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20240915-20240920

負けヒロインが多すぎる!第10話『さようならには早すぎる』、完璧なアニメーションだ!!

負けヒロインは一言でいうと「恋愛に敗れたとしても人生は続いていく」というテーマのもと進行していく作品なんだけど、人生が続くということはそれに付随する様々な事象、例えば夢や、人間関係なんかも続いていくよねという作りになっているのがキャラクタ達一人ひとりに真摯に向き合っていてすごくいい。
小鞠知花さんの担当回である8~10話は特に顕著で、部長への告白によって文芸部の関係が壊れてしまう覚悟を持って想いを伝えたという事実が小鞠にとって負い目になっていて、それに対する禊としての回なんだけど、すでに終わった恋の話を丁寧に描写するラブコメは今まで見たことがなかったので感動した。
その禊の下りが劇中で一切描写されず、あくまで部長と小鞠二人だけの間で言葉が交わされたというのが最高。二人の会話が終わったあとの温水と小鞠の会話シーンの演出も最高で、ホワイトボードに触れる手から伝わる感情や窓から射す夕焼けに至るまですべて意味を持っていて本当に素晴らしい。

閑話休題。負けヒロインというアニメがかつてないほどに肌に馴染んでいるのはなぜか考えた結果、好きすぎておれが定期的に引用している吉本ばななのアムリタのあとがきに綴られているサウダージとかなり近しい作品だからだろうなと気づいた。

日常におちはなく、どのような祝いの夜も明けるし、どんな悲しいことも長くは続かない。食べたり、飲んだり、出かけたり、寝たり、風呂に入ったり、そういうことの力は憎んだり、愛したり、出会ったり、別れたりするよりも強い気がする。そうでなければ死別の悲しみなど、永久に乗り越えられはしない。体があるかぎり、それを維持する営みは続き、それは人間にとって苦痛ではあるけれどもやはり救いなのだと思う。

本当にすべてそういうこと。

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