという。
そこで雪音は外国の図書館でも行われている「ぬいぐるみおとまり会」を提案するも、残念ながら案は採用されなかった。
しかし職員の寿美子がその話を聞き、非公式ながら「ぬいぐるみおとまり会」開催に向けて動き出すことになる。
そんな中企画の協力のために現れたのが、「山崎ぶたぶた」という・・・。
2.感想
これまでとはちょっと違うと言いますか、隠し要素あり的な感じであらすじを書いてみましたがどうでしょう。
結構難しいですね。
ストーリーの本筋とは違う視点から書いてみたり、余韻を残す感じで書いてみたりと色々な書き方ができるなと最近感じております。
さて以前、『おさがしの本は』を読み感想を書かせていただきましたが、同じ図書館が舞台となっていますが、『おさがしの本は』とはまた一味違う作品でした。
『おさがしの本は』では司書である和久山が図書館存続のために奔走すると同時に、司書としてのプライドというものが垣間見れる作品でした。
一方で『ぶたぶた図書館』は、司書である寿美子が出てくるものの、「図書館存続のために!」というのではなく、「ぬいぐるみおとまり会」を開催するために奔走するというものでした。
前者が政治や行政とのかかわりの中で、図書館が下に見られている様子が描かれていたのに対して、後者ではむしろ新しく造られた図書館で何をしたいかということが問われており、図書館への見方が違うなと感じました。
とはいえ、司書であることのプライドといいますか、本好きであるという点は両者とも共通しており、また図書館の役割って本を貸すことだけではないんだよというのを教えてくれる作品だなと思いました。
この点は小中学生向けに企画を募集しされている点からも垣間見れます。
この際採用された企画は以下の通りです。
・小中学生のための物語コンテスト
・映像やマンがなどと原作を比べるディベート
・本に出てくる食べ物や衣服を親子で再現
確かに面白そうなものばかりです。
個人的には3つ目の食べ物や衣服を親子で再現は特に面白そうだなと思いました。
衣服に関してはまあ最近ではコスプレという形で広まっていますが、食べ物は意外と聞かない気がします。
旅行系の物語でもいいですし、ファンタジーや近未来を描いた物語に出てくる架空の食べ物を実際に作ってみるというのは作品を読むとは違う形で味えるのかなと思います。
ちょっと行ってみたいですね。
話変わってふと気になったのが、本が好きな人、特にアニメとかマンを除いた活字の本が好きな人って特殊なんでしょうか。
雪音の同級生の言動に、図書委員だから企画についてもしっかりと考えないといけないんだねといった趣旨の発言があります。
本好きでない子にとっては図書館の意味って何?という点はやはりあるのだなと感じると同時に少し寂しい気もしました。
まあ私も図書館に通いだしたのは大学生になってからですし、その際借りてた本は主に学術関係でしたので、いわゆる本好きとは違いましたし、今でも小説を読み始めたのは宮田愛萌さんの影響からですので、本好きを名乗るにはおこがましいのですが、それでもまあ少し寂しい気はします。
特に現代は、アニメに漫画はもちろんのこと、ゲームに動画に色々なものがあり、かつ主流?となりかつ、わかりやすいということが重視されています。
そんな中で、本という少し気楽さに欠けかつ、「高尚な」感じのする本が好きであるというのは少し特殊なんですかね。
とここまで色々書いてきましたけど、内容に全く触れていないのでそろそろ話題を変えて中身に触れていきたいと思います。
まずなんといっても驚くのがぶたぶたさんですね。
正体がなんとぶたのぬいぐるみなんて、想像しきれませんでした。
ファンタジーであるとわかっていたらすんなり受け入れられるでしょうが、そうでないと結構受け入れるのに時間がかかりそうです。
いや、わかっていても想像するのには結構無理がありますかね。
実際、物語を読むときってなんとなくその場面を思い浮かべながら読むんですが、ぶたのぬいぐるみが車を運転したり、コーヒーを飲んでいる姿を想像しようとするとどうしても「ん?」ってなってしまいました。
なのでなんとかならないかなと考えていたところ、ちょうどいいものがありました。
そうポケモンです。
例えばピカチュウなんかがコーヒーを飲んでいるところとかを想像すればまあ頷けます。
ファンタジー感はなくなるかもしれませんが、想像するのにはうってつけだなと。
そんなぶたぶたさんですが、なかなかすごい方ですね。
カメラにBBQと色々なことができます。
また元カメラマンの間宮の話を聞いてあげたりとなかなか心の広い方です。
こんな人になれたらいいなとつくづく思います。
この本の裏表紙には「心温まる傑作ファンタジー!」とありましたが、まさに心が温まりましたね。
ほっこりするというか、久しぶりにまったりと読むことができた気がします。
本自体も結構薄いので手軽に読めるのではと思います。
ということで今回はここで終わりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
それでは失礼します。